8月末以降、Windows Phone 8に関するニュースが増加してきました。先週スマートフォン業界を賑わせたiPhone 5との比較を含め、Windows Phone 8の最新情報をご紹介しましょう。
■iPhone 5発売の影響は?
発表前から様々なリーク情報が飛び交い、週アスPLUSでも話題となっていたiPhone 5が、ついに発表されました。
以前からiPhone 5は2012年秋の登場が期待されており、Windows Phone 8の発売と競合することから、iPhone 5でなにが変わるのか気になっていた方も多いと思います。
↑iPhone 5、Lumia 920、ATIV Sの大きさ比較。 |
フタを開けてみれば、iPhone 5が重点を置いたのは薄型化・軽量化・高速化といった基本性能の強化でした。既存のiPhoneユーザーにとっては、安心して買い換えることのできる無難な後継バージョンとなっています。その反面、これまでiPhoneに触手が伸びなかった人にとっては、iPhone 5もまた魅力的な端末に映らないものと思われます。
これに対して、Windows Phoneの特徴でもあるシャーシ仕様では、ボタン配列の並びや基本的なセンサーの搭載を標準化しています。現行のWindows Phone 7.5端末はどれも安定動作しており、Androidでよく耳にするような端末によるアプリの互換性問題も発生していません。Windows Phone 8では、新たにマルチコアプロセッサーやHD解像度(720×1280ドット)のディスプレーといった最新ハードウェアに対応。iPhone 5で見送られたNFCもOS標準でサポートします。
↑カメラのシャッターボタンによるロック画面からのカメラ起動もWindows Phoneの優位性のひとつ。 |
その上で、メーカー独自のカスタマイズも可能です。すでにサムスンは独自の音楽サービスへの対応を表明しており、ノキアもPureView技術や無接点充電、5色の端末カラーといった独自要素をいくつも盛り込んでいます。
ソフトウェア面でも、アイコンベースのホーム画面を踏襲したiOS 6に対して、Windows Phone 8はタイルのカスタマイズを強化。ロックを解除するだけでタイルに表示される情報にアクセスできるという優位性がさらに強化されています。
Windows Phone 8にとってiPhone 5がきわめて強力なライバルであることに変わりはないものの、その新機能はWindows Phone 8の優位性を上書きするほどではなかった、という印象です。想定内だったといってもいいでしょう。
■Windows Phone 8が最終バージョンRTMに
9月12日、Windows Phoneのアプリストアとして知られるMarketplaceが、“Windows Phoneストア”としてリニューアルされました。
↑MarketplaceはWindows Phoneストアとしてリニューアル。 |
さらにWindows Phone 8のOSについても、マイクロソフトが開発を完了し、リリース版であるRTMに到達したと報じられています。これまで端末メーカーはベータ版のビルドを元に開発を進めてきましたが、いよいよ最終版を使って最後のテスト段階に進むことになります。
Windows 8は10月26日に発売となりますが、Windows Phone 8の発売も近づいていると考えていいでしょう。Windows Phone 8は現行バージョンの7.5同様、年末商戦に間に合わせるというスケジュールで開発が進んできました。たとえば米国の場合、年末商戦が始まる“ブラックフライデー”は、今年は11月23日となります。年末商戦に参戦するには、遅くとも11月中旬までには端末を発売する必要があると言えます。
Windows Phone 7.5の場合は、IS12TがRTMからわずか1ヵ月強で店頭に並んでいます。これは様々な無理を重ねた異例のスピードと言われていますが、ここから推測すると、最短で10月末にはWindows Phone 8端末を発売できる可能性があります。
Windows 8の発売から3日後の10月29日には、Windows Phone 8のローンチイベントが開かれるとのうわさもあります。地域によっては、11月の早い段階での端末発売にも期待できそうです。
■Windows Phone 8 SDKのプレビュー版もまもなく提供開始
9月12日には『Visual Studio 2012』の正式発表と同時に、Windows Phone 8対応のアプリ開発キット『Windows Phone 8 SDK』のプレビュー版がアナウンスされました。
↑全体的にUIが刷新されたVisual Studio 2012。 |
このSDKは、一部の開発者向けのプレビュー版という位置付けとなっており、Microsoft Connectというベータ版ソフトウェアの配布サイト(外部サイト)を通して提供される予定です。
SDKの内容としては、Windows Phoneアプリの開発に特化した『Visual Studio Express 2012 for Windows Phone』が含まれています。基本的な開発環境は、Windows Phone 8においても無料で提供されそうです。
プレビュー版の配布を制限している理由として、SDKがまだ開発途中であることをあげています。既存アプリをWindows Phone 8に対応させなければならない開発者向けに、前倒しで提供するというわけです。このことから、SDKの一般公開はWindows Phone 8発売の直前になる可能性が高いと言えます。
これに対して、Windows 8は昨年から開発者向けのプレビュー版OSを配布し、今年に入ってから多くの開発者がSDKを手にしています。マイクロソフトはなぜ、Windows Phone 8のSDKをもっと早く公開しなかったのでしょうか。
その理由のひとつとしては、WindowsストアとWindows Phoneストア(旧Windows Phone Marketplace)の現状が異なるという点が考えられます。Windows 8向けのWindowsストアがゼロからスタートしたのに対し、Windows Phone 8では10万を超える既存のWindows Phone 7.5向けアプリにアクセスできるからです。
ただし、Windows Phone 8では画面解像度が3種類になります。Windows Phone 7.5には存在しなかった新しい2つの解像度について、アプリ側で対応が必要となります。また、Windows Phoneアプリのなかには“バージョン1.0”のまま放置されているアプリも少なくありません。Windows Phone 8対応と同時に、機能面でのバージョンアップも期待したいところです。
もちろん、Windows Phone 8の新機能を生かした専用アプリにも期待です。Windows Phone 8 SDKでは、新しい決済機能“Wallet”の呼び出しやライブタイルの高度な操作、“Nokiaマップ”へのアクセス、バックグランドでのデータ転送、外部ストレージからのファイル取得といったAPIが追加されると言われています。
↑Windows Phone 8のウォレット機能。日本ではどうなる? |
Windows Phone 8の購入を検討する際には、“Windows Phone 8専用アプリ”がどれくらい充実しているか、チェックしてみてはいかがでしょうか。
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
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