サムスンツアーが終了し、多くのメディアが日本への帰路についたころ、なぜか携帯電話研究家・山根博士と、週アス副編・ACCNこと矢崎は、明洞(ミョンドン)の韓国料理屋でカムジャタン鍋をつついていた。
矢崎 まぁ、サムスンって世界で、日本でどうなのかしらという話です。かつて世界最大の携帯電話メーカーであったノキアもプレスツアーを豪勢に開催していたじゃないですか。いまやサムスンは世界一のスマホメーカーですよね。
山根 韓国とか世界の展示会に行くたびに、新しい端末が必ず出てきていますよね。この勢いが止まることはないと思いますよ。
矢崎 ノキアも当時こんな感じでした。
山根 ええ、スマートフォンの黎明期にノキアは世界中の注目を浴びていました。それと同じ勢いを感じますよね。
矢崎 初めて韓国に来たんですけど、ホント街中サムスンだらけなんですね。
山根 iPhoneが出た直後はアップルが一時的に伸びたんですが、サムスンが矢継ぎ早に新製品を導入したことで、おそらくスマートフォンのシェアはサムスンだけで70パーセントを超えただろうと思います。魅力的な製品を出し続けてきた結果でしょう。
矢崎 韓国の人はアップルは好きなんですか?
山根 もちろん韓国人もアップルの製品は好きですよ。それ以上に、いまのサムスンの製品には大きな魅力があるんです。大画面とか、高速なCPUとか、韓国人は新しいモノ大好きなんで。
矢崎 iPhoneは年に一度ですものね。
山根 実際、見た目だけで言えば2年に一度のモデルチェンジですよね。とにかく新しいモノが大好きなのと、韓国は日本以上にケータイからのウェブサービスの利用が進んでいるので、最新のスマートフォンで最新のウェブサービスを使いたいんですよ。そうなると、新製品を次々と出してくるサムスンに心を奪われてしまう。
矢崎 韓国のようにiPhoneよりもサムスンのほうがメジャーな国ってあるんですか?
山根 そう考えるよりも、世界シェア2位(ケータイを含めると依然ノキアが1位)の端末メーカーであるサムスンの母国ですから、サムスンとしても韓国人が欲しがらないような端末はつくらないわけです。母国で売れないものを海外で売ろうとしても無理ですから。韓国人でもiPhoneが好きな人はたくさんいますが、それ以上にGALAXYに魅力を感じている人は多いわけで。
矢崎 韓国独自のウェブサービスはAndroidとiPhoneの両方にスグ対応するんですか?
山根 そもそもPC向けのウェブサービスが一般に普及していたので、スマートフォンで利用する際、どのOSで使われるのかという区別をウェブサービス提供側がしてないのです。つまり、スマートフォンであればどんな端末でも不自由なくウェブサービスを利用できるわけです。
矢崎 なるほど。家電もよく目に付きました。
山根 世界中でサムスンの家電のシェアはかなり高いので、スマートフォンと家電の連携なども、おそらく他社より早い時期に実用的なシステムが出てくるんじゃないかと思います。
矢崎 日本だとサムスンはケータイとタブレットだけで、敵はアップルというイメージがあるのですが、ショールームを見てなんだかソニー的だなと感じたのです。GALAXY Playerがウォークマン、SenseがVAIO、あとスピーカーとかテレビ、デジカメなど似た展開してますよね。
山根 しかも白物家電もやっているので、総合電機メーカーとして世界で唯一の存在と言えてしまうかもしれません。
矢崎 ノキアは世界一勢いのある携帯メーカーだったじゃないですか。しかし、その瞬間ですら日本ではあまり知られていなかった。サムスンは同様にいま世界一のスマホメーカーですけど、当時のノキアと比べて、ブランディングはうまくやれていると思いますか?
山根 日本向けにローカライズしたり、ワンセグを搭載するなど、日本市場で受ける製品をつくろうと努力はしていますよね。日本市場を真剣に観察していると思いますよ。
矢崎 ノキアが日本の独自機能に対応できず、国内ではマニア好みの高機能ケータイとなっていった過去が、なんだか私にはサムスンと重なって感じられるときがあるのです。
山根 おサイフケータイには対応していませんが、一方でau唯一のNFC搭載端末を出すなど、日本のこれからの新しいサービスへの対応は怠っていないわけです。FeliCaへの対応は私個人的にはこれからもないと考えますが、FeliCaの次の世代であり、世界標準規格であるNFCに関しては完全に対応していくでしょうしね。
矢崎 国内でもNFC標準化の動きがありますからね。ところで、GALAXYのアクセサリーって韓国ではすごい豊富にそろっているのですね。日本でもこれだけよりどりみどりになると楽しいのですが……。
山根 日本でサムスンがアップルに追いつくためには、製品自体の魅力はもちろんですが、やはりアクセサリーを豊富にかつ自由に選べるようにすることも必要でしょう。
矢崎 スマホのラインナップだって、こんなもんじゃないですよね。日本じゃまだほんの一部しか出てこない。
山根 たとえばカラバリ展開も最初から3色用意するとか、GALAXY Noteだけでなくほかの製品もキャリアさんに勇気を出してもらって、バンバン投入してほしいところです! 全部買いますから(笑)。
矢崎 2000台目指してますね(笑)。
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