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鼻の長さは従来の2倍! 時速320キロ時代の秋田新幹線こまち新車輌が公開

2011年11月13日 20時11分更新

 11月12日・13日、JR東日本秋田支社は、秋田車両センター内にて、2013年春から運行を開始する秋田新幹線用新型車輌『E6系』量産先行車の一般公開を実施した。

 現在、秋田新幹線『こまち』は、東京~盛岡間で東北新幹線の『はやて』に連結されて運行されているが、E6系を投入することで、将来的にはE5系『はやぶさ』とも連結する運用を予定している。

 E6系は『E5系』と連結すると、従来の時速275キロメートルから45キロも速い、時速320キロメートルで走行できる車両だ。

 なお、時速320キロメートル運行を開始することで、東京~秋田間の現在の最速乗車時間は最速3時間49分、そこから10~15分程度短縮される見込み。なお、盛岡~秋田間の区間では従来と同じ時速130キロメートル走行となる。

従来のE3系(左)と新車輌E6系(右)
鼻の長さは従来の2倍! 時速320キロ時代の秋田新幹線こまち新車輌が公開

 E6系の特徴は、なんと言ってもE5系のデザインを踏襲した長い先頭部。先頭部の長さは現在のE3系車輌の6メートルから7メートル長い13メートルにもなる。

 この長い形状にすることで、時速320キロメートル走行時でも安定して静かな走行が可能だ。現在、E5系以外の新幹線車輌ではトンネルに入るとき、騒音や揺れが発生するが、E5系ではトンネルに入った事すら気づかないぐらいに静かで揺れが発生しない。E6系もこの特性が受け継がれることになるわけだ。

 また、先頭部が長くなったことで、先頭車輌の定員が少なくなる。そのため、E6系ではE3系の6輌編成から7輌編成になる。投入される編成数は全部で26編成。現在のE3系からすべてE6系に切り替えられる予定だ。

台車まわりのカバーで騒音対策
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 時速320キロメートル運用では、現在よりも発生する走行時の騒音が大きい。これに対し、車輌の台車部分にカバーをすることで、騒音基準をクリアーしている。現場の担当者にうかがったところ、カバーをすることで、メンテナンスの手間はかかるが、騒音基準をクリアーしなければ運行自体ができないので、現場としては仕方がないと語っていた。また、E6系では台車に融雪のためのヒーターが搭載されており、従来のE3系よりも雪に強い車輌となっている。

車輌の連結部にはダンパー
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 高速走行時の安定性を上げたり、カーブで車体を傾けて速度を落とさずに走行させるために、車体にはダンパーや車体を傾斜する『フルアクティブサスペンション』を搭載している。ちなみに、この量産先行車は、川崎重工車両カンパニーが製造したもの。

車内はヘッドレストがある快適シート
鼻の長さは従来の2倍! 時速320キロ時代の秋田新幹線こまち新車輌が公開

 普通車の車内は、「実り豊かな秋田の大地」をイメージした稲穂のような黄金色。通路をあぜ道に見立てているとのこと。シートはヘッドレスト部分が上下に動くため、座ったときに頭が適度にホールドされて座り心地が従来のE3系よりも格段に良くなっている。

窓際の席にはコンセントがある
鼻の長さは従来の2倍! 時速320キロ時代の秋田新幹線こまち新車輌が公開

 新型車輌では既に当たり前になりつつあるが、E6系でも窓側の席でコンセントが使える。テーブルも15インチクラスのノートまでは余裕で対応できる広さだ。できれば、通路側の席でも使えるようにして欲しいところ。

端の席では通路側でもコンセントが使える
鼻の長さは従来の2倍! 時速320キロ時代の秋田新幹線こまち新車輌が公開

 車輌の進行方向前方の端であれば、通路側でもコンセントが使える。JR東日本では、窓口はもちろん、自動券売機やネット予約の「えきねっと」でも指定席を取る場所を選ぶことができるので、コンセントを使いたい場合は窓側か、車輌の端を選べば良い。なお、車輌の端でも進行方向となるうしろの席ではコンセントがシートの後ろになるため、使えないので注意が必要。

グリーン車は高級感たっぷりの革張りシート
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 11号車のグリーン車は高級感がある革張りシート。基本機能はE5系と同じ。秋田の名産『楢岡焼』(ならおかやき)の釉薬『海鼠釉』(なまこゆう)の青色と川連漆器(かわつらしっき)の漆の茶色を基調にした配色となっている。

 なお、シートは革張りとなっており、JRの担当者は「飛行機ならこれだけの革張りシートは重量の関係で搭載できない。新幹線ならではの高級シートですよ」と語っていた。

レッグレストで足が伸ばせる
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 シートの側面で操作する電動式のレッグレストを装備。足が持ち上げられて、足を伸ばして快適に過ごせる。

グリーン席ではすべての席でコンセントが使える
鼻の長さは従来の2倍! 時速320キロ時代の秋田新幹線こまち新車輌が公開

 グリーン車では、席の中間部分にコンセントがあり、23席すべてコンセントが使えるようになっている。

 12日の公開では先着1000名の定員に対し、11時の公開開始時点で早くも定員に達し、秋田市民の新幹線に対する関心の高さを垣間見れた。

 なお、このE6系の一般公開は11月19日・20日に大宮駅でも行なわれるが既に参加の応募受付は締め切られている。

 まだ実際に乗れるのは先となるが、既にE5系との連結走行の試験は行なわれており、運が良ければどこかでE6系の走る姿を見られるかも知れない。E5系もそうだったが、シートの座り心地は従来の車輌よりも格段に向上しているので、運行開始待ち遠しい車輌だ。

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