IFA2011では、ソニーのタブレットやサムスンの新製品が大きな話題となりました。世界最大級のコンシューマーエレクトロニクスショーには毎年世界中から1000社以上の企業が出展しており、昨年からはモバイル関連の展示も目立ち始めています。今年の展示から、各社のスマートフォン戦略を探ってみました。
最も勢いを感じるサムスン 防水防塵対応モデルも
アップルとの訴訟問題に揺れるサムスンですが、IFAではタブレットとスマートフォンの3機種の発表会を行なっています。8月上旬に発表された新機種も含め、10機種以上ものスマートフォンが展示されていました。MシリーズやYシリーズなどミッドレンジ以下の製品や、タフなボディーの『GALAXY Xcover』など製品のバリエーションも増えています。
『GALAXY Note』で新しい用途を開拓
なかでも注目は5.3インチサイズの『GALAXY Note』。5インチのスマートフォンはデル『Streak』などがありますが、『GALAXY Note』はスマートフォンとタブレットの間を埋める製品として開発されています。目指すものは“紙のノートの代替”といったところで、本体に収納可能なスタイラスペンが付属します。
『GALAXY Note』内蔵のメモアプリのほか、写真やウェブページを表示してその上に自由に手書き入力が可能で、情報収集や共有するには便利な端末になっています。スマートフォンともタブレットとも違う、第3のカテゴリの製品として今後どのように発展していくかが楽しみです。
実測下り50MbpsのLTEスマホ
『GALAXY S II LTE』は800/1800/2600MHzのトライバンドに対応する始めてのLTEスマートフォン。会場では実際にVodafoneドイツのLTEネットワークを掴んでいましたが、下り速度は40-50Mbps前後の速度を常時出していました。ヨーロッパやアジア各国でこの冬発売されます。日本でも恐らくこの派生モデルが登場するでしょう。
サムスンはこれまでハイエンドの『GALAXY S』シリーズを中心にスマートフォン展開を行なっていました。今後は製品バリエーションを幅広く展開し、機能だけではなく製品価格帯やターゲット層を増やすことでスマートフォン全体の販売数を大きく引き上げようとしているようです。
HTCはWindowsPhone7も展示 海外でもMango端末が発売
さてサムスン以外のスマートフォンの展示は、端末の総合販売代理店ブースに集約されており、やや小規模な展示が行なわれていました。
Windows Phone 7.5を海外で初搭載した『Titan』と『Radar』をロンドンで発表したばかりのHTCは、この2機種をさっそく展示。『Titan』の4.7インチディスプレーはスマートフォンとしても大きい部類に属しますし、『Radar』のアルミボディーは高級さを感じさせるなどどちらもWindows Phoneとしても特徴的な製品です。アンドロイドだけではなくWindows Phoneでもハイエンド指向を目指すHTCの姿勢はしっかりとアピールされていました。
『arc S』はCPUを強化 マイナーチェンジで機種数増
今年のソニー・エリクソンは年初に『Xperia arc』、『Xperia play』、『Xperia neo』、『Xperia pro』と主力モデルを4機種発表しました。IFAでは下半期商戦向けのミッドレンジ製品として日本でもドコモから発売中の『Xperia ray』や防水防塵の『Xperia active』、小型の『Xperia mini』などを展示。また新製品として『Xperia arc S』と『Xperia neo V』も発表されています。
この2機種は上半期のヒット商品のマイナーチェンジモデル。『Xperia arc S』はCPUとカメラを強化、逆に『Xperia neo V』はカメラなどをグレードダウンして価格を引き下げています。上半期モデルのリフレッシュにより、他社の秋冬新製品と肩を並べる製品に生まれ変わったこの2機種も下半期の話題の製品になりそうです。
『Spider Phone』 合体ユニットが3種類
韓国のキャリア、KTが発表した『Spider Phone』はコンセプトが面白い製品です。スマートフォンを中心にノートPC型、タブレット型、ゲームパッド型の合体ユニットが提供され、用途に応じた形状で利用することができるというもの。1台の『Spider Phone』さえ持っていれば、ビジネス利用時はノートPC、エンターテイメント利用時はタブレット、と端末を使い分ける必要がなくなるとのこと。
『Spider Phone』は手前部分に入る
ノートPCスタイルにも タブレットは背面に装着
韓国のキャリアは傘下に端末メーカーを持っていて、この『Spider Phone』もKTの子会社であるKT Tech製のもの(韓国内ではTakeのブランドで製品を展開中)。KTは容量25GBのクラウドサービスを携帯電話契約者に提供していますが、新しいサービスの利用を促すためには自社開発のスマートフォンが有利と考えたようです。『Sprider Phone』は入出力周りの仕様も公開予定で、他メーカーの製品参入も期待しているとのことです。
次世代端末が一同に並ぶ NokiaはBelle搭載製品を展示
アンドロイド陣営以外では、BlackBerryがこの秋冬に投入する新製品4機種を展示。フルタッチ+10キーの『9900』、フルタッチ+スライドの『9810』、フルタッチの『9860』、スタイリッシュな『9360』といずれも最新のBlackBerry OS 7.0を搭載しています。
またNokiaもSymbian OSの最新バージョンであるBelleを搭載する『Nokia 700』や『701』を展示。Windows Phoneはまだ間に合わなかったものの地道に新機種を投入しています。なおNokiaの型番はここ数年わかりにくいものでしたが3桁のすっきりしたものに改善されました。
ヨーロッパでもアンドロイドがスマートフォンのメジャーOSとなり、各社からは様々な新製品が登場しています。そして対抗OS製品も新機種が続々と発表されるなど、IFAは“スマートフォン 秋の展示会”として各社の動向が反映されるイベントになっていくでしょう。
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