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iPhoneでも超広角撮影を使える日が待ち遠しい

【iPhone 11 Pro Max実機レビュー】弱点が克服され完成度が増した

2019年09月17日 19時00分更新

 iPhone 11 Pro MaxとiPhone 11を数日間、試用している。実際に使ってみた感想としては「弱点が克服され、完成度が増している」という点に尽きる。

 ファーウェイ、サムスン電子、ソニーモバイルなどのハイエンドAndroidでは、もはや3眼カメラが当たり前になっている。そんななか、iPhoneもようやくiPhone 11 Pro/Pro Maxで3眼となった。

 超広角(13mm)、広角(26mm)、望遠(52mm)という組み合わせ。これまでもXperia 1で超広角撮影を楽しんでいたので、iPhoneでも超広角撮影が使えるのを待ち遠しく思っていた。

 iPhone 11 Pro Maxのズーム切り替えは実にスムーズだ。「.5」「1」「2」という表示を押せば一発で切り替わるし、長押しすればダイヤル表示となり、自分の好きな画角で撮影するというのも可能だ。

 アップルは「撮影に集中できるカメラアプリ」を目指しているようで、設定などを何も考えずに誰でも簡単に撮影することができる。

 広角で撮影した際には超広角でも同時に撮影されており、あとから傾きを修正したりすることができる。広角で撮影したものの、寄りすぎてしまった時などは、AIが自動的に超広角で撮影した映像を優先的に表示してくれる。iPhone 11 Pro Maxは失敗の少ない撮影ができるという点がうれしい。

 iOS 13では、静止画の加工編集に加えて、動画も静止画並みの加工ができるようになった。露出、ブリリアンス、ハイライト、シャドウ、コントラスト、明るさ、ブラックポイント、彩度、自然な彩度、暖かみ、色合い、シャープネス、精細度、ノイズ除去、ビネットなど加工できる内容は多岐にわたる。アップルとしては撮影はできるだけ簡単にして被写体に集中できる一方で、あとから納得がいくまで加工できるようにするという考え方なのだろう。

 実際に動画の加工は、静止画と変わらないほどにサクサクと行える。iPhone 11 Pro Maxでは4Kの60fps撮影が可能だが、こうした動画加工などにもA13 BionicやGPUの処理能力の高さが生かされているようだ。動画の撮影、加工、編集といった使い勝手の良さはAndroidスマホに秀でているように思う。

 これまでのiPhoneは、他機種と比べて暗い場所の撮影がイマイチという弱点があった。しかし、iPhone 11 Pro Maxでは、ナイトモードを搭載。周辺が暗いと自動的にナイトモードが起動。数秒、カメラを固定しておくと、画像を処理して、雰囲気のある写真が仕上がるようになる。実際に暗い場所で撮影してみたが、確かに昨年モデルとなるiPhone XS Maxと比べても、雰囲気のある綺麗な写真を撮ることが出来た。あまりの違いに驚いたほどだ。

 セルフィー撮影では、本体を縦にした場合と横にした場合で画角が自動的に変わる。これは縦画面の際は一人を前提にする一方、本体を横にするときはグループでの撮影がメインになることから、画角を自動的に変えてくれるのだ。このあたりのセルフィーのテコ入れもAndroid勢に対抗しようという意気込みが感じられる。

 iPhone 11 Pro Maxではディスプレーのエネルギー効率を15%向上させるとともに、iOS 13でのパフォーマンスコントロール、自社製のパワーマネジメントユニットの組み合わせにより、省電力を実現した。

 今回、iPhone 11 Pro Maxでは前モデルとなるiPhone XS Maxに比べて、バッテリー駆動時間が5時間伸びているという。試用期間が数日と短いため、きっちりと計測は出来ていないが、体感的には確かにバッテリーの減りが遅いように感じる。

 この1年、iPhone XS MaxにSmart Battery Caseを装着して使っていたが、iPhone 11 Pro Maxで5時間も伸びるとなれば、本体のみでバッテリー切れを心配せずに使える可能性が高い(そのためか、いまのところiPhone 11 Pro MaxではSmart Battery Caseのオプションは用意されていない)。厚くて重いSmart Battery Caseから開放されるだけでもありがたい。

 バッテリー寿命という弱点も克服している可能性が高いというわけだ。

 今回、iPhone 11も試用しているが、やはり3眼であること、有機ELディスプレイであることを考えると、自分が購入を予定し、すでに予約を入れているのは、iPhone 11 Pro Maxだ。

Apple Storeでの価格は、iPhone 11は7万4800円(税抜)から、iPhone 11 Proは10万6800円(税抜)から、iPhone 11 Pro Maxは11万9800円(税抜)からとなっている

 ただ、iPhone 11もカメラは2眼、ディスプレイは液晶であっても弱点がなく、完成度は高く、万人向けの満足度の高いiPhoneに仕上がっている。

 コストパフォーマンスでiPhone 11を選ぶもよし、徹底的に使い倒すためにiPhone 11 Pro Maxを買うというのもいいだろう。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。


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