8月29日、ドイツのベルリンで開催された“Samsung Mobile Unpacked”イベントにおいて、サムスンがWindows Phone 8端末『ATIV S』を発表しました。
今回はこのATIV Sについて詳しくご紹介したいと思います。
↑ベルリンで開催されたSamsung Mobile Unpackedイベント。 |
■ATIV S発表の様子
イベントでは、英国サムスンのジェネラルマネージャーDamian Cusick氏がWindows 8やWindows RTに対応したPCを発表。その流れで、Windows Phone 8端末であるATIV Sを紹介しました。
↑ATIV Sを発表。 |
↑4.8インチ、8.7ミリ厚という具体的なスペックも公開。 |
↑Officeも搭載している。 |
Cusick氏がステージ上で取り出したATIV Sは、スタート画面のタイルが実際に動作しているように見えるため、モックアップではなく実機と思われます。ただしイベント会場にATIV Sの展示はなく、あくまでプレゼンテーションのみの公開となりました。
↑実機と見られる端末も公開。 |
↑会場内に展示機はなかった。 |
■ATIV Sとは?
そこで、現在わかっている情報からATIV Sの姿に迫ってみたいと思います。
↑ATIV Sの端末画像。 |
大きさは70.5(W)×8.7(D)×137.2(H)ミリで、重量は135グラムとなっており、GALAXY S IIIとほぼ同じサイズ・重量となっています。最近のサムスン端末に見られる、薄型・軽量で大画面のスマートフォンになりそうです。
プロセッサーは1.5GHzのデュアルコアとなっています。現時点でWindows Phone 8向けのARMプロセッサー供給元はクアルコムのみが発表されているため、同社のデュアルコアモデルと思われます。
メインメモリーは1GB、ストレージは16GBまたは32GBとなっており、Windows Phone 8で新たに対応したマイクロSD(SDXC)スロットを備えています。
ディスプレーは4.8インチの“HD Super AMOLED”です。HD解像度(720×1280ドット)は、Windows Phone 8で新たにサポートされる解像度のひとつです。
カメラはメインとフロントの2ヵ所に搭載。メインは800万画素、フロントも190万画素とかなりハイスペックです。フルHDでの動画撮影にも対応しています。
通信規格はHSPA+の850/900/2100MHz帯に対応しており、アメリカやヨーロッパで広く使える3G規格となっています。LTEには言及されていないため、非対応のようです。ほかにNFC、Bluetooth、WiFiも搭載しており、これらによるファイル共有にも対応しています。
サムスン独自サービスとして、GALAXY S IIIと同時に始まった音楽サービス“Music Hub”に対応しています。ただし対応可否は地域によって異なると説明されています。
バッテリーは2300mAhで、GALAXY S IIIより10%ほど大きくなっています。
全体的にGALAXY S IIIの設計を踏襲しているとはいえ、Windows Phone 8用に細かくアップデートされていると言えるでしょう。
■サムスンはPCを含めフルラインナップを発表
ATIV Sの発表はスマートフォン業界でも“サプライズ”として受け止められていますが、その最大の理由はノキアに先行して発表したという点が挙げられます。
Windows Phoneの顔とも言える『Lumia』シリーズを展開するノキアは、マイクロソフトのスマートフォン事業において最も重要なパートナーだったはずです。そのノキアは9月5日、最初のWindows Phone 8対応Lumiaを発表すると見られています(※9月4日に執筆)。しかしその1週間前に、サムスンがATIV Sを発表してしまったわけです。
しかもサムスンは、単にWindows Phone 8端末をリリースするだけではありません。同時に発表した『ATIV Smart PC』や『ATIV Tab』、『Series 9』といった強力なPCもラインナップしているのです。
↑サムスンはスマートフォン、タブレット、PCのフルラインナップを発表した。 |
もちろんノキアは携帯電話やスマートフォンの世界では世界屈指のメーカーですが、タブレットやPCのラインナップはありません。現在発表されているWindows Phone 8のハードウェアパートナーはノキア、サムスン、HTC、ファーウェイの4社ですが、このなかでスマートフォンとタブレットとPCすべてに製品を投入できるのはサムスンだけです。
今後、Windows 8とコアを共有するWindows Phone 8では、PCやタブレットとの連携の重要性が高まります。サムスン以外にも、PCの世界で著名なプレイヤーが参入してくる可能性も十分に考えられます。
このようにタブレットやPCへの期待が高まるなかで、ノキアがどのようなアプローチでWindows Phone 8にエントリーするのか、注目したいところです(※9月4日に執筆)。
山口健太さんのオフィシャルサイト
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