8割が副業・兼業に興味
もう1つのナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点の機能強化ディレクターとはどのようなものか。
現在、選手やチームのトレーニング環境である「ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)」(東京都北区)だけではトレーニングが困難な冬季(スキーなど)、海洋・水辺系(ボートやセーリングなど)、屋外系(サッカー、トライアスロンなど)は、地域の既存スポーツ施設を「ナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点」としてトレーニングを行なっている。今回、中央競技団体がトレーニングや強化活動をより効果的に実施できるように環境整備を支援するべく設置するポストが機能強化ディレクターとなる。
各強化拠点が抱える独自の課題を正確に把握し、解決を図るべく具体的な戦略や施策を立案して、実行に移すというのが任務だ。競技別強化拠点は地方に置かれていることも多く、地域の関係機関との連携も重要な作業となる。これらを通じて最終的には競技力強化が図れると見込む。
例えば、公益財団法人 全日本スキー連盟(ノルディック複合)の強化拠点施設である白馬ジャンプ競技場・白馬クロスカントリー競技場(長野県白馬村)は、HPSCで実施しているメディカルチェックや体力測定などの支援を強化拠点で展開するための体制を敷くべく、地域の関係機関との連携、HPSCとの連携の仕組みを支援する人を募集する。
このほか、公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会(7人制ラグビー)と公益財団法人埼玉県公園緑地協会(熊谷スポーツ文化公園)、公益社団法人 日本トライアスロン連合とフェニックスリゾート株式会社(フェニックス・シーガイア・リゾート)、特定非営利活動 法人日本パラ・パワーリフティング連盟と京都府立心身障害者福祉センター体育館、公益財団法人 日本セーリング連盟と特定非営利活動法人和歌山セーリングクラブ(和歌山マリーナ)の合計5団体がそれぞれ1人ずつを副業・兼業で募集する。
スポーツ庁 競技スポーツ課 課長補佐の川井寿裕氏は、「スポーツ界で一から専門人材を育成するのは時間や費用がかかる」として、「2020年を迎える今、スポーツ界で活躍したい人をそれぞれの課題に応じて起用することが重要」との考えを示した。プロフェッショナルからは、それぞれのスキルだけでなく、働き方や仕事へのアプローチなどを学べることにも期待を寄せている。
今回業務委託を締結したビズリーチは、スポーツでもすでに日本フェンシング、全日本スキー連盟、釜石シーウェイブスRFCなど合計5つの競技団体、スポーツチームの採用支援のために副業・兼業限定の公募実施した実績を持つ。民間企業から合計17人の採用を支援したとのこと。同社代表取締役社長の南壮一郎氏によると、会員の80%以上が副業・兼業に関心を持っているという。「プロフェッショナル人材にとって副業・兼業は、リカレントラーニング(生涯学習)の機会提供になる」と述べる。「自分がビジネスで学んできたスキルを違う環境、しかもパブリックな領域で発揮できる素晴らしいチャンス」とし、スポーツ団体とプロフェッショナル人材の双方に大きなメリットがあるとした。
今回の公募は、経営力強化が10団体10人、競技力強化が5拠点5人。全て副業・兼業で、勤務は週1回が目安で、報酬は1日1万円から2万円程度とのこと。詳細はビズリーチの特設ページに記載している。
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