CTCが開発・運営する「Tocaro」は、2014年にローンチしたビジネスチャットサービス。チャットに加えて、ファイル管理やタスク管理、ビデオ会議が可能で検索機能も充実。PCでもスマホでも利用でき、他サービスとの連携もできる。SlackやLINE WORKSといったライバルもいる中、大企業を中心に1600社以上の企業が利用している。今回は、実際にTocaroを使いながら、その魅力をご紹介しよう。
仕事のための仕事をなくすためにビジネスチャットを開発
CTCこと伊藤忠テクノソリューションズは海外含めて31拠点で展開し、4300人以上の社員数を抱える大手SIer。従来は、依頼を受けてシステムを作って終わるというビジネスをしていたが、2014年から継続課金のSaaSであるTocaroをスタート。現在では、NTT西日本や高島屋、大日本印刷、AIR DO、東京医科歯科大学など、大手~中堅企業を中心に1600社を超える企業が利用するインフラサービスとなっているが、当時のプロジェクトメンバーはたった一人だったという。
その頃の様子やサービスの強みについて、伊藤忠テクノソリューションズ 情報通信第3本部 技術統轄部 Tocaro製品責任者兼コンサルタント 松田賢司氏とTocaro製品戦略責任者の志村晃季氏にお話を伺った。
「当初は、私一人で開発していました。Slackのオープンβが出たばかりで、ビジネスチャットのプレーヤーはほとんどおらず、今後面白くなると思ったのがきっかけです。日本のエンジニアも日本風のいいものを作れるはず、というモチベーションがありました。もともとは、仕事のための仕事をゼロにしようというのがコンセプトです」(松田氏)
仕事のための仕事とは、会議室や打ち合わせの調整、必要な情報を探いたり、進捗管理などのこと。それ自体は何かを生み出す作業ではないと捉え、限りなくゼロにしたいと考えているそう。そのためにまず用意したのが、ビジネスチャットだ。ちなみに、サービス名の「Tocaro」は「たくさん話そう(Talk a lot)」の略だそう。
対象企業規模は、300名以上の大企業を想定している。もちろん、少ない人数でも利用できるが、ユーザーが多くなるほどメリットを享受できるため。特に日本のレガシーな企業にフィットするUI/UXや機能を用意しているのだ。
強力なビジネスチャットとタスク管理機能を搭載する
メインのチャット機能は、一般的な機能を網羅。普通にテキストチャットをやりとりするほか、投稿を赤くして重要度を上げたり、ボックスで囲んで目立たせたりできる。特定のユーザーを名指ししたり、絵文字を使うことも可能。ファイルも直接アップロードできる。重要な情報の時は「お気に入り」に追加しておけば、いつでも参照できるので検索する手間が省ける。対処したり返信する必要はあるが、時間がないときは「あとで見る」に登録しておけばいい。
グループはすべて招待制。オープンチャンネルのようなものを作りたい時は、ユーザーすべてを招待することになる。このあたりは「need to knowの原則」に則っているので、特にセキュリティ面を気にする日本企業に受け入れられやすいポイントだ。
参加しているグループに新着投稿があると、「最新の発言」というところに上がってくるので、見逃さずに済む。もっと頻繁に確認するグループがあるときは、「お気に入り」に登録しておけばいい。
Tocaroは、タスク管理機能も充実している。それどころか、松田氏や志村氏がTocaroについて話す際は、あまりビジネスチャットという言葉は使わないそう。あくまでも、ビジネスチャットはTocaroの1つの機能であるという位置づけだ。
To-Doではタスク管理が可能。自分だけのプライベートタスクの他、グループごとにTo-Doリストを作成し、管理する機能もある。期限や担当者、重要度などを設定でき、添付ファイルも付けられる。ステータス管理機能も用意されており、必要に応じてタスク画面の中でコメントをやりとりできる。
そして、自分が行なうべきタスクはすべて「ワークボード」で確認できる。左のアイコンで一番上にあるとおり、実はTocaroで一番重要な機能でもある。ここには未読の「チャット」や抱えているタスク、自分が絡んでいる「ワークフロー」がまとめて表示される。この画面を見て、すべて処理していけば仕事が進んでいく、という仕組みだ。
「ワークフロー」もTocaroのキモ。タスクを投げるというものだが、その進捗状況を把握できるのが便利なポイント。たとえば、何らかの情報を提出するように普通のタスクを作成した場合、大多数は対応してくれるだろうが、対応しない一部を見つけ出すのが難しい。ワークフローなら未対応ユーザーが一目瞭然なので、進捗確認が楽になる。
企業が合併される時などは、全員に必ず処理してもらわなければならない手続きや提出してもらう書類などが発生するが、ワークフローを使えばマネージャークラスの負荷を大きく軽減できるようになるというわけだ。もちろん、健康診断を受けろとか、交通費精算をしろ、といった指示にも活躍してくれるだろう。
一緒にプロジェクトに関わっている社外メンバーをゲストメンバーとしてグループに招待し、コミュニケーションすることも可能。相手の企業がTocaroを契約している場合、二重課金されることがないのはありがたい。もちろん、管理者の設定で、契約外のユーザーを検索したり追加しないようにすることもできる。
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