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ビズリーチと提携し事業戦略、人事、機能強化ディレクターなど専門人材を公募

外部人材の活用を進めるスポーツ庁 競技団体のビジネス化を狙う

 2020年以降のスポーツ産業の経営力と競技力の持続的な強化を目標に、スポーツ庁が外部人材を積極的に取り組む。転職サイトを運営するビズリーチと手を組み、9月10日より約1ヵ月間、日本テニス協会など4つの国内競技団体で経営力強化に向けてビジネスプロフェッショナル人材を募集する。また、ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点機能強化事業でも機能強化ディレクターを募集する。

左からスポーツ庁 参事官 参事官補佐 忰田康征氏、ビズリーチ 代表取締役社長 南壮一郎氏、スポーツ庁 長官 鈴木大地氏、スポーツ庁 競技スポーツ課 課長補佐 川井寿裕氏

2020年の後を見据えた外部人材の採用

 9月10日、スポーツ庁で発表会を行った同庁長官の鈴木大地氏は、「スポーツ庁は様々なプロフェッショナル人材と共にスポーツ団体の経営力強化を通じたスポーツの成長産業化の実現、競技別強化拠点の機能強化を図る。これ通じて、2020年以降を見越した持続可能な強化に向けた取り組みを実行できる体制の構築、環境の整備を目指す」と趣旨を語った。

 スポーツ業界は今年のラグビーW杯、来年のオリンピック・パラリンピックに向けて活気付くが、一方でその後を心配する声も聞かれる。政府は「日本再興戦略 2016」で、日本のスポーツ市場規模は2012年5兆5000億円から2025年には15兆円に成長させるという目標を掲げているが、イベント後の成長戦略は見えにくい。

 政府が掲げる成長戦略を実現する取り組みの一環として、スポーツ庁はスポーツ団体の経営力強化推進のためにスポーツ界への外部専門人材の流入を促進することを図る。

「人材がいない」スポーツ団体、「情報がない」求職者

 この日発表したのは、スポーツ団体の経営力強化推進とナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点における機能強化ディレクターの配置の2種類。

 スポーツ団体の経営力強化では、約10のスポーツ団体がビジネスプロフェッショナル人材を公募する。第一弾として同日公募開始したのは、公益財団法人日本テニス協会、同日本ホッケー協会、同日本陸上競技連盟、同全日本空手道連盟の4団体。例えば日本テニス協会は、組織内のコミュニケーションをはじめ、組織基盤を整える必要があると課題を認識、ヒトの観点から課題を解決すべく組織開発・人事企画スペシャリストを求めることにした。4団体とも副業・兼業限定。

 スポーツ庁 参事官(民間スポーツ担当) 参事官補佐を務める忰田康征氏は、背景として日本テニス協会、サッカー協会などの中央競技団体の現状を説明した。中央競技団体は公益社団法人または一般社団法人の形態をとり、6割以上(72団体)が正規雇用が4人以下、これは営利を目的とした株式会社ならば「小規模企業」(従業員5人以下)に分類されると忰田氏、当然資金面にも反映されている。事業収入が約5割、補助金と助成金が約2.5割、会費収入が約2割を占める総収入の中央値は約3億3500万円、「ボリュームゾーンは1億円以下」という。

中央競技団体の総収入の中央値は3億3500円、平均値は10億7200万円だ

 中央競技団体もこの状況を手放しで見ているわけではない。調査したところ約4割の中央競技団体は中期事業計画を策定しているという。しかし、9割が計画に入れている「普及」「マーケティング」については、知識や経験がない、人材がいない、資金がないといった状況がうまれているようだ。

 一方で、これら中央競技団体には大きなポテンシャルがあるとも指摘する。登録人口を見ると、全日本剣道連盟は191万人、日本ソフトテニス連盟は44万人など大きな登録人口を有する。「この規模の登録人口をプラットフォームに、周辺の家族や友人を取り込むことができる」と忰田氏は潜在性を強調した。

 忰田氏によると、2017年から2年間実施した調査で、スポーツ団体側からは経営課題の特定ができない、必要な人材の定義ができない、リソースがないといった課題が、求職者からは組織や仕事に関する情報がない、報酬や就業条件が合わない、アプローチの仕方がわからないといった課題が出されたという。

 スポーツ団体の経営力強化のためにはビジネスプロフェッショナルの活用は不可欠であり、「スポーツ界とビジネス界の人材流動性を高める仕組みを構築したい」と忰田氏は語った。

スポーツ界とビジネス界の人材流動制を高める仕組みの構築を狙う

 なお第二弾(11月13日から12月10日予定)では、スポーツクラブやリーグが公募を予定しているという。

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