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次世代Snapdragonは150Mbps LTEモデムやFirefox OSもサポート【石野純也氏 寄稿】

2012年11月29日 16時41分更新

 スマートフォンに搭載される『Snapdragon』でおなじみのクアルコムは、世界各国のメディアを集めたイベント『Editors' Week』を開催。Snapdragonの特徴やエコシステムを担当者が語った。

Qualcomm Editors' Week
↑イベントが開催されたサンディエゴのクアルコム本社。壁面には、特許がズラリと並べられている。

 Snapdragonそのものの特徴を語ったのは、マーケティング、シニアディレクターのミッシェル・レイデン・リー氏。Snapdragonは、CPU、GPU、モデムなどをひとつのチップに収めたSoC(System on a Chip)で、AndroidやWindows Phoneを中心とした幅広いスマートフォンやタブレットに採用されている。現在、搭載端末は500種類以上で、搭載端末を市場に送り出すメーカーの数も70を超えた。高性能な一方で消費電力が低く、「すべての接続をワンチップの中に入れた」(ミッシェル氏)というように、3GやLTE、Wi-Fiなどの通信機能も含まれているため、特にスマートフォンでは圧倒的なシェアを誇る。

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↑Snapdragonの特徴を話すミッシェル・レイデン・リー氏。
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↑500を超える端末に採用されているSnapdragon。
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↑このサイズに、CPUやモデムなどが凝縮されている。

 性能は日進月歩で進化を続け、2012年にはクアッドコアCPUの『APQ8064』が登場。日本では、ドコモやKDDIから発売中の『Optimus G』に搭載されている。他社のスマートフォン向けチップとの大きな違いは、CPUのアーキテクチャーライセンスを取得しているところ。これによって独自の開発が可能になり、マルチコアのSnapdragonには、コアの電圧を作業の負荷に応じて個別に制御する機能を組み込んでいる。消費電力を抑えることができるのはそのためだ。

Qualcomm Editors' Week
↑アーキテクチャーライセンスを持ち、ARMをベースに独自開発できるのも同社の強み。

 スマートフォン上で利用するコンテンツのリッチ化に伴い、グラフィックスをつかさどるGPUも強化。APQ8064などのSnapdragonには、『Adreno 320』という高パフォーマンスのGPUが搭載され、「ゲームのクオリティーは、据え置き型並みになっている」(ミッシェル氏)という。

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↑ワットパフォーマンスが高いGPUを搭載。
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↑Adreno 320では、映像をここまでリッチに表現できる

 そして、「間もなく登場する」(ミッシェル氏)という次のSnpadragonは、新たな世代のCPU、GPU、LTEモデムを内蔵したものになる。詳細は明かされなかったが、Snapdragonは現在、クアッドコアCPUの『APQ8064』と、下り最大150Mbpsの“LTE カテゴリー4”や複数の周波数帯を束ねて高速化を実現する“キャリアアグリゲーション”をサポートするモデムの『MDM9225/9625』がワンチップ化されていない。次世代のSnapdragonは、少なくともこれらが統合されたものにはなりそうだ。

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↑Snapdragonのロードマップ。
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↑次世代Snapdragonの概要。来年にも発表されると見てよさそうだ。

 幅広いOSパートナーと「本当のコラボレーションをしている」と語るのは、プロダクトマネージメント、バイスプレジデントのジェイソン・ブレムナー氏。Snapdragonは、AndroidやWindows Phoneだけでなく、BlackBerryのタブレットに採用される『QNX』でも動作する。また、「HTML5で作られ、本当にオープン」(ジェイソン氏)という『Firefox OS』のサポートも開始する。現在開発中のFirefox OSは、2013年にも端末が登場する見込みだ。

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↑動作可能なOSの幅広さを協調する、ジェイソン・ブレムナー氏。
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↑Androidから製品が未発売のFirefox OSまで、多彩なプラットフォームをサポート。

 このほか、クアルコムでは「サードパーティーのアプリがユーザーの体験を大きく向上させる」(ビジネスディベロップメント、シニアディレクター、ローレン・ソープ氏)という考えに基づき、開発者向けにSDKやライブラリなどを提供している。開発者は、無線で複数の端末をつなぎ、ゲームの対戦などの連携が可能な『AllJoyn』や、顔検出をはじめとする画像処理をするための『FastCV』といった、Snapdragonに最適化したツールを利用できる。「業界にイノベーションを提供する、ユニークなビジネスモデル」(シニアバイスプレジデント&チーフマーケティングオフィサーのアナンド・チャンドラシーカ氏)という通り、クアルコムは、チップの開発から、OS事業者との協業、SDK開発まで行ない、スマートフォンの進化を縁の下で支えている会社といえるだろう。

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↑サードパーティーの広がりを語るローレン・ソープ氏
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↑SDKなど、各種開発者ツールも用意。
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↑元々インテルにいたアナンド・チャンドラシーカ氏が、Editors' Weekの概要を説明した。

■関連サイト
クアルコム

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