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Twitterであらゆるものの距離が縮まる ディック・コストロCEOが来日スピーチ

2012年04月16日 21時30分更新

 4月16日、米国Twitterからディック・コストロCEOが、CEOに就任してから初めて来日。取材陣を前に“Fly with Twitter”と題したプレスセッションを行ない、スピーチを行なった。

ディック・コストロCEO

 コストロ氏は冒頭Twitterについて、“鳥の巣”と呼ばれる北京オリンピックのメインスタジアムの設計に携わった中国の現代美術家・建築家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏がロンドンで行なった展覧会にたとえて説明。そこには何百、何千ものセラミックでできたヒマワリの種が床一面に敷き詰められていたそうだ。

「遠くから見れば単に同じものが散らばっているだけなのですが、手に取ってみるとひとつひとつ形も色合いも違い独自性をもっていました。Twitterも同じです。世界中で毎日行なわれていることは膨大で捉えようがありませんが、近付くことによって距離を縮め、つながりをもつことができます」と語り、氏がもつTwitterのビジョンを“あらゆるものの距離を近づける”ことと説明した。

ディック・コストロCEO

 次に昨年の東日本大震災について言及した。震災時、Twitterは“家族や友人との連絡や安否確認”、“テレビや電話のインフラがダウンした際の水道、電気、鉄道などの情報の伝達”、“ハッシュタグを使った健康相談など特定の情報の伝達”の3つで人々の距離を縮めるのに使われた。

「Twitterがライフラインという重要な役割を担っていることが3.11以降顕著になりました。また、それを受けて世界中の政府機関から、災害時に備えどのようにTwitterを活用するべきかの問い合わせを受けています。今回は災害時に日本でTwitterがどのように活用されたかを正しく理解し、その教訓を世界に広め推奨するために日本に来ました」と語った。

ディック・コストロCEO

 さらに、震災直後“PRAY FOR JAPAN”のハッシュタグが世界中で駆け巡ったことをあげ、「何分後、何時間後ではなく直後から情報を発信できるTwitterはコミュニケーションを加速化させています」と、Twitterによってコミュニケーションの方法に大きな変革が起きているとも語った。

 これはチュニジアからエジプトへ波及した“アラブの春”についても言え、当事者達がTwitterを連絡手段としてデモの情報拡散などに使うだけではなく、世界中の人々が彼らを支持していることもTwitterによって肌で感じられたという。

ディック・コストロCEO

 コミュニケーションの変化についてはさらに「最近はニュースの当事者や試合中のスポーツ選手がリアルタイムでTwitterを使って発信することも珍しくありません。また、政治の世界でも、政党どうしのディベートの際などに、反対意見を翌日のプレスリリースではなく、瞬時にTwitterで表明できるようになっています。これもTwitterによって世界の距離が縮まりコミュニケーションが加速化してい例です」と、語った。

ディック・コストロCEO

 現在Twitterでは、1億4000万人のアクティブユーザーが1日約3億4000万のツイートをしており、アクティブユーザーの半分が毎日利用している。また、ユーザーの半数はモバイルデバイスからのアクセスだ。中にはこの規模で止めるべきだという意見もあるようだが、コストロ氏はまだまだ伸ばすべきだと考えているという。

 Twitterの今後については、ユーザーが生きる世界の中で今なにが起こっているかをきちんと把握できるよう情報を表示させることが重要とし、たとえフォローしていなかったとしても、ユーザーが必要な情報であれば見ることができるよう、UIをさらにインテリジェントにパーソナライズしていきたい。また、体験の共有をより容易にできるような仕組みも発展させたいと抱負を示した。

 さらに、現在もオープンAPIを提供しているが、今後はさらに進化させ、真の意味でのリアルタイムディストリビューションプラットフォームにし、企業がTwitterの中でビジネスを構築できるようにしていきたいとも語った。

ディック・コストロCEO

 最後に「世界的に見ても日本は多くの人がTwitterを使って積極的にリアルタイムでエンゲージしている貴重な国。1秒あたりのツイート数でも『天空の城ラピュタ』を始め日本が何度もレコードを出している。また、ハッシュタグなど機能の使い方に関しても最先端の例が見られる」と日本について評価し、今後ももっとも重要な市場のひとつとして日本にコミットし、投資も継続、開発やサポート人員も増やしていくと宣言。さらに企業での利用についてもTwitterがほかのソーシャルプラットフォームに比べてROI(投資利益率)が何倍も大きいことを強調。すでに欧米では評価を得ているが、今後日本でも実績をあげていくため営業担当も増やしていきたいと日本への注力を強調した。

ディック・コストロCEO

 スピーチの後は質疑応答タイムとなった。「デマや炎上などTwitterにおけるネガティブな側面についてどう考えているか」という質問には、「距離を縮めることに関連するマイナス面は理解しています。ですが、善意をもったユーザーが多くいればデマを払拭することは可能です。イギリスでの暴動でも善意のユーザーによってデマは沈静しました。また、Twitterの情報はすべて検索・参照可能なため犯罪の温床にはなりにくくなっています。今後も政府や当局と協力し、事前に発見・検知していきたいと思っています」と回答。また、「ライフラインとしての具体的な機能強化プランはあるか」との質問には、「まだ具体的なプランはありませんが、この来日で日本の大臣とも会談し、震災時の具体的な利用事例を深く理解するつもりです。もしかするとリストなど既存の機能をよりうまく活用することによって対応できるかもしれません」と答えていた。

 ちなみに週アスPLUSで募集した質問にあった“人生初のツイート”と“ラストツイート”について聞いたところ、初のツイートは覚えておらず、最後のツイートは「痛い! だろうね」と笑顔で答えてくれた。

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