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高校生の起業家教育に本腰!

「日本ではなかなか起業家が育たんよな」中企庁、動きます

2019年12月16日 11時00分更新

地域の活性化や地元の魅力づくりの担い手になってほしい

鳥取敬愛高等学校

 「Change! 新しい自分発見」をスローガンに唱える鳥取敬愛高等学校。自分が超えるべき相手は、常に「他人」ではなく「自分」自身、という思想のもと、常に自身を成長させるための前向きな教育を目指している。また、教科学習だけでなく、グローバルシティズンシップの育成のための海外研修旅行が用意されていたり、心のこもった挨拶や清潔感ある身だしなみなど、マナー教育にも力を注ぐなど、特色ある教育活動を行っている。

 そんな鳥取敬愛高等学校では、3年生進学コースの26名がプログラムに参加。同校の倭島慶吾教頭、磯田武志教諭、小林真理子教諭、有本妙佳教諭に、本プログラムへの参加についてメールインタビューをお願いした。

──まずは本プログラムに取り組むことにした背景をお聞かせください。

倭島教頭 鳥取県は進学先の選択肢が少なく、県外や魅力的な都市部に進学する高校生が多いんです。「鳥取は暮らしやすいし好き」「故郷を大切にしたい」「地元に貢献したい」と思っている高校生も多いのですが、大学や専門学校卒業後、県内に就職先となる企業が少ないこともあり、県外で就職するケースが目立っています。県庁所在地の鳥取駅周辺の中心市街地であっても人口減少でどことなく元気がない。今回のプログラムで、若者が起業家の話を直接聞いたり、そのマインドやノウハウを学ぶことで起業を身近に捉え、将来、起業して地域の活性化や地元の魅力づくりの担い手になってほしいとの思いがありました。プログラムは、来春より進学先での学びや経験を積んでいくであろう大学進学をめざす特別進学コース3年生を対象としました。

──本プログラムを受講した生徒たちは、どんな子供たちなんでしょうか?

小林教諭 該当クラスは特別進学コースで、大学進学を目標として学んできた生徒たちです。おぼろげに「就きたい仕事」についてはイメージがあるけど、それは大学進学後のことを想定したものなので、彼らの大きな目標は進学だったんです。ですから、実際にこの授業が始まるまでは、あまり興味を感じていなかったことも事実です。

 3年生の後期という時期で、大きな目標は相変わらず大学進学でばたばたの時期でしたが、受講をきっかけに様々なアイデアを考えたり、仲間と話し合い目標に向かって取り組むということを通じて、より地域のことについて考えたり、自分たちの力でできることや、アイデア次第で仕事につながることを学び、視野が広がったように感じます。これらの思考力や判断力、創造性などは進学後にも生かせる内容になっていると思いますね。

──では、起業家教育に期待することは何でしょう?

倭島教頭 将来、地域の活性化や魅力発信に貢献し、日本でも海外でも活躍できる人材の育成ですね。受講した生徒たちには、既存の価値観に固執せず、新たな価値観や多様性を認める柔軟性が育ってくれればと思います。試行錯誤することで発想力や多角的な見方ができる人間になってくれたらいいですね。それに加えて、このプログラムが「起業家マインド」「起業ノウハウ」を知り、「起業」を身近に捉えることができる機会であってくれればと思います。

磯田教諭 今回のプログラムでは、生徒たちにいろいろなアイデアを出してもらいましたが、そのアイデアに実用性があるか、そのアイデアを使ってどのようにしてお金を生み出していくのか、これをどう仕事にしていくのかをより具体的に落とし込み、さらにその考えについて専門家にアドバイスをいただけたことは良い経験になったのではないでしょうか。もし、実際に起業したいと考えた時に、まず初めに何をしなければならないか、助けてくれる人や、協力を得るためのノウハウを知れたことはよかったですね。さらに具体的に指導をお願いしたいと思います。

有本教諭 生徒から出た突拍子もないアイデアをどのように形にしていくのか、教員側が悩んでしまったりしましたが、専門家のアドバイスを素直に受け止め、問題点を解決しようと、さらにいきいきとアイデアを生みだしていく生徒たちの姿に頼もしさを感じました。教員の力不足の所を、専門家の方にご助力いただくことの大切さを実感しました。生徒、教員ともにアイデアがより具体的に形となることに楽しみを感じています。

 「日本ではもはやイノベーションは生まれない」などと、まことしやかに口にする者もいる。しかし、子供たちの可能性はいつの時代でも無限大だ。都市集約型で発展してきた日本のビジネスも、少しずつその形態から脱却し、地域のニーズをくみあげ、地方から新たなビジネスの醸成を促す方向にシフトしてきている。新たなビジネスの創成は常にイノベーションと表裏一体だが、日本でのそれは案外、何をするにつけ便利過ぎる都市部ではなく、地方に生まれる才能によって開花するのかもしれない。

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