5月26日(木)から始まるNHK放送技術研究所の『技研公開』。24日に行なわれたプレス向けのプレビューに行ってきました。
今年のテーマは“あなたに伝えたい、デジタル放送の未来”。アナログ放送終了が7月に迫っていますが、NHK技研では地デジのさらに先を行く放送サービスの準備をすでに進めているわけです。そんな技研公開のプレビューで気になった展示をちょろっと紹介します。
■スーパーハイビジョン
まずは次世代放送技術の代表とも言える“スーパーハイビジョン”。7680×4320ドット、約3300万画素という解像度を実現する放送サービスです。2020年の試験放送を目指した放送インフラを含めた開発が進められており、以前から注目を集めていましたが、今年の展示はひと味違うようです。
フルHDの16倍という解像度ゆえに、これまではスクリーンにプロジェクターで投影していたスーパーハイビジョンですが、今年はシャープと共同開発した85インチの直視型液晶ディスプレーが登場! さすがにサイズはでかいけど実用化に向けて大きく進んでいる印象です。
もちろん投影方式のほうも進化しており、プロジェクターのサイズも若干小型化。まだ試作レベルだそうですが、スポーツのパブリックビューイングなどに利用できるんじゃないでしょうか。展示されていたものにはDVIケーブルが4本挿さってました。
このスーパーハイビジョンの展示では5分程度の映像を視聴できるのですが、今年はその動画も新しくなっているので、去年すでに観ている人でも楽しめるはず。(左が今年の映像です。)
そのほか、撮影用のカメラもひと回り小さくなってました。
■インテグラル立体テレビ
2020年の試験放送を目指しているのがスーパーハイビジョンですが、さらにその10年20年先の放送サービスとして開発されているのが“インテグラル立体テレビ”。
パッと見は3Dの映像を映すディスプレーですが、観る角度によって中の映像の位置関係も変化する仕組みになっています。実現すればテレビに映るお姉さんのスカートの中も観られるかもしれない、非常に夢のある映像技術です。
被写体の撮影と映像の表示の際にそれぞれトンボの目のようなレンズアレイを通すことで立体映像を再現できるんだとか。こちらも去年から進化しており、背景の映像がより鮮明になっているとのこと。
■ハイブリッドキャスト
スーパーハイビジョンとインテグラル立体テレビは10年以上先の実用化をにらんだ技術ですが、もうちょっと手前の3年後くらいの実用化を目指しているのが“ハイブリッドキャスト”。
放送と通信を連携させることで、テレビを視聴しながらスマホアプリなどを使って番組についてのチャットができたり、多言語字幕やピクチャーインピクチャーの正確な同期ができるとのこと。
サービスを利用するには別途受信機が必要とのことですが、いずれは受信機も組み込んだテレビが一般的になっていくんでしょうか。
■フレキシブル有機ELディスプレー
プラスチック基板上に有機EL素子や極小の電極などを配置して、ペラペラと曲がるくらいまで薄くした有機ELディスプレー。
携帯端末やイベント会場用のスーパーハイビジョンディスプレーなど、持ち運びのしやすさや軽さを前提とした用途のために開発されています。
解像度や発色など、まだ課題は多そうですが、動画はちゃんと再生されてました。
と、会場をまわって目についたものをササっと紹介してみましたが、百聞は一見にしかず! タッチ&トライのコーナーもあるので、ぜひ体験してみてください。28日と29日には技研職員による解説付きのガイドツアーも開催されますよ。
NHK技研公開2011
【日時】2011年5月26日(木)~29日(日) 10:00~16:00
【場所】NHK放送技術研究所(東京都世田谷区砧1-10-11)
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