第271回
NULLことNVIDIA Ultra Low Latencyの効果をFPSタイトルで解析
Apex LegendsとR6SでGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証
アクション性の高いゲームでは、様々な局面に適切な対応ができるプレイヤースキルが求められる。“読み”や知識に基づく動きでカバーできる部分もあるが、基本は“画面を見て”素早く“操作”することが肝心だ。
この画面を見てから操作する一連の作業は反射神経による部分が大きい。しかし、PCのチューニング次第で、操作を受け付けてからそれが実際に画面に表示されるまでのラグ、すなわち「インプットラグ(End to Endラグ)」を短くすることができる。
このインプットラグを減らそうという機能が2019年の夏頃からAMDやNVIDIAのGPUに実装された。AMDなら「Radeon Anti-Lag」、NVIDIAなら“NULL”こと「NVIDIA Ultra Low Latency」である。
本稿はGeForceのNULLが有効かどうかを検証した記事「SFVと鉄拳7でGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証」の続編にあたる。SFVや鉄拳7のような家庭用ゲーム機でも人気の格闘ゲームでは、V-Sync(垂直同期)オフ時を基準にした場合、インプットラグが若干変動することもあるがその差は極めて小さい(平均0.2ミリ秒程度)。すなわち、格ゲーではインプットラグ低減はほぼ効果なしという結論が得られた。
そこで、今回はeスポーツ要素の高いFPSタイトル「Apex Legends」及びR6Sこと「Rainbow Six Siege」でNULLが効果を発揮するか検証してみたい。もちろん、格ゲー編と同様に、100発射撃した時のデータで統計的な比較検証を試みる。果たして、FPS系ゲームでは有益な効果が出るのだろうか?
GeForce GTX 1650と240Hz駆動ディスプレーの組み合わせで検証
今回の検証環境も前回の格ゲー編とまったく同じ環境を使用する。つまり、ビデオカードはハイエンドラインではなく、ミドルレンジのGeForce GTX 1650を搭載した「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 Low Profile」(ZOTAC製)と、リフレッシュレート240Hzに対応したフルHDゲーミング液晶ディスプレー「AORUS KD25F」(GIGABYTE製)の組み合わせだ。
Apex LegendsやRainbow Six Siegeなら描画負荷がほどよく軽いため、GeForce GTX 1650でもフルHD&最高画質で60fps以上は出せる。インプットラグは75~90fpsあたりが最も観測しやすいので、GeForce GTX 1650は今回の検証に最適だ。
NULLやRadeon Anti-Lagのインプットラグ緩和機能は、CPUは暇だがGPUは目一杯働いている状況で発生しやすいため、CPUはRyzen 7 3800Xを使用した。ちなみに、その逆でもラグは出るが、CPUパワー不足によるラグを解消するにはCPUの強化しかない。
検証環境は以下の通りだが、GPUドライバーは検証時点での最新(GeForce 436.68)を使用している。GeForce GTX 1660 SUPERに対応した441.08では、436.68までに潜んでいたNULLとG-SYNCを併用するとNULLが効かないという不具合が解消されているが、今回の検証では関係ないのでそのままデータを利用する。
検証環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 3800X」(8C/16T、3.9~4.5GHz) |
CPUクーラー | Corsair「H110i」(簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-16GTZRX」×2(DDR4-3200 8GB×4) |
グラフィックス | Zotac「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 Low Profile」(GeForceGTX 1650) |
ストレージ | GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2、2TB SSD) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST85F-PT」(850W、80 PLUS PLATINUM) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(May 2019 Update) |
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