10月5日(米国時間)に訃報が伝えられた米Apple共同創業者で元CEOのSteve Jobs氏。関係者らによる同氏の追悼式典が日曜日にあたる16日夜、米カリフォルニア州パロアルトにあるスタンフォード大学内のMemorial Churchで行なわれた。
↑スタンフォード大学入り口 |
メディアシャットアウトでしめやかに行なわれた追悼式典
式典自体は同氏の身内や個人的に親交のあった著名人、IT業界エグゼクティブなど、ごく一部が招待されて行われたプライベートなものだったという。そのため報道陣は完全にシャットアウトされ、メディア関係者で招待されたものこそいたものの、直接式典の内容が報道されることはなかった。どのメディアも招待客から簡単な開催概要を聞いたり、ガードマンらによって厳重に入り口の守られた教会周辺の様子を伝えるのみだ。
米経済紙のWall Street Journalは、当日の周辺の様子をこう伝えている(関連サイト)。当日の現地はうっすらと寒い陽気で、イベントの概要を尋ねた通行人らに対し、警備の人らは「6-8時間ほどのプライベートなイベント」だと答えていたという。また追悼式典終了後にスタンフォード大学のキャンパス内にあるRodin Sculpture Gardenでレセプションパーティーが開催されるとの関係者らのコメントも伝えており、追悼式典とともに、故人を偲ぶパーティーを身内や関係者だけで執り行なったようだ。
またメディア関係者らがシャットアウトされたのは前述のとおりだが、当日はスタンフォード大学周辺のエリアを複数のヘリコプターが周回していたという。Apple広報によれば、これは地元メディアが手配した空撮用のヘリだという。
シリコンバレーの業界トップや著名人らが参列
今回、この式典にはどのような人物らが招待されていたのだろうか? 初報を伝えた15日のWSJの記事(関連サイト)によれば、パロアルトを中心部とするシリコンバレーの業界トップらがその招待客に含まれており、Jobs氏の配偶者であるLaurene Powell Jobs氏の設立した非営利団体(NPO)のEmerson Collectiveに参加の旨を伝えるよう連絡があったという。
New York Times(関連サイト)やTelegraph(関連サイト)によって報じられた招待客の名前を簡単に列挙すると、元大統領のBill Clinton氏、Clinton政権時代の副大統領で現AppleのボードメンバーであるAl Gore氏、Jobs氏の親友として知られるOracle CEOのLarry Ellison氏、ライバルであり友人として知られていたMicrosoft共同創業者のBill Gates氏、Dell CEOのMichael Dell氏といった具合だ。
IT業界以外の重鎮や著名な人物を挙げると、バンドグループU2のリードシンガーであるBono氏、フォークシンガーのJoan Baez氏、Pixar関係者のJohn Lasseter氏、News CorpのChief Digital OfficerであるJon Miller氏、元カリフォルニア州知事Arnold Schwarzenegger氏の元配偶者であるMaria Shriver氏などだ。
Apple内部からの参加者にはiOSソフトウェア開発トップのScott Forstall氏の名前が挙がっており、おそらくはCEOのTim Cook氏らほかのエグゼクティブも参加していたものとみられる。
このほか、International Business Timesが複数の報道を引用して伝えるところによれば(関連サイト)、Jobs氏の実の妹にあたるMona Simpson氏が現地時間で午後5時半に会場に到着したことを報告しており(Jobs氏はJobs家の養子であり、実の両親の間に後に産まれたのがSimpson氏である)、多くの参加者らは午後6時前には到着していたとのことで、式典のスタート時間は午後6時過ぎだったとみられる。
また現在Appleと特許侵害と意匠問題で全面戦争に突入しつつある韓国Samsung Electronicsからは、同社会長Lee Kun-Hee氏の1人息子で同社現COOのJay Lee氏が式典に参加していたという。険悪な関係とはいえ、現在も部品供給など関係は続いており、葬礼といった儀礼事項はまた別の話というわけだ。
Twitterで漏れ聞こえてきた式典の様子
関係者らは直接コメントを出していないため、その概要やほかの参加者らの名前を知ることはできない。だが、NYTでは式典に参加した人物の1人である英国人俳優のStephen Fry氏がTwitterで「I don't know that there was ever a more beautiful memorial service. Everyone who spoke did so with such passion and love and simplicity.(こんな美しい追悼式典はこれまでになかった。話していた人すべてがそのような感情と親愛の情を率直に抱いていた)」と発言していた(関連サイト)ことを紹介しており、式典自体はJobs氏の栄誉を称えるものだったという。
また式典参加者かは不明だが、米カリフォルニア州知事のJerry Brown氏は自身のTwitterアカウントの中で「This Sunday will be Steve Jobs Day in the State of California.(今週の日曜は、カリフォルニア州におけるSteve Jobsの日となるだろう)」とツイートしている。
なおNYTによれば、Apple自身はこの式典とは別に、同社従業員向けにJobs氏を偲ぶプライベートなイベントを19日(現地時間)にも同本社のあるカリフォルニア州クパチーノで開催する予定だという。だがこちらもプライベートなイベントなので、直接報道される機会はないと思われる。
われわれ一般ユーザーが直接こうした式典に参加する機会は残念ながらないが、現在もなおパロアルトにあるJobs氏の家や各地のApple Store前には献花や供物、キャンドルの灯火が絶えることはなく、それだけ同氏の存在が大きかったことがわかる。
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