Netflixは9月6日、「NETFLIX HOUSE: TOKYO 2019」を開催した。同イベントは世界各国で開催しているが、日本での開催は今回が初だという。今回はNetflixの強みを6つのトピックで探りつつ、同イベントをレポートしたい。
1.それぞれの母語で観られる「多言語対応」がスゴい
同社プロダクト最高責任者のグレッグ・ピーターズ氏がウェルカム・スピーチを務めた。
1997年に創業したNetflixは、2007年にアメリカでストーミングサービスを開始。2013年に『ハウス・オブ・カード 野望の階段』でオリジナルコンテンツの制作を始めた。同社は2015年に日本に参入した際から、日本でもオリジナルストーリーを作ることを目論んでいたという。
現在は『テラスハウス』や『全裸監督』など、日本でもオリジナルコンテンツを制作及び配信している。たとえば、『テラスハウス』は日本国内はもちろんのこと、海外でも観られているとした。近年は『ULTRAMAN』や『リラックマとカオルさん』など、アニメ作品も手がける。
今では世界中に約1億5100万人のユーザーを抱えており、そのうち約300万人は日本のユーザーだという。グレッグ・ピーターズ氏は、アメリカ以外の有料会員は増え続けていると語った。
グレッグ・ピーターズ氏は同社の強みの1つとして、ユーザーがそれぞれの母語で観られる「多言語対応」を挙げる。たとえば、2013年に配信開始した『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は7ヵ国語にしか対応していなかった。しかし、2019年に配信が始まった『全裸監督』は日本語のほか、スペイン語やドイツ語などの28ヵ国語に対応している。この作品は日本はもちろんのこと、台湾やタイなどでもトップ10にランクインしたとのこと。
2.観れば観るほど「カスタマイズ化」されるサービス
次は、同社のプロダクト・クリエイティブストラテジー部門ディレクターを務める、ユージーニー・ヨウ氏が担当した「パーソナライゼーションとUIデザイン:好きな作品と出会えるUIづくり」のセッション。
現代社会において、「カスタマイズ化」は世界市場を握る強い鍵となり得る。そもそも、Netflixは登録時に好きな作品を3つを選択し、好みの傾向を表明する仕組みだ。視聴時にも、作品に紐付けたテーマやジャンル、出演者、トーンなどの「タグつけ」などのデータを収集するので、観れば観るほどサービスがカスタマイズ化されるという。
また、1つの作品にはさまざまなアートワークを用意。『全裸監督』では1つの言語で「恋愛」や「権力と名声」といったテーマに沿った、50以上のアートワークを作成したという。似た趣向の人がどのアートワークに惹かれたのか収集し、似た趣向の人にも類似したビューアーを共有するとのこと。
3.「全世界の人がNetflixを楽しめる」通信
引き続き、同社エンジニアリング・マネージャーのテヤン・ファン氏が「動画データの軽量化でバッファリングを軽減:通信制限のかからないエンタメ体験へ」を務めた。
テヤン・ファン氏によると、同社は「全世界の人がNetflixを楽しめる」ことを目指しており、通信の分野でも革新を続けているという。たとえば、1GBのデータで可能なNetflixの視聴時間は、2015年以前は1時間半だった。しかし、2015年には2時間半、2019年現在では6時間半と増加し続けていると語る。
また、ネットワーク環境は地下鉄の中など安定しないことも多い。ネットワーク環境が向上すると自動的に高画質に、低下すると低画質にというふうにセグメント化しているという。
(次ページでは「『お金を払ってもいい』と思える環境作り」)
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