※このテキストは2010年10月に発売されたiPhone People誌面企画のために御回答いただいたメールインタビューの全文です。御回答の内容等は当時のものです。
※アプリの価格はAppStoreでお確かめください。
受け継がれる、確かなクラフトマンシップ
職人芸は、時代もプラットフォームも問わない
カプコンには、お家芸とも呼べる独特のクラフトマンシップがある。「在る」という以上に確かに受け継がれている。新たなプラットフォームにも臆することなく対応し、また、自分たちが作ってきた過去の名作タイトルに対しても躊躇なく再解釈を試みる。守るのではなく攻める職人は、いつもゲームの未来を見据えているのだ。
【お答えいただいた方】
手塚武氏(株式会社カプコン 開発統括本部 MC開発部長兼プロジェクト企画室長)
【1】2010年、iPhoneアプリをリリースされてきて、今、感じられていることを率直にお聞かせください。
とにかく動きが早いです。既存のゲームデベロッパーだけでなく、MacやPC、ケータイアプリの開発者やサンデープログラマまで世界中のあらゆる開発者がランキング1位をめざして日々しのぎを削ってますので常に油断できません。またAppleもそれに応えようとiOSを四半期毎に洗練させてますのでついていくだけでも相当な努力が要求されます。
この切磋琢磨を楽しめない開発者にはキツい市場でしょうね。幸い僕は新しい物好きなので嬉々として開発してます(プログラマではないのでコーディングの苦労は分かってないですけど)。
【2】2010年にリリースされた御社iPhoneタイトルについて、最も印象に残っているものを1本と、その理由をお聞かせください。
やはり反響が大きかったこともありストリートファイターIVですね。
無償バージョンアップしたことも大きな話題となりましたし、今後の開発の方向性を確認できたタイトルです。
ストリートファイターIV |
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【3】iPhoneゲームの将来の可能性を、どうイメージされていますか? どのような傾向、方向のものが増えてくると思われますか?
御社の方針とあわせてお聞かせください。
今ゲームを取り巻く環境が大きく変わりつつあります。昔アーケードゲームが担っていた「ゲームの入り口」という役割がiPhoneをはじめとするケータイゲームや話題となっているソーシャルゲームに移りつつあります。初めてのゲーム体験をより素晴らしいものにして多くのゲームファンを獲得するために我々はiPhoneと真摯に向き合っています。
また、iPhoneはゲーム専用ハードではありませんのでユーザーの感覚は多種多様です。既存のゲームファンだけでなく、多くのユーザーの嗜好に合ったものを出さないと開発費をリクープすることすら難しいです。iPhoneのハード特性を生かしたというよりもユーザー属性に合ったものを開発できるデベロッパーじゃないと生き残れないでしょう。「既存のCSゲームがiPhoneで動きます」というようなお客様の嗜好を無視したタイトルは長い目で見ると失敗することが多いんじゃないかと思っています。
【4】現状のiPhoneアプリ市場について、どのようにお考えになっていますか?
マーケットの中心はやはりアメリカになります。アメリカで受け入れられないものは開発費を捻出するのが難しいですね。そのアメリカではデベロッパーの層が厚くて過当競争となっているところがあります。インディーズ開発者とゲームパブリッシャーが共存できるエコシステムが必要だと感じています。
また、ユーザーレビューで売上が大きく左右される側面がありますが、開発者側からコミュニケートする方法がありません。PINGのゲーム版みたいなものが導入されればより健全なレビューとなり安心して開発できるようになるんじゃないかと思います。
【5】iPhoneアプリ市場の将来性について、どのようにお考えになっていますか?
あらゆる人がゲームに触れるきっかけとしていい機会を作り出してもらっていると思います。今後もドンドン新たなクリエイターが現れて思いもつかなかった斬新なアプリが楽しめるでしょう。ゲームだけでなくツール系アプリでもゲームのように使うのが楽しいものが増えてきています。あらゆるものがゲーム的に楽しくカンタンに使えるようになっていくきっかけを作っていくように思います。
Life is a Game!
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ニンテンドーDSで話題を集めたアドベンチャーゲームが、早くもiPhoneに移植。さらに第2章までは無料でプレイでき、続きはアプリ内課金で買うことができる。『ストリートファイターIV』ではサービス満点な無償アップデートでユーザー数を増やしたカプコンだが、こちらはビジネスモデルが異なる。作るだけでなく、売るということでもクリエイティビティが問われるのが、iPhoneゲームの世界だ。
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