ゲーム開発会社であるオルトプラスがブロックチェーンの実装として産声を上げた社内通貨サービス「コミュニティオ」。正式リリースから半年を経て、従業員のコミュニケーション増進を目指したHRテックにシフトしつつある。コミュニティオCEOの嶋田健作氏に話を聞いた。
業務を楽しむためのゲーミフィケーションを盛り込んだ社内通貨
コミュニティオは企業ごとで独自の名前を付けたオリジナル通貨を発行できるサービスで、もともとは仮想通貨向けのブロックチェーンの実装を目的にオルトプラスで開発された社内通貨としてスタートしている。昨年10月には正式に外部向けサービスとしてリリースされ、働き方改革で重要なインセンティブサービスとして導入も増えている。
社内通貨と言っているが、実際は社内でのみ利用するポイントとして機能する。コミュニティオを導入する場合は、従業員にとってもらいたい行動や目標をあらかじめ設定しておき、自己研鑽したり、目標達成の貢献度などに応じて付与する。これにより、よい行動の習慣化とモチベーションの最大化を実現するという。
コミュニティオで付与されたポイントはスマホアプリで飲料や弁当、オフィスコンビニなどで利用できるほか、社内の福利厚生と連動することも可能。まさに通貨だ。ソーシャルゲーム開発・運営を手がけるオルトプラスの社内プロジェクトとして生まれたこともあり、日々の業務を楽しむためのゲーミフィケーション要素が多く盛り込まれているのも特徴。給与とは別に提供さえるマイクロインセンティブとして機能する。
感謝や賞賛をステッカーで送りあうTeamStickerで社内を可視化
当初、コミュニティオは従業員が行動するための動機付けとしての利用が前提となっていたが、最近では従業員同士が感謝の気持ちを送り合うHRテックよりにシフトしている。これにともないコミュニティオが先日リリースしたのが、マイクロソフトのビジネスチャットサービス「Microsoft Teams」と連携する「TeamSticker」になる。
TeamStickerは、感謝と賞賛の気持ちをステッカーとして付けたメッセージをTeamsで送りあえるというシステム。ピアボーナスでおなじみ「Unipos」に近いサービスだが、組織内において相互理解を深めるためのプロフィール機能や、ステッカーの送受信数によって社内通貨が付与される「リワード機能」を備えており、積極的なコミュニケーションの活性化を推奨する仕組みとなっている。さらにカードの送受信で従業員同士のつながりマップが形成されるので、社内のつながりや隠れた人材、ハブとなるキーマンを可視化できるという。
ステッカーは感謝と賞賛が用意されているが、企業ごとにオリジナルのものを作ることもできるという。「ありがとう疲れの会社も多いし、やっぱり社内にお金の概念を持ち込むと、黒い感情が生まれることも多いんです(笑)。だから、とにかく手軽に使えて、増え続ける通貨で賞賛できる仕組みを作りました」と嶋田氏は語る。
導入対象はスタートアップよりもむしろエンタープライズ。実際、TeamStickerとともに発表されたのは、グローバル企業の東洋エンジニアリングの事例。デジタルトランスフォーメーションを推進する同社は、若手・中堅社員とシニア層のデジタル化の差に大きな課題感を感じ、Microsoft Teamsの運用を促進すべく、TeamStickerを導入したという。「そもそも日本企業は懲罰的な制度が多く、アメを与える仕組みがなかった。だから、儲かっているんだけど、イマイチ社内に活気がないという会社がコミュニティオを導入します。TeamStickerと組み合わせて、デジタルトランスフォーメーションのための“会社のOS”として使ってほしい」と嶋田氏は語る。
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