とはいえ、ビジネスとして成立するのか?
Fairphoneのストーリー自体は素晴らしいのだが、ビジネスとして成立するのか? 採算は合うのかは気になるところだ。
Fairphoneは、Pymwymic(Put Your Money Where Your Meaning Is Community)、Dutch Good Growth Fundなどの出資を受けており、2017年は650万ユーロ(約7億6000万円)の資金を調達している。
これまでの歴史をまとめると、2013年に初代Fairphoneを発表、5ヵ月後には2万5000台を出荷した。そして、2015年5月にFairphone 2を発表、2016年4月にAOSP版のAndroidも利用できるようにした。2017年には、累計の販売台数は13万5000台に。それまでオンライン販売が中心だったが、オフライン(小売)も進め、欧州で226ヵ所で購入できるようにした。
2017年の売上高は約1170万ユーロ(約13億8000万円)。スペアパーツの売り上げは62万6000ユーロ程度。このうち最も売れたのはボトムモジュール、ついでバッテリーだった。
Fairphone 2は2019年3月にほぼ完売したことを発表、現在でもスペア販売とサポートは提供している。
Fairphoneのビジネスを考えると、ニッチではあるが十分な数のユーザーが(本体ではなく)スペア部品を購入するようになることが重要になりそうだ。
ところでフェアトレードについて調べてみると、古くは19世紀にオランダの東インド会社が行なっていたという植民地の搾取について暴いた本が出されたことにさかのぼるようだ。フェアトレードのチョコレートで成功したTony's Chocolonleyもオランダ。オランダは問題意識が高いのだろうか?
なお、エシカルな調達にうついては、かのアマル・クルーニー氏も呼びかけるなど、関心が高まりつつある。これからはエシカルかどうかをサプライヤーの評価に入れようという動きもある。そのような流れから見ると、Fairphoneはいいタイミングで登場したのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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