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南信州の廃村「大平宿」で昔の生活体験をした

立つ鳥跡を濁さず
すべてを元に戻してから帰る

 さて、帰る準備をしよう。大平宿の利用規定には、利用者自らの手で建物をしっかり掃除して午前11時までに家を出ること、と定められている。我々もまた大平宿を守る一員であることを意識して後始末にはげもう。

 まずかまど、ボイラーに残った灰をかき出し、建物の外にある灰入れに捨てる。その際、直接水をかけることは竈が壊れる原因になるので厳禁。囲炉裏の灰については火種がない事を確認し、少しだけ残しておくのがポイントだ。灰の始末が終わったら居室や板の間、土間にホウキをかけ、固く絞った雑巾で拭き上げる。ゴミはすべて持ち帰りなので、この場に一切残さないようにしよう。

我々が散策しているあいだ、アングラー高永さんは近くの渓流でイワナを釣り上げていた

彼によると、このあたりの渓流はかなり魚影が濃いとのこと。なお、大平宿近くにある黒川水系の漁期は9月末まで。1日あたり1000円(前売)の遊漁券が必要となる

 掃除を終えて帰る準備を整えた頃には、空からポツポツと雨粒が。周囲の森は霧の中に隠れはじめていて、おそらく標高が高いだけに雨雲の中に入ったのだろう。最後にすべての窓の鍵が閉まっているかをチェックし、ブレーカーを落として入口の鍵をかける。荷物とゴミを積み込んだら、飯田までの道程を慎重に下山していこう。

 廃村に泊まる、というと何となく敷居が高そうに思うけれど、実際にはバンガロー利用のキャンプが形を変えたようなもので、普通のテント泊よりも随分と過ごしやすいはずだ。ただし、それは大平宿を未来に受け継いでいこうとする多くの人々の努力があってこそのもの。我々もまたその一員だという意識は忘れずに、ルールをしっかり守って利用しよう。

 大平宿の生活体験は、現地に雪が降り始める11月中旬まで。現在のところ今年度の休前日は予約が埋まりはじめているということなので、静かな山村を体験したい人は平日を狙うか、あるいは雪が解けた来年4月以降を待ってほしい。大平宿の利用に関するルールや予約の方法は、南信州観光公社のウェブサイトを要チェック!

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