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「ThinkCentre」の国内CTO生産が開始 最短5営業日でカスタムモデルが届く仕組みとは?

2019年11月26日 12時00分更新

NEC パーソナルコンピュータ米沢事業場外観(米沢工場)

 レノボ・ジャパンは11月18日、法人向けデスクトップPC「ThinkCentre」シリーズの一部モデルの、CTO(注文仕様生産方式)を日本国内に拡大すると発表した。

 製品のカスタマイズ工程は、レノボとNECの合併会社であるNECパーソナルコンピュータの米沢工場(山形県)にて行われる。米沢工場では、2020年の2月から本格的なカスタマイズモデルの出荷を開始し、CTO製品を最短5営業日で納品する体制を整えるとしている。

 今回、米沢工場でのカスタマイズ対象となるモデルは「ThinkCentre M720s Small」「ThinkCentre M720q Tiny」「ThinkCentre M920s Small」「ThinkCentre M920q tiny」。

ThinkCentre M720s Small

 米沢工場は、1984年からNECブランドのPCを開発・生産している。2011年からはレノボとの合併企業体制となり、2015年にはレノボのモバイルノートPC「ThinkPad」シリーズも生産している。

 今回、ThinkCentreの米沢工場でのCTO生産の開始を記念した出荷式が同工場にて行われ、工場内の組み立てラインを見学できたので、紹介していきたい。

設計・生産・サービスすべての拠点を国内に配備

 出荷式では、まずレノボ・ジャパン代表取締役社長 デビット・ベネット氏が、オープニングの挨拶とともに、ThinkCentre生産に関するプレゼンを実施した。

レノボ・ジャパン代表取締役社長 デビット・ベネット氏

 ベネット氏は、レノボの経営理念などを紹介。顧客満足度を高めるためのコミットとして、「ThinkPadでは200項目以上の設計基準を設定するなど、多くの基準を設けて製品クオリティーを確保」「保証期間内の製品の修理は、95%以上の製品をサービスセンターに届いて24時間以内に修理を終える」「これまで2、3週間かかっていたCTO納品を最短5営業日に短縮」の3つの体制を整えるという。

 レノボでは設計・修理などのサービス・生産をすべて日本国内で行うことで、これらのコミットに取り組んでいくという。設計はレノボグローバル大和研究所、サービスはNECPC群馬サービスセンター、CTO生産は米沢工場が受け持つ。

 同社によれば、設計・生産・サービスすべての拠点が国内にあるのは、外資系のPCメーカーではレノボのみとのこと。

 ベネット氏の後には、米沢市企画調整部長 我妻秀彰氏が来賓あいさつのため登壇。さらにその後はNECパーソナルコンピュータ執行役員 生産事業部長 竹下泰平氏が、米沢工場の生産の仕組みについて解説した。プレゼンテーションの後には、この際に紹介された工場内の様子を実際に見学することができた。

米沢市企画調整部長 我妻秀彰氏

NECパーソナルコンピュータ執行役員 生産事業部長 竹下泰平氏

効率的な「トヨタ生産方式」と現場の声を取り入れるシステム

 米沢工場では、ひとつの組み立てラインに3~5人ほどの人数が配置され、組み立てや点検、梱包までの作業をそれぞれの人が担当。自身の工程を終えたら左から右へ流し、ThinkCentreは1ラインあたり1日150台ほどを生産するという。

3~5人の作業員がそれぞれの工程を担当し、リレー方式で生産する

CTOなので組み立てるPCの構成はそれぞれ異なる。眼前に備え付けられたディスプレーで構成を確認する

製品はローラー上の台に乗せられており、スムーズに流すことができる

1ライン内で組み立てから梱包まで行う

米沢工場で組み立てた製品は、「JAPAN MADE&SUPPORT」のシールが貼られる

 米沢工場の生産方式は、トヨタ自動車により考案された「トヨタ生産方式」と呼ばれるもの。CTO生産に最適化するために、徹底的に“ムダ”を削減するシステムや、「ジャストインタイム」という、在庫や経費を削減するための体系を組み込んでいる。

カットしたパイプの切れ込みでドライバーなどのツールが常に同じ向き、同じ位置に戻るため、常に同じ感覚で取ることができる

 また、米沢工場の生産方式では、現場の声を取り入れた環境改善にも取り組んでいる。「VOC活動」と書かれた掲示板には、現場のスタッフからの生産性向上・品質改善のための提案・要求案が貼られており、工場内の人全員が問題点を指摘できる体制が整っている。

作業員の提案や要求などを書いたシートを張り付ける掲示板があり、担当者は基本的にこれらに“必ず回答する”ことが義務付けられているのだとか

現場の声と回答

 また高い技術を持つ作業員を「マイスター」に認定し評価していく「マイスター」制度といった育成方式を取り入れ、“人”の育成にも力を入れている様子が見受けられた。

高い技術を持つスタッフをマイスターに認定。現場の設備改善に関わる「生産革新マイスター」や高いPC組み立て技術を持つ「PC生産マイスター」があり、例えばランクの高い生産革新マイスターは新技術の開発なども担う

マイスター認定者は工場内で掲示されている

 米沢工場でのThinkCentreの生産は、現在は人気のある4モデルだが、今後はユーザーの声を取り入れラインナップの拡充や、生産ラインを増やすことも検討しているとのことだ。

 工場見学時には、ベネット氏、我妻氏、竹下氏によるテープカットを実施。米沢市のマスコットキャラクター「かねたん」も登場し、今回のThinkCentre出荷をお祝いした。

出荷のテープカットには米沢市のマスコット「かねたん」もお祝いにかけつけた

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