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【ロングインタビュー】砂原良徳氏にニューアルバム『liminal』について伺いました!

2011年05月10日 16時45分更新

結論は死ぬまで出てこない
 
――圧倒的な美しさもラストの曲に感じましたが。

砂原 手で弾くのはさんざん嫌だと言っておきながら、最後は“今”の感じを素直に鍵盤を押して終わっているっていう。「俺はこう見えるな、こう感じる」って。でも僕にはあれが美しいか美しくないか、自分ではまだわからないんですよ。それはこの世が存在して、人や物の存在が成り立っているかが美しいかそうじゃないかってことになるから。その結論は死ぬまで出てこないなと思ってて。20代の後半に人類が美しいか、美しくないかってことについて、必死で答えを出そうと考えていたんですよ。でも結局答えは出ないとわかって今に至るんです。

――ただただ静かで美しいという印象だったんです。

砂原 それが音楽のおもしろさでしょうね。この曲を聴いて暗いと思う人もいれば、美しいと思う人もいる。その解釈の違いがいいんですよね。

――アルバムタイトルも含め、まさに今手に取るべき音が鳴っている1枚な気がします。

砂原 アルバムタイトル『liminal』については、たとえば日本の借金がもっているお金以上になったら絶対何かが起こりますよね。水が100度を超えると沸騰するように。限界点まで達して起こるアクション、その現象が気になったんです。世の中にあるすべてのものがそうであると思うんです。それで付けたんですよ。……本当に“今”ですよね。でも世の中なのか、自分なのかはわからないです。でもとにかく“今”という音、“今”を描いたということは間違いなくあります。それ以外のことはまだやっぱりわからないんですよね。 
 

2011 0510 liminal photo

砂原良徳 ニューアルバム
『liminal』
“今”が音で聴こえる

砂原本人が感じたままのリアルな“今”が鳴らされた10年ぶりの新作。ノイズと共に聴こえるメロディー、音の質感はダークさもあるが、同時に美しさも併せもっている。
●初回盤3360円 通常盤3059円 ●発売中 ●キューンレコード

【プロフィール】
1969年生まれ、北海道出身。今作を含め、現在までに5枚のオリジナルアルバムを発表している。新作は前作『LOVEBEAT』から10年ぶりの発表。サントラ制作や音楽プロデューサーとしても活躍中。
http://www.y-sunahara.com/
 

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