NEDOは2020年1月にAIやロボット導入による新分野・産業での需要創出に向けた シンポジウム「AI&ROBOT NEXT」を開催する。
シンポジウムでは各種の講演と展示が行なわれ、ここでは予定されている「AIコンテスト」と「次世代人工知能技術分野の成果発表」の講演内容に関して紹介する。
1月16日(16時10分~17時)
AIコンテスト (H30採択)6テーマ+アドライトの成果発表
「食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムの研究開発」
登壇者:那須野薫氏(株式会社DeepX・代表取締役)
概要:先端人工知能技術を活用しバットに盛られた「非定型」で「柔らかい」大量の食品の山から「指定量」をロボットでピッキングし、弁当などの容器に移すアルゴリズムの研究開発。
「AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化の調査研究」
登壇者:今井祐太氏(名古屋大学大学院創薬科学研究科・博士課程1年)
概要:超高純度間葉系幹細胞の取得技術と細胞画像情報と細胞製造における品質画像診断技術を組み合わせ、独自のデータおよびモデルを用いたAI関連技術の再生医療分野への応用を試み、高度な判定モデルを構築。
「機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索」
登壇者:原聖吾氏(株式会社MICIN)
概要:認知症のサブタイプのうち、アルツハイマー型認知症に次いで多く、かつアルツハイマー型認知症と異なり予防可能であると考えられる脳血管性認知症の主要因となるCMIのリスク因子を探索。医療機関からのデータ収集および収集したデータのアノテーションツール作成、リスク因子の探索を行なった。
「群制御AI・クラウドを活用したロボットソリューションの構築」
登壇者:Gajamohan Mohanarajah氏(Rapyuta Robotics株式会社・代表取締役CEO)
概要:工場と違って品物と物量、レイアウトなど様々な要素が変化する物流分野において複数台×複数種類のロボット開発、制御、運営をサポートするAIインフラ、世界中のハードおよびソフトを機動的に調達可能とするカタログについて講演。
「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索に関する調査研究」
登壇者:木嵜基博氏(MI-6株式会社・代表取締役)
概要:材料メーカーや最終消費財メーカーの研究者が今まで経験と勘に頼っていた部分をデータサイエンスで最適化し、的確かつスピーディな材料開発をサポート。MIの概要から材料探索を支援する弊社の取り組みなどについて講演。
「AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム」
登壇者:岩倉大輔氏(株式会社ロックガレッジ・代表取締役)
概要:市販の安価なドローンを産業応用するために必要となるクラウドシステムを独自の技術で構築することにより、誰でも簡単に遠隔地のデータを大量に集め、解析結果を抽出・管理する手段を提供。
「AIスタートアップのためのコンテストの企画・運営業務」
登壇者:木村忠昭氏(株式会社アドライト 代表取締役)
概要:NEDO主催、HONGO AI事務局共催のもと行なったAIスタートアップ発掘コンテスト「HONGO AI 2019」を報告。
1月17日(11時10分~12時10分)
次世代人工知能技術分野の成果発表 その2:個別テーマの報告
「スパイキングニューロン全脳モデルと身体性情報構造化に基づく動的実世界知能の研究開発」
登壇者:國吉康夫氏(東京大学 教授)
概要:スパイキングニューロンのネットワークとそれを用いた全脳モデルにより、ロボットや身体シミュレーションにおいて創発される身体性情報構造を抽出・統合することで、マルチモーダル実世界情報の時空間ダイナミクスをすばやく柔軟に学習・認識・統合・予測・判断・生成可能な新たな脳型知能モデルの構築。
「IoTに適した3値化ディープラーニングの推論デバイスとその学習方法」
登壇者:中原啓貴氏(東京工業大学 准教授)
概要:IoTを指向したディープラーニング推論デバイスの軽量化技術とその学習法を紹介し、FPGA実装を通した事例を通したロボット向けの推論デモを行なう。
「人工知能と実験自動化ロボットを統合した次世代創薬プラットフォームの開発」
登壇者:玉木聡志氏(株式会社MOLCURE・最高科学責任者CSO)、小川隆氏(株式会社MOLCURE・代表取締役CEO)
概要:人工知能を用いた医薬品候補予測のアプローチは効率的な創薬を行う上で大きく注目を集めている一方、学習データの取得には生物材料を用いた実験が必要。人工知能と実験自動化ロボットを統合することで、システム自体が進化し続ける抗体医薬品探索基盤の構築を行なった。
「社会的身体性知能の共有・活用のためのクラウドプラットフォーム」
登壇者:稲邑哲也氏(国立情報学研究所・准教授)
概要:ボトムアップな学習に基づいて、ロボットが人間と言語的・物理的・認知的インタラクションを行なう知能を獲得するためには実世界での膨大な量の社会的・身体的インタラクション経験が必要。クラウド型のVR環境で実現するプラットフォームSIGVerseを開発し、日常生活支援型ロボットの競技会における本システムの活用事例について紹介。
「きめの細かい動作認識の研究開発」
登壇者:竹内彰一氏(千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター 主席研究員)
概要:近年、深層学習により人の行動理解を動画レベルでの動作認識の研究からアプローチすることが盛んになってきた。このアプローチに基き、「動画に現れる動作の認識」、「動画中の人の行動を文章で表現する(キャプション生成)」、「動画の内容に関する質問応答」 の研究プロジェクトで得た成果について報告。
「認識クラウドエンジンの構築」
登壇者:岩田健司(産業技術総合研究所 知能システム研究部門 主任研究員)
概要:様々な対象を認識可能なロボットやシステムを構築するため、商品や日用品などの物品データベース、実世界環境を効率よく認識する認識モジュールを整備・開発。認識クラウドエンジンを構築して物流や生活支援を目的としたロボットでの実証実験を行なった。
シンポジウムの会場は新宿「LUMINE 0(ルミネ ゼロ)」(東京都渋谷区千駄ヶ谷五丁目24番55号 NEWoMan Shinjuku 5F)。開催時間は1月16日・1月17日(10時~17時予定)、ロボット展示は1月16日は13時30分~16時50分、1月17日は11時20分~16時50分。入場料は無料(事前登録制)。
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