81曲全曲披露LIVE、ホノルル駅伝完走、富士山頂LIVEなど、破天荒な活動が魅力ながらも、平均年齢24歳の“大人のアイドルグループ”であるアップアップガールズ(仮)が、社会派アイドルを目指すべくチャレンジする本企画。前回のインタビューで気になった「プラスチック問題」について、今回はプラスチックの中でもとりわけペットボトルを製品として扱っている飲料メーカーのサントリーに突撃取材してきた。この「プラスチック問題」の本質やその解決方法、まず身近にできることなど、メンバーの中でも黒髪で真面目な佐保明梨と新井愛瞳が、真摯に疑問をぶつけに行った。
今回インタビューに答えてくれたサントリーの内田さん
佐保明梨
早速なのですが、プラスチックが社会的に問題になっているということを聞いたのですが、具体的にどのようなことが問題になっているのでしょうか?
内田さん
昔から少しずつは言われていたのですが、各メディアで取り上げられるようになったのはここ2年くらいです。何が問題になっているかというと、私たちの生活には様々なプラスチックが使われていますが「その一部が海に流れている」というのが大きな問題になっています。
現状、地球上では年間約800万tのプラスチックが海に流れていると言われています。その中でストローが亀に刺さってしまったり、鯨がプラスチックを飲みこんでしまって消化できずに胃が詰まってしまうなど、生物に悪影響を与えていることが問題になっています。
プラスチックは非常に分解しにくい物質なので、それが海に流れると残ってしまうことが多く、一説では近い将来には流れ出るプラスチックの量が海に生息する魚を上回ってしまうのではないか、といったような懸念もでています。
この問題の難しいところは、日本だけが頑張るのではなくて、世界中の国が協力し合って解決していかなければならない、というところです。
新井 愛瞳
海の生き物に迷惑をかけている、というのは人間として考えないといけないですね…。
内田さん
お2人は身近にプラスチックと言われて思い浮かぶものはありますか?
新井愛瞳
お弁当の容器とかペットボトルが思い浮かびます。
内田さん
身近にプラスチックって溢れていますよね。軽くて透明で、柔軟性のある素材なので色々な形に加工もできますし、すごく便利なんです。すぐに手放すことは難しいですよね。
新井愛瞳
プラスチックって改めてお聞きすると、とても便利ですよね。私たちもいつもペットボトルを持ち歩いていますが、プラスチックとペットボトルってどう違うのでしょうか?
内田さん
プラスチックは熱に強かったり、丈夫だったり、色々な形に加工されています。その中でも「PET=ポリエチレンテフタレート」という素材が飲料を入れるプラスチックに適していて、これがペットボトルと呼ばれています。
佐保明梨
プラスチックってそう考えると色々種類があるのですね。それが全て問題になっているのでしょうか?
内田さん
世の中でプラスチックが海に流出している、というのは先ほどもお話しした通りですが、実はプラスチックの中でもどれが多く流出していて、どういった原因で海まで到達しているのか、という部分はもっと調べていかないといけない問題です。
新井愛瞳
プラスチックと言うとリサイクルできる素材だという認識があります。私たちが学生の頃もそれこそペットボトルとキャップを分けて捨てる、というのは学校でも習ったことですが、街中を見ても正しくリサイクルできているとは思えません。日本ではリサイクルはどのように進めているのでしょうか?
内田さん
良い気づきだと思います。実は家庭から回収されるペットボトルはすごくキレイなんです。キレイなペットボトルはリサイクルしやすく、我々にとってもありがたいのですが、ご指摘の通り街中のペットボトルはそのまま捨てられていたり、中に別のゴミが入っていたりで、そうするとそのままではリサイクルできません。そういった汚れたペットボトルは回収した後に人の手で分別しています。それってすごく手間もかかるし、人の手で分別するには正直限界があるのも事実です。ペットボトルもそうですが、全てのゴミがキチンと分別されて捨てられる、というのがあるべき姿ですし、理想ではあります。
佐保明梨
分別をキチンとできるか、というのは難しい問題だと思います。でも、リサイクルして何に生まれ変わるかを一人一人が把握していればイメージしやすく、みんなちゃんと捨ててくれるのでは、と思いました。リサイクルされたペットボトルがどのように生まれ変わっているのか知りたいです。
内田さん
リサイクルされたペットボトルは、そのままペットボトルに生まれ変わる道ももちろんあります。実は、ペットボトルからペットボトルにリサイクルする技術はサントリーが日本で最初に実用化しました。ぺットボトルはすごく優秀なリサイクル素材でもあって、何回も生まれ変わることができます。ただし、回収されたペットボトルの大部分は糸に変えて、服やカーテンなどの繊維に生まれ変わっているのですが、そうなるとそこからさらにリサイクルすることは難しいのです。ですので、サントリーとしては、ペットボトルからペットボトルにずっとリサイクルできる「輪っか」を作ろうと目指しています。ただこれも先ほどお話した問題で、キレイでないペットボトルはペットボトルへのリサイクルは難しく、分別をキチンとしていくことがこの「輪っか」を作る上では大切です。
佐保明梨
ペットボトルが他の素材にリサイクルされてしまうと、ペットボトル自体が不足してしまう、ということは起こりえるのでしょうか?
内田さん
ペットボトルはリサイクルで作る方法と新しく石油から作る方法と2パターンあって、石油がある限りは作ることができます。ただし、石油から作るとなるとCO2の問題も出てくるので、サントリーでは植物からペットボトルを作る研究もしています。
新井愛瞳
リサイクルの促進にも取り組まれていて、新しい方法でペットボトルを作る研究もされているということで、ペットボトルが足りなくなるということは無さそうですね。
内田さん
すぐに足りなくなるということはないのですが、ペットボトルそのものを減らすことも大事だと思っています。実はここが一番大事だと考えていて、これは単純に本数を減らすというより、1本のペットボトルに使うプラスチックの量を減らす、ということです。
新井愛瞳
確かにペットボトルの水は私たちもLIVEの際のステージドリンクでよく飲んでいますが、すごく薄くて簡単に潰せたりします。
内田さん
そうです。日本のペットボトルはすごく薄いんです。薄いと持ちにくかったり開栓する際にこぼれたり、というご意見もいただくのですが、環境負荷を下げるためにペットボトルを薄くしています。ただ、やはりそれも限界まで薄くなってきたかな、という状況になっています。
新井愛瞳
今以上に薄いとすごく使いにくくなるなと思いますし、炭酸のペットボトルはすごい堅かったり、難しいですね。
内田さん
その通りで、量をどのように減らしていくか、というのが大切です。ですので、リサイクルと、新しい素材の研究と、使用量そのものを減らす、というのは同時並行で進めていく必要があります。
新井愛瞳
サントリーさんは「プラスチック基本方針」というものを掲げて本気でこの問題に取り組んでいるとお聞きしましたが、ここまでお話していただいたことがその内容になるのでしょうか?
内田さん
サントリーとしては、プラスチックの有用性を認識しつつも、いかに環境に影響を与えないようにするか、という思いで基本方針を作りました。その中でも特にこの基本方針の肝になるのは、先ほども説明したリサイクルの「輪っか」です。軽量化してプラスチック使用量を減らし、できるだけペットボトルをキレイな状態で回収して、無駄になるペットボトルを極力減らして、そしてリサイクルしてペットボトルに戻す、というのが理想のサイクルです。ただし、全てのペットボトルをリサイクルすることは難しいので、リサイクル以外でつくる新規ペットボトルを2030年までに全て植物性由来のペットボトルにする、ということをこの基本方針では掲げています。
さらに日本はペットボトルの回収率は他国に比べて高いので、特にアジアを中心とした各国を巻き込んで仕組みを作っていこうとしています。
新井愛瞳
規模が大きくなってきて実感が沸かなくなってきました…。
内田さん
では話を日本に戻しましょう(笑)
日本国内でも、例えばサントリーではリサイクルのペットボトルを使っているのは全体で20%になっていますので、この比率を上げていきながら、新規で作るペットボトルは植物性由来にしていき、かつ量も減らしていく、ということを目指しています。
佐保明梨
減らす、という部分でいうと、最近はペットボトルを販売する自動販売機を撤去していくような動きもありますが、サントリーさんとしてはどう考えていますか?
内田さん
ペットボトルは便利な素材で、例えば缶だと飲み切らないといけませんが、ペットボトルはキャップの開け閉めだけで、必要な時に必要な量を飲むことができるように、我々の生活を豊かにしてくれる物質だと思っています。ペットボトルという存在が悪いのではなく、人間の使い方が問題と考えています。なので、ペットボトルそのものを使わない、ということが問題の解決につながるとは考えていません。
ペットボトルはリサイクルしやすい優秀な素材で、キレイにして分別して捨ててくれる人がいるように、「大切な資源である」と多くの方に思ってもらい、分別回収やリサイクルにつなげていただきたい、と考えています。
新井愛瞳
色々お話をお聞きして、すごく大きな話になってしまった部分もあるのですが、まず私たちが今からできることは何でしょうか?
内田さん
まずは分別回収ですね。キチンと分別して捨てる、ということをしてもらいたいです。分別回収しないとリサイクルに手間がかかってしまうことや、資源を無駄にしているということを、プラスチックを製品として扱っている我々のような企業が、もっと発信していく責任があるとも考えています。
佐保明梨
「キチンと分別しないといけない」とわかっていても、やっぱり「面倒だな」って考えてしまう人はいると思います。最低限、どういった形で捨てればよいでしょうか?
内田さん
最低限、「ラベルを剥がしてキャップを外して」捨てていただけるだけで大丈夫です。もう一歩進めていただけると「中を洗う」、さらに進めると「潰して」から捨てる、という3点だと思います。中を洗うのが難しい場合も多いと思いますが、飲みきって中身を空にして捨てていただくだけでも充分です。
新井愛瞳
飲み切るって大切ですよね。たまに汚いゴミ箱を見ると中身が残っていることによって異臭がしたり…。飲み切るだけでいいならできる気がします。
佐保明梨
あとゴミ箱っていう名前が良くないですよね。もっと格好いい名前だったりするとみんなちゃんと捨ててくれそう。
内田さん
良い視点ですね。正式にはペットボトルの回収箱はごみ箱ではなく、「リサイクルボックス」といいます。そういった部分で分別回収の意識が上がるのであれば、とても良いですね。我々には無い視点の新鮮なご意見だと思うので、是非お2人の活動の中で啓発していっていただきたいです。
新井愛瞳
LIVEに来てくれる私たちのファンの皆さんにはマナーについてはよく共有しています。改めて、今回お聞きしたことをファンの皆さんにも伝えていきたいです。
内田さん
「アップアップガールズ(仮)さんのファンはマナーがいいね」となったら嬉しいですよね。
新井愛瞳
以前、イベントのスタッフさんからもアプガ(仮)のファンは「会場をキレイに使ってくれるし、ゴミもちゃんと分別してくれたり持ち帰ってくれたりマナーが良いよね」と褒められたことがあるので、それをもっと拡げていけるようにしたいですね。
佐保明梨
アプガ(仮)のLIVEにはペットボトルは不可欠なので、毎回MCで伝えようと思います。
内田さん
「知る」ということはすごく大切なことなので、事実と現実を知ることができれば行動につながると思います。今日はたくさんのことを知っていただいたので、影響力のあるお2人に発信していただくことを嬉しく思います。是非よろしくお願いします。
大人のアイドルグループとして、社会問題に切り込む取材の第1回は、プラスチック問題に積極的に取組むサントリーに突撃訪問した。実際にプラスチックやペットボトルがどのように問題になっているのか、それを解決するためにはまずどのような行動をするべきなのか、を学んだ2人は、今後積極的に啓発していくことだろう。今後も、アップアップガールズ(アスキー)では様々な問題に取り組んでいく。
佐保明梨(@saho_akari)
1995年6月生まれの24歳。担当カラーは黄色。
プラスチック問題で一番気になるのはリサイクルについて。
新井愛瞳(@arai_manami_ao)
1997年11月生まれの21歳。担当カラーは青。
ペットボトルはキレイに分別して捨てて欲しいと常々考えている。
☆アップアップガールズ(仮) information
★27枚目のシングルが12月10日に発売決定!
「It’s Up To You / HAPPY NAKED!! / BIG BANG」
27枚目のシングルに収録されるのは、タイプの違う粒ぞろいのパーティーチューン3曲。「HAPPY NAKED!!」は、 “HAPPY”がふんだんに散りばめられた、アプガ(仮)らしさ満点のパーティーチューン。「It’s Up To You」はこれまでのアップアップガールズ(仮)にはない、新しいジャンルに挑戦。「BIG BANG」は先日の “一体感”を彷彿とさせる歌詞が印象的な1曲。ライブでファンも一体となって歌って踊れる一曲だ。
【収録曲】
01.It’s Up To You
作詞:おぐらあすか 作曲・編曲:古峰拓真
02.HAPPY NAKED!!
作詞:NOBE 作曲:michitomo 編曲:ENIXES/michitomo (GOLDTAIL)
03.BIG BANG
作詞:ヒワタリスツカ 作曲・編曲:COMRIZED
※各曲のInstrumentalも含めた全6曲を収録。
☆2019年最後の単独公演開催決定!
アップアップガールズ(仮) 5 to the 5th Power ~HAPPY end of year~
日時:2019年12月28日(土)
①開場13:30/開演14:00 ②開場17:30/開演18:00
会場:赤羽ReNY alpha
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