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スタンドアローン熊 第7回

2006年08月14日 20時56分更新

Kuma00110

☆マンガの補足
さまざまなブログで取り上げられているように、ゴラン高原に展開中の国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)には、日本の陸上自衛隊員40数名が参加しています。

《イスラエル軍によるレバノン攻撃に関連して、陸上自衛隊が派遣されているゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)のうち、イスラエル側のジウアニ宿営地近くにロケット弾が落ち、陸自隊員が一時、防空壕(ごう)に避難していたことが七日、分かった。防衛庁統合幕僚監部は避難の事実を認めたが、ロケット弾の落下は「不明」とし、隊員や装備品に被害は出ていないとしている。

 関係者によると、ロケット弾が落下したのは今月四日ごろ。ジウアニ宿営地からの距離や着弾数は判明していない。着弾後、UNDOFの指示で同宿営地にいる三十一人の陸自隊員は防空壕に一時避難した》(東京新聞、8月8日)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060808/mng_____kok_____001.shtml

ゴラン高原はイスラエルが占領中のシリア南西部の地域で、北側でレバノンと境を接しているため、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルとの交戦によって危険な状況が訪れましたが、ゴラン高原が、イスラエル北部の主要都市ハイファから80キロ程度しか離れていない「ヤバすぎる要衝」であったため、激戦地域にならず上記の着弾以外、状況が悪化せずに今日に至っているようです。

しかし総裁選を間近に控え、終戦記念日を前に靖国神社参拝問題が取り沙汰される時期とはいえ、PKO法に基づいてゴラン高原に派遣され危機的な状況で任務についている自衛官の皆さんの安全について、またゴラン高原がPKO活動の条件である「非戦闘地域」に当たるのかについての、小泉首相および次期首相候補サン(?)からなんらかの見解が示されない、そして北海道新聞などの一部地方紙を除き、大手新聞が背景を含めた詳細を掲載しないというのは、いくらなんでもマズいんではないでしょうか、とビック○を飲みながらマンガのペン入れをしてます、加山巣又造です。・・・著しくスレ違いの悪寒をさせるマンガですんません。

・・・ということでペン入れが終わったところで、本日(日本時間14日14時ごろ?)、国連の仲介によりイスラエルとヒズボラの停戦が発効し、双方で1200人以上の死者を出した戦闘が、ひとまず収束した模様です。http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060814&j=0026&k=200608143395

停戦の主な内容・条件は、
●レバノン政府軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が、主戦場となっているレバノン南部に展開し、停戦監視を行なう
●イスラエル軍のこの地域からの全面撤退
●ヒズボラの武装解除
●UNIFILは、最大1万5000人に増強。武力行使を幅広く認める項目も明記された。UNIFILは、通常の国連平和維持活動部隊よりも強い権限を有する部隊となる
などとなっていますが、戦闘が完全に終結するかどうかは依然として予断を許しません(実際、北海道新聞によると、停戦後にも一人のヒズボラ民兵が死亡)。ただ、JMMに連載中のレバノン在住の安武塔馬氏によるコラムなどによると、ヒズボラは現況でも勝利宣言を行なってアラブ社会からの支持を得ることは可能であり、またイスラエルは停戦中に国内で今回の戦闘に対する責任追及が行なわれ首相更迭などの事態が起これば、そのまま停戦が持続する可能性もある、とのことです。

いずれにしても、今回の戦闘で命を奪われた皆さんのご冥福とともに、UNDOFに派遣中の自衛官の皆さん、当該地域に残り家屋を破壊されるなど厳しい状況に置かれた方々の安全と平和の回復を祈ります。  (加山巣 又造)

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