先日、ソフトバンク冬春モデルのひとつとして発表された『STAR7 009Z』は、中国・深センに本社を構えるZTEが開発したもの。
海外メーカーの端末としては珍しく、ワンセグと防水に両対応。ソフトバンクの人気キャラクター、“お父さん”犬をアレンジしたライブ壁紙やわかりやすい独自UIも採用し、さらに限定でお父さんストラップまで付属するユニークなモデルとなっています。
'08年に日本法人を設立してから、急速に存在感が大きくなりつつあるZTE。日本法人の端末最高責任者、王旗副社長に『STAR7 009Z』の開発秘話などをうかがいました。
↑ZTEジャパンの端末最高責任者、王旗副社長。 |
STAR7 009Z |
↑Android2.3、1GHz CPU、3.8インチ液晶(480×800ドット)を搭載。ターコイズなど、メタリックな塗装の7色で展開。“お父さん”が宇宙遊泳する独自のライブ壁紙と、アプリをジャンル分けして表示する独自UIを採用した。11月下旬以降発売予定。 |
――『STAR7 009Z』はずいぶん日本市場に特化したモデルのようですが、企画はどのように行なっているのですか?
「日本のユーザーのこだわりに応えられるように、ソフトバンクとは初期の段階から一緒に企画しています」
――お父さんを使うのはどちらのアイデア?
「もちろんZTEが決められることではありませんが、希望は出しました。『STAR7 009Z』は宇宙空港間の惑星をイメージした端末です。宇宙服を着たお父さんが浮遊する壁紙、お父さんアイコン、7色別に用意した個装箱、限定のお父さんストラップをそろえ世界観を統一するなど工夫しています。キャラクターのデザインや設計は、ソフトバンクの著作権の範囲なので、ソフトバンクとともに行なっています」
↑限定で付属する“お父さん”ストラップ。宇宙服を着ています。 |
――『STAR7 009Z』は日本だけで発売されるのですか?
「はい。ワンセグや防水など、海外モデルにはない独自の機能を採用した日本市場オンリーのモデルです。UIも日本モデルだけのものです」
――UIのカスタマイズの要望は日本が強いのですか?
「そうですね。海外モデルはたとえばAndroid端末の場合、Androidそのままのシンプルなものが多いですね。でも日本のモデルでは、独自のUIに力を入れています」
↑『STAR7 009Z』の独自UI。ホーム画面の“ALL APP”をタップすると、アプリのジャンルが表示される。 |
↑アプリのジャンルを選択すると、インストールされているアプリを表示。 |
――日本と中国では、どのように企画や開発を分担していますか?
「日本法人で行なっているのは営業とマーケティングです。ほかの海外の拠点と違って、日本では特にマーケティングを重視しています。つまり、ユーザーのニーズを調査して企画を決めるのは日本、設計や生産は中国です。
日本と中国は時差は1時間だけ。たとえば米国とヨーロッパよりずっと近い。電話会議も苦労しないし、出張も移動が2、3時間のレベルで済むから問題ないですよ」
――いま海外メーカーには追い風ですよね。サムスンは長年の挑戦のあと、GALAXYシリーズで大成功を収めています。
「それは、アップルさんに感謝ですね(笑)。iPhoneで価値観が変わりましたから。
ZTEのブランド力はまだ強いとは言えませんが、今年から徐々に日本でも認知度が高まってきていると感じています。
『ULTRA WiFi 007Z』という、下り最大42Mbps対応のWiFiルーターも絶好調で、よく売れています。9月29日から、新しいCMが2つ始まったんですよ。これはウルトラマンに感謝します(笑)。ウルトラマンは非常にブランド力があって、子供から四、五十代の方まで知っていますからね。以前、弊社のスタッフはウルトラマンのCMを見て“涙が出た”と言っていました(笑)」
ULTRA WiFi 007Z |
↑下り最大42Mbps、上り最大5.8MbpsのWiFiルーター。本体サイズは約53(W)×16.6(D)×102(H)ミリ、約97グラム。バッテリーでの連続通信時間は約4時間。7月8日発売。 |
↑ソフトバンクのCMとキャンペーン情報のウェブサイト。『ULTRA WiFi 007Z』の最新テレビCMにはウルトラマンが登場。現在全国で放映中。 |
――現在はソフトバンクで展開している製品が多いようですが、ほかのキャリアに広げたいという考えは?
「ええ、もちろんあります。とはいえ、いまソフトバンクだけでもスマートフォン3機種、キッズフォン、WiFiルーターなど多数あります。そのほかにウィルコムの製品も日本通信の製品もありますから、一年中何かしら製品が出ていますね」
――ZTEのスマートフォンは現在エントリーからミドル向けのもの中心で、買いやすい価格で質がいい、ということが利点だと思います。ハイエンド向け端末についてはどう考えていますか?
「積極的に挑戦しています。ハイエンド向け端末でもコストを下げられるのは、グローバル企業の強みです。部材調達やリソースをグローバルで共有できますので。ZTEはこの強みを生かして、ハイエンド市場にもチャレンジしていこうとしています。
ただし今はまず、数を出すことと品質の向上を目指しており、それによりZTEの認知を徐々に広めています。『Libero 003Z』はグローバルモデルでは『Blade』といいますが、中国では1日に1万6000台も売れています。
しかし日本では、'08年にゼロからスタートしたという意識でやっています。“こうすればもっと便利になる”、“こうすればもっとカワイくなる”などの情報を日本で収集し、日本市場の分析を続けて次の商品に反映するよう力を入れています。
“液晶を明るく”、“液晶を大きく”とか、“ボタンの位置をもう少し上に”といった細かい意見も、ショップや購入者から聞いて、開発陣にすぐにフィードバックするようにしています」
……王さんは大学院生のころから日本に住んでいるそうで、もちろん日本語はとても流暢。大学時代の住まいが編集部イトーの実家と至近だーっ、ということで、このあとも話は盛り上がりました。
ちなみに、ZTEの意味は、Zが“中興”を意味するピン音(中国語の発音表記)、Tが“Telecommunication”、Eが“Equipment”なのだそうです。
ちなみにちなみに、この1年でZTEの従業員数は6万人から8万人に増えたんですって。1年で2万人!! そんなこんなで行き交う従業員が多いため、研究開発拠点に自社でホテルを建ててしまったそうです。ひぇ~(@0@)
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