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コンプガチャ正式に違法判断 どうなるソーシャルゲーム!?

2012年05月18日 20時30分更新

 コンプガチャ正式に違法判断――市場規模が3000億円を超えるまでに成長し、主要プラットフォーム2社(DeNA・GREE)だけで6000万人の会員を抱えるソーシャルゲーム。40パーセントを超えると言われるその高い利益率を支えてきた仕組みのひとつにメスが入ることになった。

 コンプガチャは、ここ1~2週間で急速に注目を集めたキーワードだ。今回、この仕組みの何が問題とされ、どんな影響が出てくるのか? それを理解するためには、先にソーシャルゲームにおけるマネタイズの仕組みについて整理しておく必要がある。

コンプガチャ違法判断

↑5月18日、消費者庁で記者向けブリーフィングを行なう表示対策課 片桐一幸課長。

 ソーシャルゲーム内で利用できるアイテムを、有料で販売するのが“アイテム課金”。駄菓子屋の店頭にあるようなガチャガチャマシーンを模した画面で、ユーザーがガチャを回し、ゲーム内で利用できるアイテムを当てるのが“ガチャ”。そして、そこで出てきたアイテムを一定の組数集めると、さらにレアな(ゲーム内で強力な効力をもあつ)アイテムを得られるのが“コンプガチャ”だ。

 この“当たる”という仕組みで得られるアイテムは、景品表示法(以下景表法)に定められた“景品類”であり、コンプガチャは景表法に基づく“懸賞景品制限告示第5項”の以下の禁止事項に該当するという判断が先ほど正式に消費者庁から示された。

二以上の種類の文字、絵、符合等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組み合わせを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、景品類の最高額や総額に関わらず、提供自体が禁止。

 やや法律論的な話になってしまうが、これまでそもそも“ソーシャルゲームのデジタルアイテム”は景品に当たるのかといった議論や、単純なガチャは問題がないという見解が示されたのに、コンプガチャはまぜNGなのかといった点があいまいだった。今回、“カード合わせ”を用いたコンプガチャは景表法に照らして違法という明確な判断が下ったことになる。消費者庁から配付された資料にはこのカード合わせに対して“その方法自体に欺瞞性が強く、また、子供向けの商品に用いられることが多く、子供の射幸心をあおる度合いが著しく強い”と見解が示されている。

 既に、ソーシャルゲーム連絡協議会(いわゆる6社協)の加盟各社をはじめ、KLABなどのSAP(Social Application Provider)各社は順次コンプガチャを廃止することを表明している。それを追う形となったが、消費者庁では6月末までの猶予期間を設けたのち、7月から違法として扱うこととなった。この間、以下のような運用基準についての改正案を提示し、パブリックコメントを募るという。

「『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準について」の改正に関する意見募集(関連サイト)

コンプガチャ違法判断

「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準

告示第5項(カード合わせ)について

次のような場合は、告示第5項のカード合わせの方法に当たる。
携帯電話ネットワークやインターネット上で提供されるゲームの中で、ゲームのプレイヤーに対してゲーム中で用いるアイテム等を、偶然性を利用して提供するアイテム等の種類が決まる方法によって有料で提供する場合であって、特定の数種類のアイテム等を全部揃えたプレイヤーに対して、例えばゲーム上で敵と戦うキャラクターや、プレイヤーの分身となるキャラクター(いわゆる「アバター」と呼ばれるもの)が仮想空間上で住む部屋を飾るためのアイテムなど、ゲーム上で使用することができる別のアイテム等を提供するとき。

 この案を見た記者からは、「異なるアイテム等を全部そろえ集めたプレイヤーに対して、ゲーム上で使用できる別の“アイテム”の提供ではなく、キャラクターの強さなどの“ステータス”が変化する、ということであれば違法ではないのか?」という質問が飛んだが、それに対して「経済上の利益(換金可能かどうかを問わず)の提供であれば景品と見なされ違法と考えられる」という回答があった。

 今回は消費者庁としてあくまで景品表示法の範疇での判断を示した物だが、パブリックコメントを募っている段階であり、まだその運用については流動的だ。ガチャにおける“確率の表示”が行なわれていないことについて、不当表示にあたるのではないかという指摘もあるが、そういったソーシャルゲーム関連の他の課題や懸念について答えたものではない。また、ビンゴガチャ等類似の仕組みについては個別判断が必要だという。

 解釈の余地が残ったとはいえ、ソーシャルゲームの高い収益性を支えるひとつの柱だったコンプガチャが違法とされたこと、またそれに先立ち各社がその廃止を決めたことは、急成長を背景に海外展開も期待されているソーシャルゲーム業界にとって痛手となることは間違いない。また、今回のように運用基準に曖昧さが残ることは、過剰な萎縮や逆に基準の曖昧さを突いた脱法行為を生むリスクも含んでいる。

 消費者庁側はあくまで今回は景表法とコンプガチャの関係と、そこから生じる違法性についての解釈を明確にしたものであり、インターネット消費者取引連絡会や6社協をはじめとする業界側の議論の推移を見て、運営基準に反映していきたいとしている。

 このようにソーシャルゲームを巡る問題は、今回のコンプガチャの違法判断で決着という訳ではない。今後の動向にはまだ注目しておく必要があると言えそうだ。

消費者庁からの発表PDF(関連サイト)

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