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Windows情報局ななふぉ出張所

“Surface Phone”がマイクロソフトから登場する可能性

2012年10月10日 17時00分更新

 10月26日、Windows 8の一般発売と同時にマイクロソフト自身による初のPC製品『Surface』が発売されます。まだ正式な価格や販売地域については発表されていませんが、これまでマイクロソフトが手がけてこなかったPC製品ということもあり、大いに注目されています。

MSブランドのWindows Phone“Surface Phone”の可能性
↑マイクロソフト初のPC『Surface』。

 SurfaceにはWindows RT版と、3ヵ月後に発売されるWindows 8 Pro版があります。そして最近、そのWindows Phone版である“Surface Phone”の噂が再び話題となりました。

 今回は、Surface Phoneの可能性とその背景について考えてみたいと思います。

■Windows Phone 8は10月29日発表か?

 ところで、Windows 8が10月26日に発売開始となるのに対し、Windows Phone 8の正式な発表日はまだ決まっていませんでした。これについて、マイクロソフトは報道関係者向けに発表会の案内を送付したと報じられており、10月29日にサンフランシスコで発表することが決まったようです。

 "Surface Phone"の噂は、2013年前半に登場するというものです。つまり、10月29日の発表時点では、ノキア・サムスン・HTC・ファーウェイの4社の端末が中心になると見られます。

 そもそも、Surface Phoneが登場する可能性はどれくらいあるのでしょうか?

 タブレットのSurfaceがマイクロソフト初のWindows PC製品だったのに対し、Surface Phoneはそうではありません。なぜなら、以前にマイクロソフトは『KIN』というスマートフォンを発売したことがあるからです。

MSブランドのWindows Phone“Surface Phone”の可能性
↑Verizon Wirelessから発売された『KIN ONEm』

 KINの前身はDangerの『Danger Hiptop』、あるいはそのT-Mobile版『Sidekick』として知られています。2008年にマイクロソフトがDangerを買収したことにより、マイクロソフトによる後継機『KIN』が生まれました。KINは若年層向けのソーシャル端末という位置付けで、これはビジネスパーソンをターゲットにしたBlackBerryに対抗できる可能性がありました。しかし運悪くWindows Phone 7のリリースと競合したこともあり、非常に短命な製品となってしまいました。

 スマートフォンではありませんが、マイクロソフトは音楽プレーヤーとして『Zune 30』や『Zune HD』といった端末を海外で販売していたこともあります。

 そしてPCについて、まだSurfaceは発売されていませんが、大きな転機となることは間違いなさそうです。これまでマイクロソフトはOSやPC本体を異なるレイヤーに分けた水平分業モデルのもとで成功してきました。その対極には、昨今の台頭が著しいアップルのような垂直統合モデルがあります。

 マイクロソフトによるSurfaceの発表は、水平分業モデルから垂直統合モデルへの将来的な移行を予感させるものとなり、話題となりました。

 このような背景を考えると、マイクロソフトが独自ブランドのスマートフォンを発表してもまったく不思議ではない状況になりつつあると言えます。

■ノキア以外の選択肢としてのSurface Phone

 Surface Phoneに注目が集まる理由のひとつとして、現在ノキアが置かれている厳しい状況にも言及せざるを得ません。

 2011年2月、ノキアはメインとなるスマートフォンプラットフォームとしてWindows Phoneを採用することを発表しました。そして2011年秋から世界各国にLumiaシリーズを投入しているものの、かつての勢いを取り戻すには至っていません。

 また、Windows Phoneへの移行期であるスマートフォン事業だけでなく、ノキアが得意とするフィーチャーフォン事業についても、価格競争の激化により利益を減らしています。第2四半期末に42億ユーロあった現金は、毎月2億ユーロというペースで減りつつあり、年内にも30億ユーロを割り込む可能性や、数年以内に底を尽きる恐れが懸念されています。

 ノキアの発表によれば、ここには人員整理に伴う退職金のように、事業整理に伴う一時的な費用も含まれているようです。また、当面の対策としてフィンランドのエスポーにある本社ビルの売却を検討しているとの報道もあります。固定資産である自社ビルを売却し、そのままリースバックで借り受けるようにすれば、現金を得られる上に、ROA(総資産利益率)のような財務指標を改善することもできます。

MSブランドのWindows Phone“Surface Phone”の可能性
↑フィンランドのエスポーにあるノキアの本社ビル。

 とは言え、これは延命措置であり、長期的にはスマートフォン・フィーチャーフォン両方のビジネスにおけるノキアの競争力の向上が必要不可欠と言えるでしょう。

 Windows Phone 8について、すでにノキアはLumia 920/820を発表しましたが、これで安泰というわけではありません。過去最高益を更新して勢いに乗るサムスンは、Windows Phone 8と合わせて、Windows 8やWindows RT製品のラインアップを発表しています。あるいは、アンドロイド市場での激しい競争の結果、売り上げを大きく落としたHTCは、ノキアのお株を奪うかのような製品展開を計画しています。

 このように、ノキアの将来性が危ぶまれる状況において、マイクロソフトが採りうる選択肢はどのようなものがあるでしょうか? もちろんノキアの支援や、一時期検討したと言われるマイクロソフトによるノキアの買収も選択肢として考えられます。場合によってはノキアに代わるパートナーを見つけるか、Surface Phoneのようにマイクロソフト自らWindows Phone端末をリリースするといった選択肢も“プランB”としてあり得るでしょう。

■Surfaceタブレットの立ち上がりに注目

 さて、仮にSurface Phoneを発売するとしても、それが成功するかどうかは別問題です。たとえばSurfaceタブレット同様に、価格設定は非常に難しいところ。価格が安すぎればOEMからの大きな反発が予想されますが、高すぎればiOS機器やアンドロイドに対抗することが難しくなります。もちろん、最終製品としてスマートフォンを作り込むノウハウや販売チャネル、世界各国のキャリアとの調整といった点でも、未知数の部分が多いと言えます。

 まずは、これから価格や販売地域が発表されるSurfaceタブレットの動向に注目し、今後のSurfaceシリーズがどのように展開していくのか、予想してみるといいでしょう。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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