週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

レノボ・ジャパン「Lenovo Smart Clock」レビュー

レノボの1万円未満のスマートディスプレーがGoogle Nest Hub以上に欲しくなった

2019年08月07日 12時00分更新

 2017年ごろから日本にも登場したスマートスピーカーは「音楽を聞かせて」「天気を教えて」などと言うだけで、簡単に操作ができるスピーカーのこと。電通デジタルが2月18日に発表した調査によると、日本でのスマートスピーカーの認知率は約76%におよぶという。

 一方で、スマートディスプレーはスマートスピーカーに画面を付けた端末だ。ググっても、認知度の調査さえ見当たらなかったぐらいだから、スマートスピーカーに比べると、スマートディスプレーの認知度はまだまだ低いかもしれない。

 Googleのスマートディスプレー「Google Nest Hub」が6月12日に日本に上陸してから、早1ヵ月半が経った。GoogleとAmazonはスマートスピーカーはもう古い。これからはスマートディスプレーの時代だと言わんばかりに、新製品を続々と打ち出している。

 しかし、さほど新しいもの好きではない私からすると、スマートディスプレーにはまだまだ違和感がある。スマートスピーカーの便利さを重々承知しながらも、いまだに導入していないぐらいだ。スマートスピーカーに画面を追加したスマートディスプレーとなると、「固定されたタブレット端末ではないか」とついつい挑発したくなってしまう。

 価格の問題も見逃せない。スマートスピーカーは手に取りやすい価格帯のものも増えてきたように見えるが、スマートディスプレーは高い。たとえば、Google Nest Hubの価格は1万5120円である。「せめて、1万円未満ならば……」と考える人は少なくないだろう。

 そんな中、レノボ・ジャパンは7月8日、Google アシスタント機能に対応したスマートディスプレー「Lenovo Smart Clock」を発表した。結論から言うと、このスマートディスプレーは単なる「固定されたタブレット端末」とは言えないほどシンプルで、価格は9828円と比較的手に取りやすい製品だ。試用してみたところ、スマートディスプレーいらない派の私も、思わず欲しくなってしまった。

 この記事では本家GoogleのGoogle Nest Hubと比較しながらも、Lenovo Smart Clockの魅力を伝えていきたい。

枕もとに置くにはちょうど良いサイズ感

 Lenovo Smart Clockはその名の通り、ベッドサイドにある目覚まし時計を進化させた製品である。「スマートディスプレー」ではなく、製品名のまま「スマートクロック」と表記している媒体もあるほどだ。

 正直、ほかのスマートディスプレーと比べると、少しばかりニッチな市場を狙った製品に思える。しかし、人によってはGoogle Nest Hub以上に魅力的な製品と言えるだろう。まずは、デザインを見ていこう。

ディスプレーサイズは4型。本体サイズは幅79.8×奥行き79.2×高さ113.88mm。枕もとにも置けるサイズ感ではないか。

ファブリック素材を使用している。触ってみると、布製ソファーのような心地よさ。

時計のデザインはいかにもGoogleらしくかわいらしい。

本体のうしろには、スマホやタブレットなどを充電できるUSBポートを備えている。

コードを挿すと、簡単に充電ができる。

目覚まし時計のように生活必需品に近い存在

 自宅でLenovo Smart Clockを数日間使ってみた。当初は懐疑的な気持ちとわくわくする気持ちが半々ぐらいだったが、使っている内に懐疑的な気持ちが薄れていった。まさに従来の目覚まし時計のように、本製品が生活必需品に近い存在に思えたからだ。

 朝ベッドの中で「OK、Google。おはよう」と言うだけで、現在時刻、天気、今日のニュースを順に教えてくれる。

操作をしていない時は、現在時刻を表示。

最高気温や最低気温、時間別の気温、天気などを手短に教えてくれる。

「テレ朝News」や「J-WAVE」などのニュースを順に読み上げる。

 夜、布団に潜り込んで「OK、Google。おやすみ」としゃべると、アラームの設定ができる。起きたらなつかしの目覚まし時計のように、本体をタップするだけでアラームを止められる。また、スリープサウンドも楽しめる。目覚まし時計の置き換えを意識しているだけあって、ここは非常に魅力的なポイントだ。

アラーム設定画面。アラーム音は複数から選べる。

アラーム設定時間の30分前から、少しずつディスプレーが明るくなる。

起きないと……。

 もちろん、スマートディスプレーの1種なので、SpotifyやYouTube Musicなどのストリーミングサービスで音楽を聴いたり、インターネットラジオやオーディオブックを楽しんだり、交通情報を聞いたりもできる。個人的には、Apple Musicユーザーなので、Google アシスタントがApple Musicに対応していないのが玉に瑕だった(ググったら、裏技はあるようだが……)。

枕もとでささやくだけで、照明をオフにできる

 もちろん、本製品の機能は目覚まし時計だけではない。Google アシスタントに対応したスマート家電のコントロールもできる。ここまでできるのだから、やはり1万円未満は安いと言えるかもしれない。

 Google アシスタントに対応した家電を持っている人はそう多くないだろう。私も家中を探してみたものの、1つも見当たらなかった。しかし、すでにLenovo Smart Clockが欲しくなっていた私は、思い切ってTP-Linkのスマートプラグ「HS105」を自腹で購入してしまった。

 HS105はスマホアプリ「Kasa」を使い、電源コードで接続した電化製品の電源を入れたり、消したりできる製品だ。ちなみに、アプリはiOSとAndroidに対応している。

消えている状態。

 開封すると、さっそくお気に入りの間接照明にHS105を繋いでみた。アプリでの設定を終え、Lenovo Smart Clockに接続すると、あとは「OK、Google。間接照明を点けて」と言うだけ。

点いた!

 普段からスマートスピーカーやスマートディスプレーを使っている人からすると、「おいおい……」と思われるかもしれないが、ついつい「おー!」と声をあげてしまった。初めてGoogle ストリートビューで自分の家を見たとき以来の感動だ。ついつい何度も繰り返し、間接照明を点けたり、消したりしてしまった。枕もとに置いているLenovo Smart Clockにささやくだけで、この操作が可能なのは素直に便利だと実感した。

「固定されたタブレット」感がなくて良かった

 では、最後にGoogle Nest Hubと比較していこう。

本家GoogleのGoogle Nest Hub。ディスプレーサイズは7型で、本体サイズは幅178.5×奥行き67.3×高さ118mm。

見た目はタブレット端末っぽいので、ベッドルームには合わないかもしれない。Lenovo Smart Clockとは異なり、スマホを充電できるUSB端子がない。

 まず、素直に認めなければならないのは、Google Nest Hubのほうが高機能ということである。Lenovo Smart Clockはこれまで紹介してきた現在時刻の表示、天気、ニュース、アラーム、音楽再生、ラジオ、インターネットラジオ、オーディブック、交通情報、家電のコントロールがすべて。一方で、Google Nest Hubはそれに加えてレシピ機能や動画再生、Google フォトを活用したフォトフレーム機能なども利用できる。

 価格はLenovo Smart Clockが9828円で、Google Nest Hubは1万5120円。5292円の差額は機能の違いに妥当性を感じさせるかもしれない。もちろん、レシピ機能などを使いたい人にはGoogle Nest Hubがオススメだ。しかし、数日間比較しながら両方を使った私はGoogle Nest Hubではなく、Lenovo Smart Clockのほうが魅力的に感じた。

 Lenovo Smart Clockの用途はあくまで枕もとに目覚まし時計代わりに置くこと。数日間使用しても、特に不満は感じなかった。むしろ、Google Nest Hubのほうに何度か歯がゆさを感じた。冒頭でも軽く触れた、スマートディスプレーあるあるの「これって、画面が固定されてて、使いづらいタブレット端末では?」問題にぶち当たったからだ。

 例えば、「近所のコンビニを教えて」と言うと、Lenovo Smart Clockは音声のみで「1番近くのコンビニはセブン-イレブン 市ヶ谷駅前店です」と、最寄りのコンビニを教えてくれる。

答えてくれる場面。

 一方で、Google Nest Hubはディスプレーに近くのコンビニ一覧を表示するだけ。あとは自分自身で操作する必要がある。もちろん、操作するのは別に良いのだが、「これだとタブレットと変わらないのでは?」と感じる人も少なくないだろう。

 もちろん、好みの問題ではあるものの、Lenovo Smart Clockは当初の私のようにスマートディスプレーいらない派の人にこそ、オススメしたい製品である。しかも、価格はGoogle Nest Hubよりも5000円以上も安い1万円未満。スマートディスプレーで新しい生活を始めたい人はぜひチェックしてみてほしい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります