全コア4GHz OCでRyzen Threadripper 3960X超え
さて、ここからは空冷OCテストの結果を見ていこう。先述したように、CPUクーラーはシングルファンとデュアルファンで使えるので、どちらも試してみた。室温は20℃前後。BIOS設定で、いずれのファンもフル回転する設定で臨んだ。なお、グラフ中にある3970Xと3960Xのスコアーは、加藤勝明氏のファーストレビューから拝借している。
まずはシングルファン状態での結果。Xeon W-3175Xは定格で負荷をかけた場合、全コア3.8GHzで駆動する。マルチスレッドのスコアーは13095pts。3970Xは16962ptsとはるか先にあり、同3960Xは13547ptsとこちらも負けている。しかし、Xeon W-3175Xは全コア4GHzと+0.2GHz OCするだけで、13675ptsまで上がり、3960X程度ならサクッと超えられた。0.1GHz上がるごとに平均300pts程度上がっており、この調子でいけば全コア5GHzで3970Xに届く計算になる。
ちなみに、BIOSのデフォルト設定のせいか、シングルスレッドでは定格時でも時折4GHz程度まで上がることがあり、全コア4.1GHz OC設定と同等の性能を見せる時もあった。しかしながら、全コアOC設定では、4.4GHzでも438ptsと大幅に伸びるイメージは浮かばなかった。コアごとに倍率を最適化する「By Specific Core」(以下、BSC)設定ならゲームなどの少ないスレッドで戦えば勝てそうだが、BSC設定を詰めているといくら時間があっても足りなくなりそうなので、今回は「Sync All Cores」設定のみで進めることにした。
CPUのパッケージ温度はモニタリングソフトウェア「HWiNFO64」で計測したが、シングルファン状態では全コア4.4GHz OC設定で109℃まで上昇し、Thermal Eventが「Yes」になった。しかし、PROCHOTは「No」。Xeon W-3175XのTjuntionは85℃だが、このあたりは正直よくわからなかった。85℃が許容限界だと思うのだが、HWiNFO64で読み取れるCPUパッケージ温度では110℃がThermal Throttlingのラインのようだ。
そこで、今回のOCテストの成否はパッケージ温度が110℃まで達するか、CINEBENCH R20のマルチスレッドテストが通るかどうかで判断することにした。
冬場の空冷限界は全コア4.5GHz OC
デュアルファンにしてみると、全コア4.5GHzとわずか0.1GHzではあるがOC限界が伸びた。やはり全コア4.4GHz OC時からマルチスレッドスコアーは300pts弱伸びた。その一方で、シングルスレッドは伸び悩んだ。
当然だが、デュアルファン時のCPUパッケージ温度はシングルファン時よりも冷える。その影響は全コア4.1GHz以上の動作クロックで出てくることがわかった。とは言え、全コア4.5GHz OCが空冷の限界だった。検証時の室温は20℃と冬場の平均ぐらいだったが、ここからもっと下げたければ肌寒さを感じるぐらいまで室温を下げなければならない。寒いと感じる室温は人それぞれで、湿度にもよると思うが、筆者の体感だと20℃を下回ると風邪にかかる率がグンと上がるので、ここいらが限界である。
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