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ソニーのタブレットも展示! IC技術の未来が見える『IC Card World 2011』完全レポ

2011年03月24日 15時50分更新

ソニー:FeliCa拡大戦略ーーシール状のFeliCaタグやモジュールを紹介

 ソニーのブースでは、同社が『FeliCa Lite』として2年前から力を入れているFeliCaタグやFeliCaモジュールのコーナーもありました。これまで携帯電話(おサイフケータイ)とICカードで使われてきたFeliCaですが、シール状のタグやモジュールの形で通信インターフェースを取り出すことで、利用用途を一気に拡大させようというものです。

 ここでは、シールやモジュールのデモを紹介します。スマートポスターのコーナーでは、NFCタグシールを貼り付けたポスターにかざして詳細情報を取得するというデモがありました。デモでは、バンダイナムコゲームスの『アイドルマスター・秋月律子』のフィギアがケースに入りで登場、その横にあるタグ付きのポスターにスマートフォンをかざします。タグの中には人形の詳細情報が見れるURL情報が入っており、スマートフォンにこの情報が送られます。こうすれば、手元にあるスマートフォンでフィギアの詳細を存分に確認できますね。人の多いイベント会場や店頭で便利なサービスといえそうです。バンダイナムコゲームスではすでにこのスマートポスターサービスを提供中です。デモは2010年11月に秋葉原で開催された「メガホビEXPO」で実際に提供したサービスだそうです。

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 ポスターの裏側には『FeliCa Lite』というシール状のFeliCaタグ(NFC Type 3)が貼ってあります

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 ポスターにスマホ(『Nexus S』)をかざし『iCタグリーダー』を利用して情報をよみとります。

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 URLに接続するとフィギアの詳細情報が見れます。

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 FeliCaモジュール『FeliCa Plug』のコーナーでは、健康・医療ソリューションを紹介していました。FeliCaモジュールを搭載した体重計にスマートフォンをかざすと、事前にインストールしていた専用アプリが自動で起動して体重などのデータを取得します。オムロンヘルスケアは2010年後半にFeliCaモジュールを搭載した体重計と血圧計を販売開始しており、好評で品薄状態が続いているとか。

 これだけでなく、歩数計も数社から出ていました。また、糖尿病患者の増加に合わせ、ドクター向けの血糖値測定器も紹介していました。これは一般向けではなく、ドクターが一括購入して患者に渡し、定期的に血糖値の推移を見るという使い方だそうです。データはサーバー側にあり、それを見て健康アドバイザーやドクターがアドバイスすることができます。この分野では今後、婦人用体温計などさまざまな用途が考えられそうです。

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 FeliCa Plugを搭載したオムロンの体重計。

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 こちらは血圧計。

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 健康以外のモジュールの用途として、在庫管理などの物流で使われる『スマートタグ』というソリューションも展示されていました。これは、バーコードを表示できる電子ペーパーを用いて、NFC通信で管理するというものです。物流の現場ではバーコードを印刷したシール状のタグが主流ですが、書き換え可能な電子ペーパーならシールを貼ったりはがしたりが不要で、引き続きバーコードで管理できます。「それだけでなく、再利用できる電子ペーパーを利用することで紙(シール)の無駄も省くことができる」と説明スタッフは胸を張って説明していました。写真はFeliCaモジュールを埋め込んでおり、1万回程度書き換えが可能というスマートタグ。

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 右側の装置に取り付けられたリーダーでタグを読み込みます。

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 ソフトバンクが発売している『iPhone 4』向けの電子マネーシールもありました。現在、『WAON』、『nanaco』、『Edy』に対応しており、iPhone4に貼って電子マネーを利用できます。

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ソニー:NFC対応USBでICカードの利便性を改善、スマホ同士でデータのやり取りも

 ソニーが開発するNFC対応FeliCaリーダー/ライターを利用したソリューション。FeliCaリーダー/ライターの横に展示されていたFeliCaを搭載したAndroidスマートフォンのアプリケーション例からご紹介。

 おサイフケータイAndroidスマホ同士でタッチして、PC、Android、iPhoneに対応しているウィジェット『きせかえカレンダーのデータを渡すもので、デモでは、片方のスマホ側にあるIC Card Worldのスケジュールを別のスマホ側のカレンダーに転送しました。電子マネーなどのおサイフケータイ機能だけではなく、双方向通信を利用して「情報を送るプラットフォームとしてもFeliCaを利用できる例になる」と会場の説明スタッフ。イベント会場でのプロモーションやCRMなどさまざまな可能性がありそうです。こちらはスマホ同士でタッチしてURL付きのデータをやり取りできます。

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 データがもう一方のスマホにいきました。

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 ICカード運転免許証が2007年より段階的に導入されていますが、ブース内ではNTTデータが開発したICカード運転免許証の認証システムアプリケーション『BizPICO』が紹介されていました。NFCリーダー/ライターを接続したPCを利用するものです。ICチップ付きの運転免許証では発行/更新時に2種類の暗証番号を登録しますが、ソニーのNFC対応FeliCaリーダー/ライター「RC-S330/S」に免許証をかざし、2種類の暗証番号を入力します。すると、免許証上には記載されていない本籍地がPC画面上に表示されました。チップ内には写真データも入っており、改ざんされていないか、有効期限切れではないかなどを確認できます。
 

 

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 こちらがNFC対応FeliCaリーダー/ライター『RC-S330/S』です。

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 パスワード入力後、免許証には記載のない本籍地が表示されました。

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 ICカード型運転免許証はISO/IEC 14443 Type Bの非接触ICカード規格を利用していますが、このリーダー/ライター(RC-S330/S)はISO/IEC 14443 Type A/Type B、およびFeliCaに対応するNFC機能を搭載しているのでこういったアプリケーションが可能となります。

 Type Bは住民基本台帳カードなどでも採用されています。事業社向けとしてはこのほか、USBスティックタイプのリーダー/ライターの展示もありました。電子マネーカードなどのICカードとセットにして事業者が顧客に配布することを想定したもので、ここでは広島銀行が準備中というサービスを紹介していました。

 広島銀行は、広島地区の交通機関などで利用できるFeliCa利用のICカード「PASPY」と電子マネー(JCBのQUICPayかVisaのVisa Touch)をセットにした「〈ひろぎん〉PASPY」を提供しています。同行は現在、利便性改善のため、USBスティックタイプのリーダー/ライターをセットにしたサービスを実験中で、今年から段階的に展開していくようです。PCにUSBスティックを差し込み、〈ひろぎん〉PASPYをその上に置くと、チャージ残高や利用履歴などが表示されます。次のステップでは、ユーザーの嗜好に合わせてカスタマイズした情報ポータルを提供する予定だそうです。将来はオンラインバンキング用のデータもカード内に統合していくという構想のようですが、現時点ではオンラインバンキングはウェブからアクセスすることになります。

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 USBスティック型のNFC対応のリーダー/ライター。

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 PASPYの利用履歴や残高が表示されます。

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 カスタマイズした情報を提供するマイページ。
 

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 ソニーによるとパソコン内蔵型も含め、FeliCaのリーダー/ライターは1000万台以上出荷しているとのことです。

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