第271回
NULLことNVIDIA Ultra Low Latencyの効果をFPSタイトルで解析
Apex LegendsとR6SでGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証
Apex Legendsでの効果は絶大!
NULLの効果をチェックする前に、今回用意した検証用システムでApex Legendsがどの程度のパフォーマンスで動くのかを確認しておこう。解像度は液晶ディスプレーに合わせてフルHDのみ、画質は全項目を最も重くした。「CapFrameX」を利用し、トレーニング用ステージの一定のポイントにおけるフレームレートを比較する。
なお、前回の格ゲー編と同様、デフォルト時(V-Sync含めすべててオフ)、V-Sync有効、G-SYNC(Compatible)有効、NULL“On”、そしてNULL“Ultra”の5パターンを比較する。
V-Syncオン時の平均フレームレートがやや低いように見えるが、微々たるものと言ってよい差。格ゲーの時はリフレッシュレート240Hzの高速ゲーミング液晶ディスプレーを使っても60fpsでキャップになってしまったが、PC由来のFPSゲームだとこのようにGPUパワーの許す限りフレームレートが上がってくれる。また、Apex Legendsではどの条件も平均70fps前後となったので、インプットラグの効果が観測しやすいフレームレート範囲になってくれたのも幸いだ。
インプットラグの測定は、前掲のフレームレート計測と同様にトレーニング用ステージの射撃演習場で、ひたすら銃を撃つ。ただし、連射するとわけがわからなくなるため、単射かつマズルフラッシュ(発砲炎)の見やすい「P2020」という銃を使用した。これを各条件で最低100発ずつ撃った時のインプットラグを比較する。
まずは各条件100発、都合500発撃った時のインプットラグを散布図化してみた。横軸は試行回数(左端=1発目とする)、縦軸はインプットラグで、下部に分布しているほど遅延が短く優秀ということになる。
格ゲーではどの条件も均等にバラけてしまっていたが、Apex LegendsではNULL“Ultra”設定、すなわちCPUの処理タイミングを調整することでインプットラグを減らす機能が実にうまく動いていることがわかる。さらに言えば、V-Syncオン時はデフォルト時(V-Syncオフ)に比べて、インプットラグが上部(遅延が長い)に集中しているように見える。各条件ごとの最小/平均/最大値もまとめてみた。
NULL“Ultra”設定にすると、デフォルト時に比べて平均で11.83msもラグが短縮していることがわかった。60fpsにおける1フレームが約16.67秒なので、NULL“Ultra”にすると格ゲーにおける1フレーム弱の時間だけ速く反応できるようになる。これは大きな効果だ。
そして、V-Syncをオンにすると逆にインプットラグは悪化し、G-SYNCやNULL“On”の設定はあまりデフォルト時と変わらないように見える。
このあたりを“~のように見える”で終わらせないために、もう少し統計学的に検証を進めていきたい。まずは詳しく見るために、各条件ごとにどのラグの値がどの程度出たかをヒストグラム(度数分布表)にしてみよう。
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