週刊アスキーの連載ページ『ネット早耳かわら版』に掲載している“ニコニコ動画 今昔物語”クロス連載。引き続き“ドワンゴ川上会長が見つめるニコニコ動画の未来”をテーマにして、第2回を掲載します。
↑川上会長(写真右)と筆者(写真左)。ニコニコチャンネルの“週刊アスキーチャンネル”にてインタビュー風景を生放送しました。
■12番目の“Q”にいたる、5年の長きに渡る道
ニコニコ動画の変なところは……と書き出そうとして思ったんですが、まぁ変なところだらけですね。最近はサービスの規模が大きくなったこともあって、ずいぶん普通の企画も増えてきましたが、よくよく考えると「やっぱりおかしいよね?」という部分も随所に残ってます。
それを端的に現しているのがバージョン名。2006年12月に始まった(仮)、その次にYouTubeのサーバーを間借りしていた時代の(β)というところまでは普通だったのに、そこから(γ)、(RC)、(RC2)、(SP1)と、もはや何番目のバージョンであるのかさっぱりわからない名前が付けられるのが恒例です。
その次が、2008年7月の(夏)。ドコモを辞めたあと、ドワンゴに取締役として入ってくる夏野剛氏にかけての名付けです。(秋)、(冬)と短いバージョンアップが続いて、(ββ)とまた謎の名前が……。読み方は“ダブルベータ”で、原点である(β)に戻るという意味が込められている。ちなみにこの(ββ)を発表したイベント“ニコニコ大会議2008冬”はイベントオープニング動画ありなど、IT企業の発表会とは思える雰囲気でした。
2009年10月には、ニコ動の運営的にカウントして9番目となる(9)がスタートしました。2010年10月、原宿にアンテナショップである“ニコニコ本社”を建てるということで、同じ時期にアップデートしたニコ動のバージョンも(原宿)となった。
そして今年に入って5月、再び原点回帰を目指して“Zero”というバージョンが始まったんですが、この評判があまりよろしくなかった。ニコ動始まって以来、初めて根底からつくり直した動画プレイヤー“ZeroWatch”を投入したものの、低スペックのマシンでは動作が遅かったり、コメント入力欄が動画の上に表われて動画の一部が隠れてしまったりと、いろいろな部分でユーザーから不満が上がっていた。
“Zero”は(原宿)と平行して提供していて、ユーザーが自由に切り替えられるようになっていましたが、大半の人は(原宿)を選んだそうです(何%ぐらいZeroに切り替えたかは、脅威の数字は誌面でチェック!)。運営的には、タグの編集率が下がってしまったのを問題視していたそうです。
そうした状況を改善すべく、Zero(0)に毛(、)を生やした程度の改良版として、この10月に“Q”が始まりました。今週から上映が始まった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』ともコラボして、ニコ動オリジナルの予告編までつくってもらうという豪華さ。
サービス名だけでなく、イベント名なども変な名前ということについて、川上会長は「普通の会社だと“正気か?”みたいな名前だと思うし、僕らもそれは意識している。でも、カッコわるいことでもやり切ったら、だんだんかっこよく見えてくるんです。迷わずやり切るのが重要だとやりきってます」とキッパリ。
「世の中のIT企業は、カッコいい名前のサービスを作ろうとしますよね。そういうのは僕は嫌なんです。“これからクラウドだ!”とかいってる人たちをなんとかして馬鹿にしてやりたい(笑)」と熱く語っていました。次のバージョン名はどんな斜め上になるのか? やっぱり気になってニコ動ウォッチはやめられない!
■関連サイト
週刊アスキーチャンネル(ニコニコチャンネル)
■週刊アスキー 連載ページ『ネット早耳かわら版』
リニューアルしてパワーアップしたネット情報満載の連載ページ。SNSを使いこなすテクニックやウェブアプリやサービスの紹介、ソーシャルメディアの話題など、盛りだくさんの4ページでお届けしている。
■著者紹介-広田稔
ウェブサイト“ASCII.jp”でMacやネットサービスなどのネタを担当。初期からニコニコ動画を取材し、2007年には笛のお兄さんの「Fooさん」を取材(関連サイト)していたりして、有り体にいえば“ニコ厨”(ニコ動好きな人)、好きが高じて『ニコニコ動画めもりある ~ニコニコ大会議編~』という書籍を執筆。
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