MWCではXperia Tablet Zのグローバルモデルを発表し、スマホのXperia Zとのコンビで大々的にプッシュしているソニーモバイル。この2つの端末の魅力や秘密についてソニーモバイルコミュニケーションズ、コーポレートバイスプレジデント UXデザイン・企画部門 部門長 田嶋知一氏にお聞きしました。
↑2011年よりソニーモバイルのデザイン、商品企画を統括している田嶋知一氏。 |
Xperia Zは売れ行き絶好調みたいですね!
田嶋氏 おかげさまで、ドイツではソニーストアで発売開始から2時間で完売となりました。スペインでも(このインタビューの)2月25日から発売開始となったのですが、店舗に行列ができるほどの人気でした。じつはFCバルセロナのイニエスタ選手にXperiaのアンバサダーを務めてもらっているのですが、翌日に試合があるところ発売日に駆けつけてくれました。
↑ドイツでの発売風景。スマホで行列ができるのはiPhone以外あまり聞いたことがない。 |
今回、今までのXperiaとはガラリとデザインを変えた印象ですが
田嶋氏 そう思われますか? 実は根元に流れるスピリッツというのは同じで、ソニーエリクソンの時代から「ヒューマンセントリックデザイン」とという、スマホは人に一番近いところにあるものだと考えてデザインしてます。人間にはロジカルな面とエモーショナルな面があるので、その両方にアピールするようにデザインをしています。たとえば、人に優しいアーク形状だったり、操作をわかりやすくするフローティングプリズムのボタンなどがそうですね。
そうなんです!そういうのがなくなったので印象が変わった気がします
田嶋氏 これはソニーブランドとして発売しています。ソニーのパワーがフルに入ったモデルとして、今回は「ヒューマンセントリックデザイン」として、いちばんソニーらしいデザインをしてみようと開発しました。全方向から使えて、全方向から美しいというのを突き詰めて、これしかないというデザインに仕上がったと思います。
↑アルミを使ったボタン部分など、全体的にプレミアム感が感じられるデザイン。 |
今までのXperiaらしいデザインじゃないような部分も……
田嶋氏 たしかにデザインの表現方法としては従来のモデルと違っているかもしれませんが、お話したように根元に流れるデザイン思想は従来どおりです。それと、このデザインにできる技術が成長してきたというのも大きいです。
実はアーク形状にしていたのは持ちやすくするためというポイントもありますが、アンテナの配置ですとか、そういった技術的な制約を解決するためのデザインでもあったんです。ただ、今回のモデルはデザインの成熟というのがキーポイントだと思っています。見ただけでソニーモバイルだとわかる表現方法としてのデザインを、これから続く製品にも反映させられると思います。
Xperia ZとXperia Tablet Zを同じようなデザインにすることは難しかったのですか?
田嶋氏 この世代からタブレットもスマホも設計陣は同じになっています。Xperia Tablet Zは、面積が大きいので薄くても強度を保つという点が難しかったですね。フラットをキープできないと、このサイズではすぐにうねりがわかってしまうんです。
Xperia Zのほうは、本体に最新技術を納めることが難しかった。特にカメラ回りですね。ほかのメーカーのようにカメラ部分だけ膨らます、という方法もあるんですが、やはりフラットにこだわりたいと。
↑10インチクラスでこの薄さにすると、強度を保つのが大変とのこと。 |
カメラ機能といえば、ものすごく性能上がってますよね
田嶋氏 カメラ機能はソニーとしての成果だと思います。今まではソニーモバイル側の開発陣が開発をして、ソニーのカメラ開発部門に意見を聞くという行程でしたが、今はカメラ部門が直接開発に携わっています。もちろんソニーモバイルの開発陣も十分な能力は持っているんですが、やはりこれまで蓄積されたノウハウが違います。
↑カメラ機能は特に暗所での撮影能力が向上。ノイズが少ないキレイな画質で撮れる。 |
Xperia Z、Xperia Tablet Zの2機種のほかに、7インチモデルなどのモデルが登場する可能性は?
田嶋氏 当然そういうニーズはあると思いますし、それに応えていきたいと考えています。
ところで、Firefox OS搭載Xperiaは登場するんでしょうか?
田嶋氏 Firefox OSの技術提携で、ソニーモバイルが注目しているのは、クラウド化です。私たちはユーザー体験をいちばんに考えています。特にサービス面について、現在はOSはアンドロイドですが、ウィンドウズやFirefox OSでもなんでもマルチプラットフォームで体験できるようにしたい。クラウド化を実現するために効率がいいのは、HTML5でクラウド側にアプリケーションを寄せることだと思います。そのノウハウを得るためというのが、今回の提携のポイントですね。
本日はありがとうございました!
↑ソニーモバイルはすでに、同社のデベロッパー向けサイトにて、Xperia E向けにFirefoxOSのROMイメージを配布している。 |
やはりソニーモバイルのデザインに関する思い入れは、なみなみならぬモノがありました。このあたりが、Xperiaが世界で人気となっている秘密のようです。それにFirefox OSの技術提携で、ソニーやソニーモバイルのサービスがさらに使いやすくなることも期待できそうです。
●関連サイト
ソニーモバイルコミュニケーションズ
※(2013年3月1日14:30)発売国名を修正いたしました。
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