昨年9月にドイツのベルリンで開催した家電総合展示会『IFA 2011』でデビューを飾った“Ultrabook(ウルトラブック)”だが、ここ米国ラスベガスで開催中の『CES 2012』においても、その第2弾となるUltrabook製品が続々と発表されている。
■先行4社に加え、HPやDellもUltrabookに参戦
昨年9月のIFAのタイミングでUltrabookの新製品を発表したのは“東芝、エイサー、レノボ”の3社で、それに続く形で10月にASUSTeK(ASUS)が対応製品を市場投入し、これら全4社がUltrabookのローンチベンダーとなった。
そしてCES 2012では、新たにソニー、デル、HP、サムスンなどの対応製品が出そろった。既存ベンダーらも新たに新製品の追加投入を発表しており、Ultrabookのラインアップが一気に拡充された形となった。まずは先行する4社の製品をみていく。
今回ASUSはUltrabookの新製品を発表していないが、『Zenbook UX21/UX31』(11.6インチ/13.3インチ)の2モデルに新たにピンク色のバリエーションを追加している。基本スペックについての変更はないようだ。
↑ASUSの『Zenbook』。新しく追加されたピンクバージョン。 |
エイサーは『Aspire S5』という13.3インチの新製品を追加投入。既存の『S3』の上位モデルに位置する。Instant OnやAlways Connectといった既存の機能はそのままに、HDMIやUSB 3.0、20GbpsのThunderboltポートなどを備える。『S5』の最大の特徴はインテルの次世代プロセッサ“Ivy Bridge”に対応した点。このためIvy Bridgeが提供開始される2012年第2四半期以降の発売が見込まれている。
↑エイサーの『Aspire S5』。Ivy Bridgeを搭載して夏に登場の見込み。 |
東芝は展示ブース内で初代Ultrabookにあたる『Portege Z835』(日本では『dynabook R631』)のほか、従来モデルよりも大型な14インチディスプレーを備えた新しいUltrabookの展示を確認できた。ソリッドなデザインだった前モデルに比べ、金属的ながら丸みを帯びたデザイン、タッチパッドのボタンが排除されるなど、デザイン上の変更が大きい。
↑東芝の14インチUltrabook。やはりIvy Bridge搭載とみられる。 |
レノボは従来の『IdeaPad U300s』に加え、新たに『ThinkPad T430u』、『IdeaPad Yoga』という2つのUltrabook新製品をモデルに加えている。T430uは既存のThinkPad Tシリーズのバリエーションのひとつとして提供されるもので、Ultrabookのコンセプトに沿う形で薄型軽量化が行なわれている点が特徴となる。IdeaPad YogaはWindows 8世代をターゲットにしたUltrabookのコンセプトモデルで、タッチ操作と従来型のキーボード付きノートPCの両方の特徴を備えた製品となっている。
↑レノボの『ThinkPad T430u』。ThinkPad TシリーズのUltrabook版だ。 |
Yogaの面白いところは、ノートPC形態からディスプレーを開き、ヒンジを180度以上反転させるとキーボードの操作がロックされ、タブレットモードに移行することにある。ある程度折りたたんだ状態で立てかけてスタンド状に立てかけてもいいし、そのまま折り込んでタブレットとして利用してもいい。ディスプレーは全面ガラスのフラットなデザインになっており、Windows 8で指示されているデザインガイドに従った形になっている。
↑Windows 8世代をターゲットとした『IdeaPad Yoga 13』。 |
↑タッチ操作に対応したディスプレイを180度以上開くことが可能。 |
↑そのまま背面方向にディスプレーを折り込んでいくとキーボードの操作がロックされ、タブレットとして利用できる 。 |
東芝とレノボともに、具体的な製品投入時期や価格については発表していない。おそらく、『Aspire S5』同様にIvy Bridgeを備えて第2四半期または第3四半期以降の市場投入になるとみられる。
ローンチベンダー4社に続く形で昨年11月に13インチのUltrabook『Folio』を市場投入したHPだが、今回は新たに14インチの『Envy 14 Spectre』を発表した。筐体デザインは13.3インチクラスのものに準拠しながら、画面サイズは14インチと大型サイズを採用しており、非常にデザイン性が高くなっている。投入時期は2月で、1399ドル(約10万8000円)の販売価格を見込んでいる。
↑『Envy 14 Spectre』はキーボードに近接センサーを搭載し、人が近づくとバックライトが点き、離れると消える。 |
↑HPが昨秋に市場投入した『HP Folio』。13インチのUltrabookだ。 |
そして今回完全にニューカマーとなるのがライバルのデルで、『XPS 13』という新製品投入を発表している。これはCESでのインテルの基調講演でも紹介された製品。薄さを強調した13.3インチディスプレーの筐体が特徴となっている。発売は3月以降で、価格は999ドル(約7万7000円)以下になる見込みだ。
↑DellのUltrabook市場初参入となる『XPS 13』。 |
↑『XPS 13』はインテルの基調講演でも大々的に紹介されていた。 |
■ソニーやIntelからは、未来を予感させるデザインコンセプトモデルが……
このほか、ソニーやサムスンなどもUltrabookの製品投入を発表している。ただし展示会場に設置されたソニーの製品は触れない状態でケースに収められているなど、まだ発売日や価格を含めて詳細なスペックが明らかにされていないままの状態だ。
↑ソニーブースに展示していたUltrabookのテストモデル。 |
サムスンは展示品に触れるものの、2012年発売という以外の情報は明らかにしていない。
↑サムスンブースに展示していたUltrabook。 |
↑こちらもサムスンブースに展示していたUltrabook。 |
おそらく、両製品ともにIvy Bridge搭載で第2四半期以降の発売になる可能性が高いとみられる。価格はUltrabookのコンセプトに準じている以上、999ドル以下(約7万7000円)が目標になると予想(もっとも、サムスン製品が日本市場に投入される可能性は低いのだが……)。
Ultrabookの範ちゅうに含まれるかは不明だが、ソニーの製品に関しては“Ultrabookとして”展示されていたものよりも、“Design Concept”として公開していた“未来の”ノートPCに関するコンセプトモデルのほうが興味を惹くものだった。
↑ソニーブースでは、ノートPCとタブレットのそれぞれに“Design Concept”と書かれたコンセプトモデルを展示。近い将来に製品化されるのだろうか? |
↑ソニーブースのタブレット型“Design Concept”。 |
タブレット型のコンセプトモデルと合わせ、非常にユニークで格好いいデザインなので、ぜひチェックしてみてほしい。同様のデザインモデルは、Intel自身が基調講演の中で披露しており、単に“薄くて軽い”だけでなく、よりデザイン性を重視したファッショナブルな製品を選びたいと思うユーザーも多いだろう。このあたりを、ぜひ未来のUltrabookに期待したいところだ。
↑インテル基調講演では、Windows 8世代を見据えたノートPCのコンセプトモデルを紹介。 |
↑ノートPC形態のほか、ディスプレイを反転することでタブレットにもなるコンバーチブルPCのデザインとなっている。 |
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