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Ryzen Threadripper 3970X/3960Xを超えられるのか?

100万円以上かけてXeon W-3175Xを空冷と水冷でOCした結果

2020年01月03日 12時00分更新

水冷OCで全コア4.7GHz OCまで伸びた

 それでは水冷OCテストに移ろう。条件は空冷時と同じく、CINEBENCH R20のマルチスレッドテストが通ればOC成功ということにしたが、コア電圧はCPUパッケージ温度に余裕があるものの、途中から「Auto」では通らなくなったので「Manunal」に切り替えている。

水冷時のCINEBENCH R20のスコアー

 空冷時から0.2GHzほど伸びて、全コア4.7GHz OCまで回った。CINEBENCH R20のマルチスレッドスコアーは最大16164ptsと大台に乗り、いよいよ3970Xを射程に捉えた。

水冷時のCPUパッケージ温度

 CPUパッケージ温度は空冷時からかなり下がり、アイドル時でも30℃前後で推移。CINEBENCH R20のマルチスレッドテスト時でも定格で5℃、全コア4.4GHz OC時で24℃も下がった。やはりフルカスタム水冷は偉大である。とはいえ、全コア4.6GHz OCから4.7GHz OCの壁は厚く、コア電圧を「Auto」から「Manual」に切り替えた。全コア4.7GHz OCが通ったコア電圧は1.26V。CPUパッケージ温度は最大101℃となった。

まとめ:全コア5GHz OCは普通の水冷テストでは無理

 以上で、Xeon W-3175XのOC検証は終了だ。冬場の室温20℃環境では、全コア4.7GHz OCが限界だった。後日、「ならば室温を下げてみたらどうか?」ということで、生放送で窓を開けて外気(気温5℃)を取り入れながらOCしたところ、全コア4.9GHz OC設定が奇跡的に通ったが、それでもCINEBENCH R20のマルチスレッドスコアーが16526ptsと3970Xには届かなかった。

生放送時は奇跡的に全コア4.9GHz OCで駆動した。窓の近くにラジーエーターを置くという「常用」とはだいぶかけ離れた環境になってしまったが、室温次第ではまだ夢が見られるという知見を得られた

 やはりIntelがいつの日か見せたチラーを利用した環境でなければ、全コア5GHz OCは厳しいのだろう。もちろん、殻割という手段もあるにはあるが、過去にパッケージ内で液体金属グリスが下側に寄ってしまい、冷却能力が著しく失われたことがある身としては、殻割常用はあまりやりたくない手段だ。

 また、Intelが使用していたとウワサのHaileaのチラー「HC-1000B」(9万7301円)を前もってAlibabaで買っていたわけだが、内蔵ファンが回らないという不具合で検証に加えられなかったのが非常に悔やまれる。というか、チラーを入れると今回のシステムにかかった合計価格がなんやかんやで100万円を超えることを考えると素直に涙目である。とはいえ、そこさえ修理できれば良さげなので、機会があればまた挑戦してみたい。

事前テストでは水温がまったく下がらなかったチラー。外気をサーキュレーターで取り入れてみるとグングン温度が下がることから、内蔵ファンさえ修理できれば復活しそう気配はする

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