週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

第2回「Slack Best of Breed」で披露されたアプリ連携事例

業務とSlackの密着度が高い東京電力エナジーパートナーとFiNC

2019年09月26日 09時00分更新

 第2回のSlack Best of Breedのユーザーとして登壇したのは、便利なボットで業務をシンプルにしている東京電力エナジーパートナーと、創業以来ヘビーにSlackを活用しているFiNCの2社だ。どちらも業務とSlackの密着度が高い事例で、まさにBest of Breedを模索しているような印象だった。

Slackボットはググって作った(東京電力エナジーパートナー)

 東京電力エナジーパートナーの飯塚孝高氏は、電気メータを見る仕事を10年経た後、2016年に東京電力の小売り電気事業である東京電力エナジーパートナーに移り、システム運用業務を経て、デジタル推進に携わっている。東京電力の小売会社にあたる東京電力エナジーパートナーは、現在「電気、ガス、それからそれから。」というテーマを掲げ、電力以外のサービスもスタートさせている。

東京電力エナジーパートナー サービスソリューション事業部 業務革新グループ 飯塚孝高氏

 現在、同社では250名程度の社員が所属する複数の部署でSlackを活用している。IT部門の飯塚氏は社内でのRPAを推進していたが、現在150プロジェクトくらいあり、1日100~200メッセージをさばかなければならず、しかも飯塚氏の業務はRPAの導入だけじゃなかった。「IT部門がスピーディに対応しないと、現場からの信頼を失いかねない。野良のRPAが生まれてしまう」(飯塚氏)とのことで、タスク管理に使っていたBacklogのコメントをSlack連携するボットを自分で作った。飯塚氏は、「Backlogのお知らせをSlackのメンションに変換する機能を入れたことで、効率は300%アップした」と振り返る。

 ボットの作成はググって学んだという。「Slackに関してはテック系のすごい人たちがいっぱいブログを書いてくれているので、ググればできる」とのことで、実装方法やPython、API仕様など、ひととおりブログから学んだという。

ボットはググって作成した

 飯塚氏は、スラッシュコマンドでRPAプロジェクトごとに10件の子課題を登録できるBot、増えてきたRPA関連のWikiをWatsonで検索できるようにしてフィードバックを学習させるBotを披露。最近ではBotのソース管理もGitHubで行ない、お弁当の注文Botも運用開始しているという。「Slackのアプリ連携はすごく便利。非エンジニアでもWebを検索すればなんとかなるので、ググりながらトライするのはいかがでしょうか?」とまとめた。

年齢やバックグラウンドの違う社員がSlackどっぷり(FiNC)

 AIによるアシスタント機能を持つヘルスケアアプリを展開しているFiNC。創業8年目のスタートアップ会社だが、現在も急成長を遂げており、従業員は現在400名を超えている。創業以来、Slackはエンジニアたちが使っていたが、登壇した小島かおり氏が情報システム部を立ち上げた2016年の段階で、有料版のPlus Planを使用開始。現在は全社員に幅広く用いられており、パブリックチャンネル数だけでも2400を超えるなど、現在も増え続けている。

FiNC 取締役 CISO 情報システム本部長 小島かおり氏

 ヘルスケアカンパニーであるFiNCは、製品開発や営業・マーケティング、経営陣、バックオフィスだけではなく、管理栄養士やトレーナーなどヘルスケアの専門家もいる。また、ベテランから若手まで年齢層が幅広く、ITリテラシレベルがバラバラ。こうした中で共通に使われているのがSlackだ。「社風としてスピードを重視しているため、Slackの利用もヘビー。会議中でもSlackで話しかけられるし、重要度の高いチャンネルで話しかけたら、すぐに回答してするよう努力しています」(小島氏)。

 また、「ルールを腹落ちしないと従ってくれません」(小島氏)というトップダウンよりボトムアップの社風。基本的には現場主導で「簡潔なコミュニケーション」「パブリックチャンネル推奨」「1つの会話へはスレッドで回答」などが使い方のルールになっている。カスタム絵文字も1000弱。基本はパブリックチャンネルだが、週末もプライベートチャンネルで会話しているらしい。「とにかくみんな楽しんで使っている」(小島氏)。

FiNC流Slackの使い方

 業務アプリもSlackと緊密に連携されており、たとえば承認プロセスではSalesforce、受付システムではAcallと連携している。また、社内ポイント付与制度もSlackで運用されており、ポイントを付与すると集計される。今後の計画としては、ヘルプデスクのAI化や経営部門向けのDOMO連携、CASBとの連携、セキュリティ強化を推進していくという。

さまざまなクラウドとつながっている

 セッションのあとの質疑応答において、ボット開発で苦労したところを聞かれた飯塚氏は、「Slackは知見がシェアされているので、特に苦労はなかった」とコメント。「センスのいいツールは、センスのいいユーザーが事例を作ってくれるので、そういう情報を活用すればいい」と語った。また、年齢やリテラシがバラバラの環境での導入について聞いたところ、小島氏は「最初は私も不安だったが、ユーザーインターフェイスが優れていたので、70歳の会長もすぐに使いこなしていた」とコメントした。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう