このところ、スマホと言えばiPhoneかAndroidの話題ばかりなのだけど、実は僕がドコモ回線で使っているのはBlackBerry Bold 9900だ。ソフトバンク回線はiPhone 4S、KDDI回線はHTC J(嫁さんのぶんをiPhone 4Sにして比較可能に)、そしてドコモがBlackBerry Bold 9900。加えてMVNO回線でWindows Phoneも使っているが、この中で利用頻度が高いのはHTC JとBlackBerry Bold 9900。ほぼ毎日、持ち歩いている。
BlackBerry Bold 9900
↑9月上旬に発売予定の“Pure White”モデル。 |
OS | BlackBerry OS 7.1 |
CPU | MSM8655(1.2GHz) |
ディスプレー | 約2.8インチ(640×480ドット) |
カメラ | 約500万画素(インカメラなし)、動画1280×720ドット |
メモリー(RAM) | 768MB |
内蔵ストレージ | 8GB |
バッテリー | 1230mAh |
3G通信速度 | 下り最大14Mbps、上り最大5.7Mbps |
WiFi | 802.11a/b/g/n |
Bluetooth | V2.1+EDR |
その他機能 | テザリング(最大5台)、NFC |
SIM | 標準サイズSIM |
サイズ | 約66(W)×10.5(D)×115(H)mm |
重量 | [Charcoal Black]約130g、[Pure White]約135g |
■BlackBerry Bold 9900とHTC Jを持ち歩いている理由
ドコモからこのモデルが発売されたのは今年の3月だけど、端末を開発するリサーチ・イン・モーション(RIM)が米国で販売を開始したのは昨年、2011年8月である。
昨年8月というと、iPhoneはまだシングルコアCPUで、Androidも一部の製品しかデュアルコアCPUになっていなかった時代だ。BlackBerry Bold 9900のCPUはシングルコアの1.2GHz動作で、グラフィックもAdreno 205。今の時代感から言うと、世代としては1世代ちょっと古い感じだろうか。カメラも画素数はともかく、画質の面で秀でた部分があるわけではない(ちょっとしたメモや記録などの実用には十分)。2.8インチ、640×480ドットの液晶は高密度で文字はキレイだがサイズは小さい。
スペックや性能だけで言えば、BlackBerry Bold 9900をそれほど魅力的だとは思わないかもしれない。
では、なぜHTC JとBlackBerry Bold 9900を併用しているのか? というと、この2つがまったく異なる特徴を備えているから、という理由がひとつ。これがHTC JとiPhone 4Sという組み合わせならば、僕はどちらか片方しか持ち歩かない。両者は(おサイフケータイなどの日本向け機能は別にして)製品のタイプが似ているからだ。しかし、BlackBerryはスマホといっても、ちょっと質が違う。
そして、従来の携帯電話と同じように、利用するサービスや機能とハードウェアをすり合わせて開発されたBlackBerry Bold 9900には、CPU性能などを気にしなくともキッチリ仕事をこなしてくれるという側面がある。“BlackBerryでやりたいこと”が決まっているなら、(あまり)スペックを気にする必要はないというのがもうひとつの理由だ。
■パソコン的スマホと携帯電話の長所を併せ持つBlackBerry
現在のスマホ戦力の中では最古参と言えるBlackBerryだが、iPhone、Android、Windows Phoneといったスマホとは、やや性格が異なる。それらがパソコン的汎用コンピューターを携帯電話の形状とサービス形態に合わせてアレンジしたものだとするなら、BlackBerryは情報通信の世界を飛び交う情報を携帯電話で効率的に取り扱うよう進化させたものだ。
細かく言えば、BlackBerryのメール機能やウェブアクセス機能は、パソコンと同じようにインターネットへと接続する他のスマホとは違う。それは、効率的に通信する必要があった通信速度の遅い時代(最初の製品は1997年登場)に開発されたものだからだ。
ユーザーにとってのBlackBerryの価値は、あらゆる情報が1ヵ所に集まり、一括して処理できる気持ちよさにある。アプリを使い分け、情報をチェックして返信するのではなく、自分あてに届いた情報はホーム画面の通知機能からまとめてチェックでき、さらに『メッセージ』というアプリですべてが見渡せる。
たとえば、電子メールの一覧に混じって、TwitterのDM、Facebookのお知らせやメッセージ、Skypeのメッセージ、Foursquareからの通知などが入ってくる。BlackBerryを持っていれば、各アプリやサービスを巡回しなくとも、自分あての情報があるかどうかをすぐに見分けられる。
↑標準の『メッセージ』アプリで、メール、BBM、Twitter、Facebookの受信やアプリのバージョンアップに関する情報など、あらゆる通知を受け取れる。 |
これはBlackBerry OSが、メッセージ交換を効率的に行なうことを前提につくられているからだ。何かのメッセージを受け取り、それに対してアクションを起こす。人と人とのコミュニケーションの中心点として端末が情報を整理してユーザーに見せる。これを実現するために、BlackBerry OSは対応アプリに対してメッセージの“ハブ”として機能するよう通知やメッセージの扱いについて機能を整備している。
また、これらのメッセージは串刺しでかんたんに検索できる。いちいち検索機能を呼び出さなくとも、おもむろにホーム画面からキーボードから文字入力を始めれば、電話帳や各種サービスのメッセージなどを検索し始める。必要な情報へと到達する速度はBlackBerryがいちばん速い。
↑ホーム画面でおもむろに人名を入力するだけで、関連するやり取りを検索できる。 |
こういったQWERTYキーボードを搭載していると電話をかけにくいのでは? と思うかもしれないが、上記のように電話帳を素早く検索できるだけでなく、数字が割り当てられたキーを叩けば直接ダイヤルが可能だ。いちいち、電話アプリを呼び出す必要はない。
↑数字は通常“alt”+文字キーで入力するが、そのまま数字兼用の文字キーはそのままでも電話番号と認識する。 |
このように“自分宛のメッセージを最短距離で効率的に扱う”ことに特化した機能の実装は、アプリを次々にインストールして自分なりの新しい端末へと仕上げていく昨今のパソコン的スマホとはかなり違う。
もちろん、BlackBerryでもiPhoneやAndroidのようなアプリも動作するが、主たる機能はメッセージ交換。BlackBerry Bold 9900のCPUが旧世代でも実のところあまり気にならないのは、得意分野では軽快に動いてくれるからである。
近い将来、タッチパネルベースの新しいBlackBerry OSになったときには、もっとCPUに対する要求は厳しくなるだろう。しかし、現行の“Bold”シリーズにおいて、その部分はあまり気にしなくてもいい。確かにウェブブラウザーがやや遅い(とはいえ、これでも従来よりかなり高速化した)という面はあるが、筆者の場合は『Opera mini』を使ってそれなりに満足できるパフォーマンスを得られている。
↑BlackBerryでは『Opera mini』ブラウザーも使える。App Worldから無料でダウンロード可能。週アスPLUSのPC版トップページは、標準ブラウザーの2倍の速さで表示した。※3G環境で計測。Opera miniは約20秒、標準ブラウザーは約40秒。 |
■ハードウェアキーボードも魅力のひとつだけど……
もちろん、BlackBerryのもうひとつの魅力には、ハードウェアキーボードもある。BlackBerry Bold 9900のキーボードは9700シリーズより若干広く、9000に比べても軽快になり打ちやすくなったし、そもそものキーレイアウトや入力方法は慣れれば慣れるほど使いやすくなっていく。当初はフリックのほうが速いと思っていた日本語の入力も、最近はBlackBerry Bold 9900のほうがラクになってきた。
↑確かなクリック感があるが軽快なQWERTYキーボード。写真は販売中の“Charcoal Black”モデル。 |
ただし、ハードウェアキーボードはBlackBerry Bold 9900が持つ魅力のごく一部でしかない。僕がこの端末を手放せない理由は、それが最もラクに自分宛のメッセージを処理する手段だからだ。もちろん、広い画面でゲームを遊んだり、動画を楽しんだりするエンターテインメント性の高さはないかもしれない。最近人気のLINEもまだ登場していない。それらを差し引いても僕にとってBlackBerryの価値は十分に高い。スマホは自由度が高くてなんでもできるかもしれないけれど、自由度が高すぎて使い方がよくわからない。使い方はわかるけど、ちょっとめんどう。
そんな風に感じているなら、BlackBerry Bold 9900はなかなかいい選択肢じゃないかな。特にスマホ2台持ちの人には、ちょっと性格の違うプラスアルファになってくれるはずだ。
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