週刊アスキーの連載ページ『ネット早耳かわら版』に掲載している“ニコニコ動画 今昔物語”クロス連載。週刊アスキー4/2号(3月19日発売)では、“ニコニコ技術部”カテゴリーを始めとする“つくってみた”を掘り下げています。ゲストは、ニコ動発の同人イベント“ニコつく”を運営する八田大次郎さん、ニコ動運営の伊予柑(伊豫田旭彦)さん。今週は、ニコつくを始めた経緯ついて語っていただきました。
ニコ動の世界は、“好き”を原動力に回っている部分があります。アニメやマンガへの“好き”がみなぎり過ぎてMADやイラスト、3Dモデルをつくったり、ボーカロイド曲が好きすぎるから歌ってみたや踊ってみた、演奏してみたを投稿したり。かくいう筆者もニコ動が好きすぎるため、「これどんな人がつくってるんだろう?」と投稿者を取材したり、ニコニコ大会議のまとめ本をつくってみたりして今に至っております。
そんな好きが極まりまくって同人イベントをつくってしまったのが、“ニコつく”運営の八田大次郎さん。ニコつくは、2011年2月が初回で、今年4月末の“ニコニコ超会議2”で3回目を迎えるという、同人イベントにしては若いものです。その名のとおり扱うジャンルは、ニコ動の“つくってみた”系で、ニコニコ技術部や手芸部はもちろん歌ってみた、踊ってみた、演奏してみたなどの“やってみた”も含む幅広い内容になっています。
八田さんがニコ動を知ったのは、2007年の後半。最初に心を奪われたのは“ヲタケン”さんで、映像のおもしろさはもちろん、コメントで空間を共有できるのが楽しくて一気にはまってしまい、会社が終わってから見る習慣が付いたとのこと。
そんなある日、初音ミクがネギを振っている動画を見つけます。動画を調べていくと、ミクをとにかく小さくするために全身全霊で“技術のムダづかい”をしている人々を見つけて、「何だこの斜め上の努力のは。この人たちに会って、実物が見たい!」と衝撃を受けたそうです。
技術部に関連する人々は、例えば、現在のつくってみたムーブメントを支える“Make”などのイベントや研究会に参加していしましたが、八田さんはそうしたコミュニティーで披露できる技術がなく、怖くて行けなかったと言います。クリエイターではないけれど、イベント出展者として関わりたい──。八田さんがそう思ったのが2008年でした。
そこからが“謎の努力”です。Makeのイベントも見に行って、「意外と自分のやりたいことと似ていた。電子工作系だけじゃなく、クラフト系もあるし、ワークショップも用意してあった。初心者でも宝探しをする感覚で楽しめたので、これがニコ動というカオスな空間で再現できたらどんなに楽しいだろう」と感じたそうです。
さらに一番似てるイベントは同人誌即売会だと考えて、コミケのスタッフとして2年間修行。2010年の夏コミではニコつくをPRするために出展者側でも参加し、その際、なぜか伊予柑さんが隣のブースにいては「ヨハネスブルグに行ってきた」というDVD(懐かしい!)を頒布していたそうです。
コミケで仲間を集い、2010年ぐらいに「ニコつくをやりたい」と相談したときに、「本を売らない同人イベントは前例がない」と反発にあいましたが、それでも初心を貫いて2011年2月に第1回を実施します。テーブルは50、サークルは70組ぐらい。つくってみただけでなく、CDを売ったり、踊ってみたの人も参加していました。中には、等身大(?)で携帯ゲーム機の枠をつくって、その中に自分が入って「ゾンビだから撃ってよ!」と呼びかける出展もあったそうです。
↑第2回のニコつくは、2012年4月のニコニコ超会議にて実施。筆者も取材しましたが、単なる即売会ではない、見て触って発見できる要素が非常に多くて「ここだけで1日取材できるぞ……」と途方にくれてました。
そしていよいよ今度のニコニコ超会議2では、“ニコつく3”が実施されます。みんながよろんでいる顔、ニコつくに出展した人がさらに各種メディアに出て行く姿を見るのがうれしくて続けているとのこと。「本当はこの生放送も僕ではなくて、いろんなクリエイターの方に出てほしい。再生数は少ないけれども光り輝いてるような人たちが、いかに効果的に表現できるか、どうやって満足してもらえるかということを日々考えている」と熱く語っていました。
ニコつく3では、まだまだスタッフを募集中とのことです。超会議は見る側も楽しいですが、出展者側で誰かを楽しませるのも貴重な経験になるはず。興味のある人は、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか?
■関連サイト
週刊アスキーチャンネル(ニコニコチャンネル)
ニコつく3
■週刊アスキー 連載ページ『ネット早耳かわら版』
リニューアルしてパワーアップしたネット情報満載の連載ページ。SNSを使いこなすテクニックやウェブアプリやサービスの紹介、ソーシャルメディアの話題など、盛りだくさんの4ページでお届けしている。
■著者紹介-広田稔
ウェブサイト“ASCII.jp”でMacやネットサービスなどのネタを担当。初期からニコニコ動画を取材し、2007年には笛のお兄さんの「Fooさん」を取材(関連サイト)していたりして、有り体にいえば“ニコ厨”(ニコ動好きな人)、好きが高じて『ニコニコ動画めもりある ~ニコニコ大会議編~』という書籍を執筆。
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1,500円
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