とうとう公開日を迎えました映画『のぼうの城』。
完成そのものは去年だし、撮影自体は一昨年の夏から秋。だから遠い昔の出来事……むしろ懐かしい思い出に近いせいかもしれませんが、この映画が面白いんですよ、奥さん!
普通、試写会や映画祭では、冒頭数分だけ見て映写状態や音のレベルを確認するだけなのですが、気がつくと座ってじっくり最後まで見ちゃうんですよ。自分が作った映画にもかかわらず。面白くて、つい。自画自賛っぽいんですけど、本当に見ちゃうんですよ。俺だけかと思ったら、一緒に監督した犬童一心さんもそうらしいんですな。
二人ともそうなら恥ずかしくない、ということで書いちゃいますけど、映画『のぼうの城』は単なる時代劇・歴史ものとして括れない、スケール感と登場人物の彫り込みの深さが魅力の超大作です! 長所も短所も併せ持つ魅力的な登場人物たちが織りなすドラマがうねりを作り出し、次第に大きくなり、押し寄せる歴史の抗い難い大波を打ち砕いていくのです。
ああっ! 自分で作った映画を褒めるのは本当に難しいね。あ。いやいや、褒めづらい内容とかそう意味じゃなくて。自分の作ったモノに対して客観的視点から褒めてるなんて言っても、説得力ないから難しいって事です。冷静に自分の立場を弁えているこの私がそれだけ面白いと言っているのだから、想像がつきますよね?
特に主演の野村萬斎さんが凄い。狂言師という本業の合間を縫って、数年に一度のオリンピック並みのペースで映画に出演という貴重さに加え、佐藤浩市さんを相手に翻弄しまくります。カッコいい浩市さんが困り果てて泳ぎまくる目線は必見です。
攻める石田勢も当時のバラエティの活躍っぷりを知らずに芝居だけを見て決めた上地雄輔くんを中心に添え、今まで見た事のない石田三成を作り上げました。上地くんには公開日のインパクトを大事にしたいので映画上のキャラクターを一切封印してもらって来ましたがもう大丈夫。
11月2日金曜日から全国公開です。是非劇場に見に来てくださいね!
樋口真嗣
※本記事は週刊アスキー11月13日号(10月30日発売)の連載記事を転載したものです。あさりよしとお先生の漫画も必見ですよ!
『のぼうの城』
天才か? ただの“でくのぼう”か?
男の突飛な奇策に、敵も味方も驚き……笑う!?
その圧倒的なスケールゆえ、映画化実現まで8年の時間を要した史上最大級の戦国エンタテインメント超大作『のぼうの城』。脚本は、脚本家の登竜門と言われる城戸賞を03年に受賞した和田竜のオリジナル。日本映画の歴史を塗り替える壮大なスケールで描かれる大規模な合戦や、圧倒的勢力の三成が田舎城を相手に仕掛ける驚天動地の“水攻め”戦術、そして両軍の愛すべきキャラクターたちが織りなす濃密な人間ドラマなど見所満載の本作の映画化に挑むのは、日本を代表する犬童一心×樋口真嗣の二大監督。この奇跡のタッグが、誰も見たことのない、興奮と感動のスペクタクル・エンタテインメント超大作!
●公式サイト(外部リンク)
●監督:犬童一心、樋口真嗣 脚本:和田竜 音楽:上野耕路 主題歌:エレファントカシマシ 制作:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース エンタテインメント 製作:『のぼうの城』フィルムパートナーズ 配給:東宝、アスミック・エース
●キャスト:野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、山田孝之、平岳大、西村雅彦、平泉成、夏八木勲、中原丈雄、鈴木保奈美、前田吟、市村正親、佐藤浩市 ほか
●全国超拡大ロードショー
※ご鑑賞に際してのお知らせ※ 本映画は、戦国時代の史実に基づいた物語です。本編終盤におきまして、実際に戦国時代に行われた戦術のひとつ、水攻めのシーンがございます。ご鑑賞にあたりましては、あらかじめご了承いただきますようお願い申しあげます。
©2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります