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本作を手がけたアン・リー監督とジェリー・ブラッカイマーにインタビュー

2人のウィル・スミスが戦うアクション映画『ジェミニマン』の制作秘話と3Dの未来

2019年10月25日 17時00分更新

ウィル・スミス主演最新作『ジェミニマン』は10月25日から公開

 10月25日から公開されるウィル・スミス主演の『ジェミニマン』は、「若さVS経験」というテーマの下、2人のウィル・スミスが激闘を繰り広げるアクション映画。最先端のVFXで創造された20代のウィル・スミスや、滑らかな映像で楽しめる「3D+in HFR(ハイフレームレート)」など、臨場感あふれる映画体験ができるのが見どころだ。

 『ブロークバック・マウンテン』と『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』で2度のオスカーに輝いたアン・リーが監督を、『トップガン』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど多くのヒット作を生み出したジェリー・ブラッカイマーが製作を務めている。なお、ジェリー・ブラッカイマーとウィル・スミスは『バッドボーイズ』シリーズ(1、2)と『エネミー・オブ・アメリカ』でタッグを組んでおり、本作は4度目となる。

 3人のヒットメイカーが勢ぞろいした『ジェミニマン』の魅力とは何なのか。今回、アン・リー監督とジェリー・ブラッカイマーにインタビューする機会を得たので、その模様を紹介しよう。

アン・リー監督が語る、ジェミニマンの制作秘話と3Dの未来

『ジェミニマン』を手がけたアン・リー監督にインタビュー

――『ジェミニマン』は若い頃の自分と対峙するというドラマ性が魅力ですが、本作の企画は10年以上成立しなかったと伺っています。監督自身はこの企画に対してどのような思いがありましたか?

アン・リー:ウィル・スミスが若い頃の自分と対峙する姿を同じ画面内で見せる。この捉えどころのない、摩訶不思議な企画をなんとしても映像化したいと思い、『ジェミニマン』の制作を始動させました。

 本作の魅力は、さまざまな実存的なテーマが込められている点にあります。我々は唯一無二の存在なのか、自我とは何なのか、クローンにも自我があるのか、もうひとりの自分と戦うことで葛藤が芽生えるのか。企画を進める際、そういった人間に対する問いを探求していきたいという思いがありました。

――バイクを使ったアクションは、『グリーン・デスティニー』のワイヤーアクションに匹敵するほどの衝撃を受けました。監督は「バイ・フー(Bike-Fu)」と呼ばれていたそうですが、あのアイデアはどうやって思いついたのでしょうか?

アン・リー:バイ・フーは、『ジョン・ウィック』の振付師が考案したものなんです。『ジョン・ウィック』では「ガン・フー」を考案しましたが、本作では柔術にかけて「バイク術」をやってみるのはどうかと提案されたのがきっかけでした。ロケの都合もあったのですが、新しい機材をいちいち運ぶのは大変ということで、バイ・フーを撮影することにしたというわけです。あの象徴的な場面を撮影できたのも、ワールドチャンピオン級のスタントマンたちの功績が大きかったと感じています。

ウィル・スミスが若い頃の自分と対峙する姿を映像化したかったと語るアン・リー監督

――監督自身、3Dの芸術性についてどのようにお考えでしょうか?

アン・リー:どういったところに芸術性を見出せるのかはまだ探索中ですが、少なくとも3Dが観客に支持されたのはデジタル技術があってからこそだと思います。『ジェミニマン』ではハイフレームレートや3Dの技術によって、人の表情を微細に捉えることが可能になりました。今後、人間味あふれるドラマを演出できるようになると同時に、ビジュアル面でも新たな手法が採用されることで、今までとは違う映画の言語が登場するのではないでしょうか。

美意識的にも、没入感的にも、そして人の表情を捉える面においても、3D技術にはさまざまな可能性が秘められているのではないかと感じています。

――『ジュラシック・パーク』のときから懸念はあったと思いますが、未来の映画において、実際の俳優がCGのキャラクターに置き換えられてしまう可能性について、ぜひご意見をお聞かせください。

アン・リー:結論からいうと、当面は俳優がCGキャラクターに置き換えられることはありません。20代のウィル・スミスを制作するよりも、ウィル・スミス本人の方が単価として安いですからね(笑)。照明の当て方や肌の質感などを完璧に作り上げたとしても、人間らしさをデジタルで表現するのは現状難しいと思います。世界屈指のアーティストが試行錯誤して1~2年がかりで制作してもうまくいくかどうかわかりません。そんな状態で莫大な費用を投資するよりも、生身の俳優を起用した方がよいです。

少なくとも、本作で取り入れられた技術はタッチアップや加齢、筋肉などの微調整をするのには役に立つかもしれませんね。

――ありがとうございました。

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