週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

NoMaps2019「Touch the NEW Street」レポート

札幌駅前の地下道に「身近な不便」解決する新サービスが集結

2019年12月20日 07時00分更新

 NoMaps2019の期間中(10月16日~20日)、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)は、企業がコンピュータやネットワークを応用して開発した新サービスを展示する「Touch the NEW Street」の会場となった。その中から、4社のブースでサービスを試用してみたので紹介しよう。

近隣のワークスペースを検索し、予約までできるスマホアプリ

 NTTコミュニケーションズのブースでは、同社の新規事業創出プログラム「BI Challenge」から生まれたサービス「Dropin」(ドロッピン)と「DeliBagoo」(デリバゴー)の実証実験を実施していた。

 「Dropin」は、近隣のワークスペースを検索できるサービス。アプリから近くのコワーキングスペースやカフェを検索し、Wi-Fiやコンセントの有無、禁煙/喫煙などの条件で絞り込み、希望に合致する場所を探せる。

スマホ用アプリ「Dropin」で近くのワークスペースを検索しているところ

 場所を探し出したら、事前に席を予約できる。今回はNoMaps会場近くのコワーキングスペースとカフェ4店舗と提携し、トライアル体験を実施していた。

喫煙/禁煙、コンセント、Wi-Fiの有無、営業時間といった条件を確認して、空席があれば事前に予約ができる

出張時に邪魔になる大きな荷物を、数時間で投宿先のホテルに届ける

 「DeliBagoo」は、手荷物を当日中にホテルへ届けてくれるサービス。出張が決まったら、荷物をまとめて投宿先に宅配便で送ってしまえば、到着当日も自由に動けるのだが、出張が決まるのは得てして直前であることが多い。こうなってしまうと、余裕を持って荷物をまとめて、宅配便で送る時間的余裕などない。

 そこで、現地到着後にすぐ動けるように、旅客機の客席に持ち込めるサイズのキャリーバックを利用することもある。しかし、小さくなったとはいえ、キャリーバックを引きずっていては素早く動くことはできず、疲れ果ててタクシーに頼ってしまうことも多い。空港や駅のロッカーに預ければ、その日1日は身軽に動けるが、1日の終わりに取りに戻らなければならないのが実に面倒だ。空港や駅で荷物を預かってくれて、投宿先のホテルに届けておいてくれると非常に助かると思っているのだが、なかなかそういうサービスはない。

実証実験中のDeliBagooの受付窓口。筆者が荷物を預けたところ、数時間後にはホテルに届いたことを知らせるメールがやってきた。今回の実証実験では、利用者にブースを再度訪れてもらい、利用者インタビューでフィードバックを収集していた

 NTTコミュニケーションズが展示、デモをしていたDeliBagooは、利用客から荷物を預かって、指定のホテルなどにすぐに送り届けるサービスだ。展示ブースで無償体験できたので、実際に荷物を預けてみたところ、数時間後にホテルへの配達が完了したとメールが届いた。今回の実証実験では、配送クラウドソーシングサービス「DIAq」(ダイヤク)と提携しているとのこと。荷物を運ぶ人材の確保や、荷物に掛ける保険、料金設定などまだ課題は多いが、訪日外国人向けのサービスとして改良を進めていくそうだ。

BLEビーコンとエッジコンピューティングで、端末の位置を正確に算出

 富士通ブースでは、通行人の現在地に合わせておすすめ情報を配信するサービス「えふロカ」のデモを実施していた。スマホアプリ「えふロカ」をインストールすると、現在地の近くにあるグルメやイベント情報が配信される。

富士通ブースのQRコードをスマホで読み取ると「えふロカ」アプリをダウンロードできる

 このデモでは、展示会場である「チ・カ・ホ」エリアの通路にBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを敷設し、アプリが受信したビーコン情報から現在位置を高い精度で割り出している。ビーコン情報から現在位置の割り出しには、富士通のエッジ処理技術「MEC(Mobile Edge Computing)」を活用。インターネットの向こう側にあるクラウドではなく、現場の間近である「エッジ」で機械学習や深層学習のプログラムを動かして、現在位置を割り出している。

チ・カ・ホの通路に貼られていた足跡柄のテープの下にはBLEビーコンが並んでいた

 さらに、個々人の現在位置に応じて、配信するおすすめ情報も細かく切り替えている。この手法ならば、GPS(Global Positioning System)の電波が届かない地下などでも位置情報を検出できるので、広大な地下街が広がる札幌市街地などに適している。

情報配信サービス「えふロカ」。今回の実証実験では、チ・カ・ホエリア内のグルメ、ホテル、イベント情報が配信していた

小学生がライオンの新商品開発に参加

 歯磨き粉などの日用品を販売するライオンのブースでは、札幌市立大学と共同で「Kids歯ッカソン・親子体験ワークショップ」を開催していた。来年度から施行予定の新学習指導要領では、「主体的に学習に取り組む態度」が評価に加わる。その準備のために、アクティブ・ラーニングを授業に組み込む小学校が増えている。「Kids歯ッカソン」もアクティブ・ラーニングの1種と言えるものであり、実際に全国の多数の小学校が授業で採用しているそうだ。

 ブースでは、参加した小学生をライオンの研究員役として、口のケアや歯みがきをテーマに新商品を考える90分のワークショップを開催した。参加した小学生からは、猫のための歯のカバーや、入れ歯の痛みがなくなる洗浄剤など、ユニークな商品のアイデアが飛び出した。

イラストの描かれたカードを2枚引き、お客さんが困っていることを書き出す

身の回りの小物とシールを組み合わせて新商品をつくる

4コマのワークシートで商品のCMをつくる

日本オラクルが構想する未来の街「SMART CITY」

 日本オラクルは、未来の街「SMART CITY」の模型を展示し、見物客の注目を集めていた。レゴブロックで作成した街の模型の中では、自動走行列車が走り、ロボットが働いている。未来の札幌をイメージしたものだという。

 街では、ゴミが溜まると自動的に回収するスマートゴミ箱、無人で運行するスマート電車、駐車場の空き情報や不審者の侵入を監視するカメラやセンサーが動いており、街を安全かつ快適に維持している。筆者はレゴブロックで作成した模型の完成度に目を奪われてしまった。組み上げにはかなりの時間がかかり、担当者は業務時間中も使って、なんとか開催に間に合わせたそうだ。

札幌の街をイメージしてレゴブロックで組み立てた模型。各所にセンサーやカメラが組み込んであり、街の周りをスマート電車が走り、定期的にロボットがゴミを回収する

隣の液晶ディスプレーには、オラクルのクラウドに蓄積したデータを表示する。具体的にはエネルギー消費量、スマートゴミ箱の稼働状況、駐車場の空き状況などを表示していた

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この特集の記事