アニソン特化をうたう、ハイエンドイヤホン
歌声がよく聴こえる、finalの新機軸イヤホン「B1」を聴く
2019年07月19日 13時00分更新
感度はかなり低め、ハイパワーなプレーヤーと組み合わせたい
仕様についても触れておこう。
B1は、MMCX端子を使ったリケーブル対応で、本体にはシルバーコートのOFCケーブルが付属する。重量は36gだ。インピーダンスは13Ωと低めだが、感度も94dBとかなり低い。周波数特性については非公開となっている。
試聴に使った「A&ultima SP1000 SS」では、音量を150段階あるうちの90以上とかなり高めの位置に設定したが、同程度の音量を得るために必要な値は、比較的感度が低めのDITA「Dream」(インピーダンス16Ω/感度102dB)でも80台の半ば程度。BA5ドライバ―構成で感度も高いCampfire AudioAndromeda(12.8Ω/112.8dB)では40台の半ば程度で済む。ある程度、高出力なプレーヤーと合わせた方がよさそうだ。
本体の付属品は、finalオリジナルのシリコン製ケースのほか、イヤチップが5サイズ、メガネなどを併用する人には嬉しいイヤーフック、そしてケーブルの抜き差しをしやすくするための透明シートなどが付属する。これらは金で箔押しされた化粧箱に入れられており、上質感がある。
気に入った人には、オンリーワン的な選択肢に
B1の魅力は、やはりボーカルの良さだ。声の再現にこだわったと称するイヤホンは世の中に多く存在しているし、声がクリアに聴こえるというのはオーディオ商品を選ぶうえでの必要条件と言える。しかし、B1がほかのイヤホンと違っているのは、その音色の描き分けがこれまで聴いたことがないほど巧みである点だと感じた。楽器がその楽器の音として実態感を持って聴こえるというのは簡単そうで難しいはずだ。
ハイブリッド型だが、出音は、低域ズドン、高域キラキラといった派手な演出もなく、逆に低音や高域のレンジ感も必要な範囲に収め、長時間聴いても疲れにくい音に仕上げている。ボーカルの帯域の音は輪郭がクッキリしていて、写真というよりは絵画のように、各音が整理されて描き分けられる。
そのサウンドは、過去に集めたイヤホンと比べても得難いものだ。高解像度・ワイドレンジを信条とした、従来の高級イヤホンに慣れた耳で聴くと、アプローチの違いを感じる面もあるのだが、これはこれでひとつのバリエーションとして大切にしたいサウンドである。
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