第7世代のX1 Carbonはまじめに進化していたのだ
ThinkPad X1 Carbon (2019) 実機レビュー = どこでも仕事ができる熟成のモバイルノートなのである
6月25日にレノボはThinkPadのX1 CarbonとYogaの2019年モデルを発表した.最新CPUを搭載し、さらにスリムで軽量化も果たしている.
カーボン模様が鮮やかに
1ミリの薄型化は手にしてわかる
さて、新デザインとなった「第7世代」のX1カーボンは何が変わったのかというと、まず天板のカーボン柄が新しくなった.もちろん黒にするかカーボン柄にするかは選べるのだが、カーボンのほうはナナメ市松模様というか、より繊維らしい模様が見えるようになった.
これは、新規塗料を採用したことにより、繊維が見えるうえ、柔らかい手触りで指紋もつきにくいそうだ.第5&6世代で採用した「低密度カーボンファイバー網」のコア層も改良され、剛性を維持しつつ10%の軽量化に成功、薄型化もはたしたという.
サイズとしては、厚みは14.9ミリに約6%の薄型化を実現.2018年モデルは323.5×217.1×15.95ミリだったのだが、323×217×14.95ミリつまり1ミリ薄くなったのだ.
実機を手にすると、1ミリといえども「あっ、薄くなった」感はある.モバイルノートは15ミリを切ると「薄っ」感が高まるのかもしれない.
重さのほうは、モデルによるが、全体として約40グラム軽くなった.スペック表では1.13キロから1.09キロという表記になっている.これは手にしてもそれほど感じなかった.日本には13型の超軽量モバイルノートがあるから、「軽いっ」感はここでは感じないのである.
Lenovo Smart Standbyで
バッテリーも安心
Windows10のModern Standbyにより、従来のS3スタンバイからの復帰時間3.7秒よりさらに高速な1.3秒を実現している.Moderan Standbyなら、スリープ時のデータ同期やパーソナルアシスタントが動作可能で、指紋認証によるワンタッチログインもできる.
しかし、Modern Standbyはそれだけマシンが動いているわけで、使っていない間にもバッテリーが消費されるという欠点がある.そこで、新X1 Carbonは「Lenovo Smart Standby」という機能を搭載している.ユーザーがよく使う時間帯にはModern Standbyで駆動し、夜間は休止状態にするというものである.もちろんユーザーが時間帯を指定することができる.
ディスプレイのバリエーションは
合計5種類で迷うのだ
直販モデルのCPUはコアi5-8265Uとi7-8565Uでメインメモリは最大で16GBでオンボードのみなので拡張はできない.
ストレージは256/512GBと1TBが選択可能で、スペックとしては最大2TB可能とある.
ディスプレイは5種類も設定されていて、解像度が3種類もある.
HDR 4K光沢
WQHD(2560×1440)無光沢
FHD+ThinkPad Privacy Guard無光沢
FHDマルチタッチ
FHD無光沢
で、プライバシーガードというのはのぞき見を防止する機能で、単なる物理的フィルターではなく、液晶に工夫がしてあって、ON/OFFをスイッチできるものだ.また、最近、ノートPCでもOLEDの採用が復刻しているのだが、残念ながら今回のX1には(Yogaにも)その設定はない.
インターフェイスはタイプCのGen.2×2にタイプA×2、HDMI、ヘッドホンコンボ、イーサネット拡張コネクター.もちろんLTEモデムを内蔵することもできる.つまるところACアダプターはタイプC端子に接続するカタチなので、USBは残りタイプC×1+タイプA×2で余裕がある.
キーボードは変わらず横幅28.5センチのフルキーで、キートップは下側が丸いいつものカタチである.もちろん我らがトラックポイントも健在で、ホームポジションから離れずにポインティングができる.おじさんとしてはタッチパッドをなくしていただいてもいいので、WEBモデルで英語キーボードとともに選べるようにしてほしいのだ.
キーボードのタッチ感覚も相変わらず最高で、タイピングしていて気持ちがいい.キーもトラックポイントのボタンもタッチパッドのクリックもすべて無音で、会議中に激しいゲームをしてもバレないのである.
モバイル会議のため
4マイク4スピーカーを内蔵
レノボが大きくアピールしているのが、4スピーカーと4マイクを搭載したことによる「遠隔会議快適化」である.そんなにみんなオンライン会議とかやってるんですかね.とにかく液晶のまわりじゅうの音を拾ってくれるうえ、先方の音声も明確に再生してくれるそうです.1人ボッチでだれかと通話するときには前方マイクだけONにもできる.
中身を開けて見たが、キーボード手前の左右のスピーカーユニットが大きくなっていて、そのぶんバッテリーが小さくなるくらいのデカさです.
それから、すでに前モデルでも実行されていましたが、無線LANやLTEのアンテナが液晶まわりではなく、キーボード側まわりに設置されています.今回のモデルではボディの樹脂(プラスチック)と、アンテナ(金属)を一体として設計して、ボディの一部がアンテナになっていて、いわば「外側」にアンテナが露出しているそうです.もちろん塗装されているのでわかりませんけどね.効率はよくなりますよね.
ベンチマークテストは
いつもどおり優等生なのである
i7-8565Uを搭載した新X1 CarbonのCinebenchのCPU値は714で、i7-8550Uの前モデルが651だったので、約10%速くなっている.
液晶はWQHDモデルだったが、3DMarkのFireStrikeは前モデルの1158から1234に、TimeSpyは435から488へと6~12%のスピードアップが実現されている.ちなみに、同CPUを搭載したNECのPro MobileやVAIO SX14より数%速い.現行のモバイルノートとして最高レベルの「回りのよさ」はさすがX1の血統である.
SSDはWDの512GBを搭載しており、CrystalDiskMarkのシーケンシャルマルチではリードが3452、ライトが2535と、PCIe3×4の速度がきちんと出ている.
バッテリーベンチは液晶を最高輝度、動作モードを「最も高いパフォーマンス」にして、連続で約4時間駆動した.バッテリー容量は51Whと前モデルより6Wh減っているにも関わらず、4時間駆動はりっぱな省エネぶりである.
付属のACアダプターは従来の65Wから変わって、45W出力の小型のものになっている.そのためか、充電速度は低下しており、上記と同じ条件で動作した状態で50%まで54分、70%まで108分、90%まで165分かかった.前モデルの3~7割遅くなっている.気が短いみなさんは高出力のタイプCアダプタの購入をおすすめする.
さすがの快適度
OLED待ってますよ
昔はTPX1といえば、会社のイケてる重役さんがカッコよく使うものであって、我々平社員は泣きながら自腹ローンで買う逸品だったのだが、いまどきはみんなが会社に支給してもらえるモノになっている.
とはいえ作りや感触は常にトップクラスであり、もちろん中身も進化していて、やはり最高の快適度なのだ.
さすがに次期モデルではデザインも今風なエッジの立ったモノリス化してほしいのだ.今回X1Yogaのほうは本体がアルミ切削加工になって、特に天板のエッジが「きゅん」とするほど鋭角でカッコイイ.カーボンやマグネシウムではなかなか出せないかもしれないが「鋭」をめざしていただきたい.
とはいえ、この快適度はいまだに最高クラスである.新第7世代も買いなのだ.
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