ようやく春の訪れを感じられる季節ですが、編集部ではもっと先取りして背筋が凍る映画をお届けします。実は今回のテーマは「ホラー」だけだったのですが、iTunes Storeではサイコホラー的なものは「スリラー」にも分類されているので、各編集者は「ホラー」「スリラー」のジャンルからセレクトしています。
赤ずきん(字幕版) |
もともとサイコホラー、サイコスリラーの映画は好きなのですが、すでに見てしまった映画について書くのもなんだかもったいないので、「スリラー」のジャンルをiTuens Storeで調べて見つけたのがこの映画。題名のとおり、赤ずきんをかぶった女性・ヴァレリー(アマンダ・サイフリッド)が主人公です。狼の襲撃をかわすために生け贄(小動物)を捧げる風習のある閉鎖的な村が舞台。この村は、私が好きなRPGのひとつである「The Elder Scrolls V Skyrim」(関連サイト)にも出てきそうな感じの寒村です。
ストーリーは、グリム童話の赤ずきんちゃんとはまったく別モノで、人間に化けられる狼を探すという内容なのですが、ところどころ童話の内容も挿入されており、結構最後まで誰が狼なのかわからなかったです。主人公のヴァレリーは木こりのピーターが好きなんですが、親が決めた婚約者の鍛冶屋のヘンリーがいて、この二人も最後までストーリーに絡みます。まあ、二人とも結果的にはいいヤツですね。
あと、ソロモン神父(ゲイリー・オールドマン)の狂信的な感じがいいです。象をかたどったヘンテコな乗り物?と一緒に村にやってくるのですが、あの象の乗り物はちゃんと使い道があるんですね。引き連れている兵士の鎧もなんだかカッコいい、というかSkyrimっぽい。ちなみにSkyrimは、残念ながらMac版がリリースされていませんが、Paralles DesktopなどでWindowsを動かせば、そこそこの画質で快適プレーできます。
実は、背筋が凍る場面は一度もありませんでしたが、映像はキレイで意外にも楽しめました(吉田)。
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(HD版購入:2000円、SD版購入:1000円)
その男は、静かな隣人(字幕版) |
冴えない中年サラリーマンのボブ・マコーネルは、世の中や会社に恨みを抱き、毎日のように会社を爆破したり、同僚を撃ち殺す妄想をしている。若く美しい社長秘書バネッサの笑顔だけが、唯一の心華やぐひとときだった。ある日オフィスで「1発目はあいつ、2発目はこいつ……6発目は……」と銃に弾を込めていると、別の同僚が銃を乱射し始めた。銃に当たってまだ生きているバネッサにとどめを刺そうとする同僚を、持っていた銃で射殺。翌日から社内の扱いが一転、英雄扱いとなる。命を救われたバネッサは脊髄損傷による全身麻痺に陥っていた。一度はボブに「なぜ助けたのか」と罵声を浴びせるが、しだいに心を通わせていき、ふたりは恋人になる……。
この作品のどこが「スリラー」なのかは、ぜひ実際に観てみてください。これ以上書くとネタバレになりますので(笑) 例えば、どうしようもないどん底にいるときに「これが全部夢だったらいいのに」とか、逆に怖いくらい幸せなときに「もしこれが実は全部自分の妄想だったら」などと考えてゾッとすることはないでしょうか?
ボブの妄想は人並み外れていてちょっと怖いです。会社のを爆破する妄想のために爆破スイッチを持ち歩き、自宅でも水槽の金魚と会話する。妄想に支配されて怯えている彼は、バネッサとの日々で明るく生まれ変わっていくのですが……。 結末はいくつかの解釈ができるように思います。私はかなり終盤でこの作品の仕掛けに気づいてニヤリとしました(山口)。
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(HD版レンタル:300円、SD版レンタル:200円)
ビートルジュース(字幕版) |
本作は、’88年に公開されたティム・バートン監督のホラー・コメディー映画。絶叫系のホラーは苦手なので、iTunes storeのカテゴリーで「ホラー」に分類されているのを確認しつつ(笑)、ちょっと(?)コメディー路線のものを選んでみました。お子さまと一緒に見られるホラー映画、ということで……。
ティム・バートン監督の作品には共通して言えることですが、とにかく登場人物たちがかわいくてたまりません。いい大人なのに、シーツをかぶって大まじめに人間たちを驚かそうとするアダムとバーバラ夫婦、若きウィノナ・ライダーが演じる”メンヘラ”な娘リディア、次から次へと適当なホラを吹く霊界の用心棒”ビートル・ジュース”など、どのキャラクターも表情がくるくると変わり、見ていて飽きないんです。
メインの登場人物だけでなく、夫婦が迷い込む死後の世界にうようよしている怪物や幽霊たちも、一見怖いけれど憎めない面持ちのキャラばかり。なんだかディズニーランドのアトラクションに乗っているような気持ちになってきます。
ファンタジーの世界に迷い込んでしまったようなかわいらしいセット、ビートル・ジュースの奇抜なキャラクターとセリフ、生前と死後の世界をつなげるアイデアなど、ティム・バートンらしさがたっぷり詰まっています。考えさせられることなんてひとつもないので、とっても楽しい時間になると思いますよ(藤村)。
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(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円)
エスター(字幕版) |
人間、数をこなしていると何にでも慣れるもので、ホラー映画も何本も見ているとあまり恐くなくなってくる。最近の作品に多いのが、残酷描写や突然の大きな音で脅かそうとするタイプ。血さえ見せとけば、役者に悲鳴さえ上げさせとけば怖がるだろうという意図を感じると、引く。チープなお化け屋敷みたいなもんで、あーはいはいエグイねうるさいね、でも怖くないよと。
そういう、ある程度ホラー耐性のある人間でも、本作は結構ビビると思う。あんまり期待してなかったのも手伝って、久しぶりにホラー映画を見て、ゾゾっと背筋が冷たくなるような怖さを感じた。
エスターという少女が、ある夫婦に養子として引き取られることから、悲劇は始まる。かわいらしくて頭がよく、ちょっと大人びすぎて同世代の孤児たちと馴染めない——そんなエスターに惹かれた夫妻の気持ちはわかる気がする。そんな、お互いが幸せになるための選択だったはずが、実はとんでもないミスチョイスだった。品のいい少女の皮を被ったエスターは、実は恐ろしいモンスターだった。エスターの正体が徐々に明らかになっていく過程。家族の中に広がっていく違和感と緊張感。その後戻りできない感じが、見る者を体感気温をジワジワと下げていく。騙されたと思って見てみなよ。マジ怖いから(諸富)
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(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円)
ソウ(字幕版)」 |
シリーズ全7作の痛い系スリラーの代表格。ソリッドシチュエーションと言えば「SAW」というくらい大ヒットし、似たような作品が続々登場しました。だもんで、前作を超えなきゃ、というサービス(プレッシャー)精神で、続編になるごとにグロ度が増して、次第に新宿だと歌舞伎町にある小さな映画館で上映になる始末。ガラガラの劇場に大音量の阿鼻叫喚が鳴り響き、異様な空間で堪能できました。
あらためて一作目から観てみると、約100分の作品によく話が詰め込まれていて、展開が二転三転する良作です。密室で鎖に繋がれた二人の男、その間には銃をもったままの死体。謎の男からの指令。脱出の方法は? という、限られた素材を存分に使ったスリラーです。密室ものとしては、おそらくそうなるだろうな、という流れなんだけど、フラッシュバックシーンが多様されていて、観ている最中に推測する時間を与えないのもうまい。
ストーリーを語ると、それがネタバレになるので、未見の人は前知識なく観てほしいです。また、1作目と2作目のストーリーのつながりも時系列をうまく使っているので、この2作はセットで観たいところ。
ちなみに、グロさ爆発のシリーズ作品ですが、セルDVDなどに収録されているメイングを観ると、なーんだ、とガッカリするくらいスタッフが楽しんで撮影してい ます。ホラー耐性のない人は、こういう舞台裏を観ると、だんだん慣れていくかと思いますよ。
このシリーズ、パンフレットがなかなか凝っていて、開くと紙が飛び出したり、抜き合わせでネタバレになる表紙とか、企画したはいいけどつくるときは泣いただろうなぁ、という完成度です。パンフレット屋さんにあったら、手にとってみてください。作品によってはギミックが壊れやすいので、ネットで手に入れる場合はコンディションに要注意です(三宅)
「ソウ(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円)
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