短い寓話からたくさんのビジネスのヒントを学べると好評の『ビジネス寓話50選』(アスキー新書)から、寓話を抜粋。本日は第1章「はたらく」から。あなたはこの寓話をどう読みますか?
第8話 幼稚園児なら10分で解ける問題
8809 = 6 5555 = 0
7111 = 0 8193 = 3
2172 = 0 8096 = 5
6666 = 4 1012 = 1
1111 = 0 7777 = 0
3213 = 0 9999 = 4
7662 = 2 7756 = 1
9313 = 1 6855 = 3
0000 = 4 9881 = 5
2222 = 0 5531 = 0
3333 = 0 2581 = ???
この問題は、幼稚園児なら5分から10分そこらで解けるだろう。けれどもプログラマーには1時間かかかるかもしれないし、高等教育を受けた人々にとっては……。
まあ、まずはあなたもやってみてください。
(出典:インターネット上で話題になった画像より)
私たちはみんな異なるツールボックスを持っている
この問題は、一時期インターネット上で話題になったものです。さて、あなたは解くのにどのくらいの時間がかかったでしょうか。
大人になって、いろんな知識や常識を身につけることが、いかに頭がカタくするか、硬直的な考え方にとらわられやすくなるかを気づかせてくれる問題ですね。
ただ、「子どものように頭をやわらかくしよう!」ということだけで読み解きを終わらせてしまうのはもったいないので、これからの時代のビジネスという視点で、もう少し考えてみたいと思います。
ミシガン大学の教授で、サンタフェ・インスティチュート外部研究員でもあるスコット・ペイジ氏は、その著書『「多様な意見」はなぜ正しいのか 衆愚が集合知に変わるとき』のなかで、多様な人間集団が問題解決や価値創造に資する理由のひとつとして、人はそれぞれ異なる「ツールボックス」を持っているからである、と述べています。
ごく大ざっぱに説明すると、「ツールボックス」とは、ある問題解決や価値創造に臨む際の考え方や目のつけどころといった“技”のセットのこと。
やや極端なたとえですが、ある国の観光を活性化するという課題があったときに、航空会社の社員ならば新しい便を就航させたりするでしょうし、政治家なら使節団を用いて友好を深めたりします。コピーライターならば観光地の魅力を伝えるキャッチフレーズをつくるかもしれません。つまり、人によって持っている道具箱(ツールボックス)が違うから、そこから出てくるアイディアや解決策も違ってくるのです。
そして、複雑な問題や創造性を要する課題に取り組むときには、ひとつのツールボックスではなく、多様なツールボックスを用意したほうがよい。なぜなら、ひとつでは解けない問題も、いろいろなツールボックスから取り出した道具を組み合わせたり、掛け合わせたりすることで、解けるようになるからです。
ここに取り上げた数の問題も、多様なツールボックスには、それぞれ得手不得手がある、ということを教えてくれています。
大人が持っている道具(数学的視点から、なんらかの法則が見つけることができるのではないか?)では、なかなか解くことができない。でも、異なる道具(形状から特徴を見つける)を持っている幼稚園児たちは、スムーズに答えにたどり着ける。あなた自身が幼稚園児のツールボックスを持つ必要はない、とも言えるかもしれません。幼稚園児なら5分で解ける問題に挑むときは、幼稚園児をあなたのチームに加えればいいのですから。
この問題が教えてくれるのは、「君も幼稚園児の心を取り戻そう!」ということにもまして、「難しい問題に挑むときは、プログラマーやら幼稚園児やら、いろいろな人を集めた多様性のあるチームを組むといい」ということなのではないでしょうか。
さて、そろそろ答えは出ましたでしょうか?
答えは2。字面に「円」がいくつあるかを数えるのですね。
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