リフレッシュレート200Hz&G-SYNC Ultimateの欲張りセット
では、ここからはPG35VQの中身をチェックしていこう。解像度は3440×1440ドット。縦横比は21:9のウルトラワイドで、パネルは曲率1800Rの湾曲VAパネルを採用している。横3440ドットはあまり馴染みのない解像度だが、画面のドット数はWQHD(2560×1440ドット)比で約1.34倍となる。
WQHDから4Kへのステップアップだとドット数は2.25倍になるが、4Kゲーミングは描画負荷が一気に増えて現状では非常に難しい。そこをこの解像度だとWQHDの1.34倍の負荷程度に抑えられるので、4KゲーミングよりもGPUパワーが相対的に少なくて済む。と、考えるとなかなかバランスの取れた選択かもしれない。
ゲーマーが最も重視するリフレッシュレートは最大200Hzまで対応している。リフレッシュレートが高くなれば、FPS系ゲームで素早く視線を振ってもヌルリとマウスに追従してくるため、反応速度が重要なゲーマーには必須機能だ。応答速度はTNタイプより遅い2msだが、TNよりも発色が良好(色域はDCI-P3を90%カバー)なVAで、さらに視野角による色変化が少ないなど総合的メリットは大きい。
このリフレッシュレート200Hz設定を使うには、OSDを開いて「Max Refresh Rate 200Hz」を“On”にした上で、DisplayPort接続をする必要がある。OSDで200Hzをオンにしなかった場合は、リフレッシュレートの上限は180Hz(これでも十分速いが)、さらに200HzにしてもHDMIで接続した場合は最大100Hzが上限となる。
さて、WQHDを超える超高解像度モデルで高リフレッシュレートを謳う液晶ディスプレーの場合、リフレッシュレートを上げると色圧縮(クロマサブサンプリング)が発生し、細かい文字の表示が荒れてしまうという問題がある。例えば、ASUSの4K&144Hz駆動液晶ディスプレー「PG27UQ」の場合、4Kでリフレッシュレートを144Hzにするとブラウザー上の文字やWindowsが表示するファイル名などの輪郭が目に見えて劣化してしまう。
これはDisplayPortの帯域の制約から、色圧縮(RGB422)をかけて帯域を節約するために発生してしまう事象だが、PG35VQでは3440×1440ドットでリフレッシュレート200Hzにしても圧縮なし(RGB444)で動作していた。PG27UQで色圧縮を回避する場合、リフレッシュレートを120Hzまで落とす必要があったことを考えると、何も考えずに高リフレッシュレートが攻められるPG35VQは使いやすくなったと感じる。
PG35VQのもう1つのウリであるDisplayHDR 1000、そしてそれによってもたらされたG-SYNC Ultimateについても触れておこう。PG35VQが採用しているHDR規格は輝度1000nitを実現したDisplayHDR 1000だ。本機ではPG27UQと同じFALD(Full Array Local Dimming)方式のバックライトを採用しており、パネル全体を512のエリアに分割し、各エリアを独立したLEDで照らすことで高輝度を実現している。
そして、この1000nitという輝度をクリアーしているおかげで、本機はG-SYNCテクノロジーの中でも最高位に位置するG-SYNC Ultimateを名乗ることを許されている。G-SYNCの効果はあえてここで言うまでもないが、ゲーム画面のティアリングやスタッターを抑止するため、ゲーム画面の滑らかさがワンランクアップする。このG-SYNC Ultimateを効かせるにはDisplayPort接続一択。リフレッシュレート200Hzの利用条件も合わせて考えると、HDMI 2.0入力はサブ的な扱いとなる。
ちなみに、3440×1440ドットの200Hz表示はRGB 8bitの信号でのみ対応している。つまり、HDR表示で10bit RGB信号になった場合は色圧縮が発生する点に注意したい。10bit RGBの場合は144HzでRGB444、すなわち色圧縮なしの表示となる。
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