Dropboxがより便利に
SlackやZoomなどと統合して使えるアップデート提供開始
Dropbox Japanは6月20日、「Slack」や「Zoom」などの各種サービスと「Dropbox」を統合して利用できるアップデートの提供を開始した。Dropboxから離れることなく各種サービスを利用できるため、より効率的なチーム作業を実現できるとしている。新サービスの提供による追加料金などは発生しないという。
Dropboxはさまざまなファイルを保存して共有するストレージサービスとしてスタートしたが、ビジネスの現場でのファイル共有、ビジネスチームのコラボレーションツールとしても機能を拡充してきた。
今回のアップデートでは、各種サービスとのより深い統合を実現するもの。すでにGoogleとの提携を発表しており、「G Suite」にあるGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートといったツールとの連携により、Dropbox内の当該ファイルをそのまま開いて編集、保存などをできるようにしていた。
同様に、今回のアップデートでSlackやZoomが統合された。Dropboxの新しいワークスペースを使うと、その場でDropboxに保存されたファイルの管理ができるほか、Slackの会話を行なったり、Slackのチャンネルにファイルのリンクを送信したりできる。
Zoomでは、そのままMeetingsに参加したり、Dropboxのファイルを画面共有することも可能。ワークスペース上では、SlackやZoomの共有状況がアクティビティとして表示される。これらのアップデートは20日から提供を開始する。
同様の提携はAtlassianとも結んでおり、今後利用可能になる予定。こうした各種サービスとの統合で、Dropboxを起点に効率的に作業できる、と同社は期待している。
こうした統合の背景には、「ツールの断片化」(Dropbox Japan代表取締役社長 五十嵐光喜氏)がある。ビジネスの効率化や日本でも働き方改革を旗印に、さまざまなツールが登場してきた。
コンテンツやサービスの分断化が仕事での情報共有に影響
分断化の解消で非効率な作業時間を削減するのが狙い
Dropbox、Slack、Zoom、Googleドキュメント……と、それぞれのツールの利便性は高くても、複数のサービスを行ったり来たりすることになり、「コンテンツが点在し、さまざまなツールが散らばっている」(同)のが現状だ。
同社の5月の調査では就業時間の平均は8.9時間で、そのうちの65%が本業の時間であり、残る35%(190.9分)は本業以外の作業に当てられている、というのが従業員の感覚だった。その35%に含まれているのが、ファイルやメールを探す時間、ファイルの確認・閲覧のためにさまざまなソフトウェアをまたいで作業を行なう時間などで、実に157.9分が「情報共有に関わる時間」だったそうだ。
新しいDropboxのワークスペースでは、そのままSlackやZoom、Googleドキュメントなどにアクセス、閲覧、編集といった作業ができるため、複数のツールを起動してどこに探している情報があるかを探して……という非効率な作業が削減できる、というのがアピールポイントだ。
先行して発表していたG Suiteとの統合では、「Dropboxユーザーの半分以上がG Suiteのユーザー」(米Dropbox最高技術責任者 クエンティン・クラーク氏)であり、この統合によって「日常の作業をかなり削減できる」(同)と見込む。
この新しいDropboxによって、「ユーザーが感じているツールが分断化された状況の解消を支援できる」とクラーク氏は強調する。
同時に、IT管理者向けの管理ツールも提供。チームとそのメンバーを効率的に管理し、データセキュリティーやコンプライアンスの確保、アクティビティや強化されたレポート機能などによるインサイトなどが実現できるとしている。社外のメンバーを含むチーム利用でのメンバーやデータ管理ができ、ダウンロードだけを禁止して閲覧のみにする、端末紛失時にリモートワイプするといった機能も備えている。
Dropboxに保管しているデータは、6月20日から日本にあるデータセンターに保存されるようになり、国内にデータが留まるようになったため、一定のコンプライアンスを求める企業などでも利用できるようになった。
今後は、今回のSlackなどとの深い統合と、Dropbox APIの提供による他社サービスとの連携を並行して進めていくことで、単なるストレージサービスではなく、ワークフローを改善するツールとしての拡張も続けていきたい考えだ。
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