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クアルコム、レノボ製の世界初5G搭載PCを発表

2019年05月31日 09時00分更新

気になる小型Windowsの登場についても聞いた

 クアルコムは台北で開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2019にあわせて、現地でプレスカンファレンスを開催。新しいプロセッサーやモデムの発表はなかったが、同社のWindows PC向けプロセッサー「Snapdragon 8cx」と5G対応モデムの「X55」を搭載した、世界初の5G PCとして、レノボ製PC「Project Limitless」を紹介した。

レノボから発売予定の世界初5G搭載PC「Project Limitless」

 発表会に登壇した同社のモバイル担当Senior Vice President and General Manager Alex Katouzian氏は、これまでのWindows PC向けプロセッサーの歩みについて解説。2017年に発表された「Snapdragon 835」では、世界初のギガビットLTEに対応しており、長時間のバッテリー駆動と、ファンレスでの運用を可能としている。また2018年に発表した「Snapdragon 850」ではマルチギガビットLTEに対応し、バッテリー性能は複数日でも使えるほどに向上したとのこと。

クアルコムのモバイル担当 Senior Vice President and General Manager Alex Katouzian氏

Snapdragon 835の特徴

Snapdragon 850ではバッテリー性能などがさらに進化

 そして最新モデルの「Snapdragon 8cx」についてKatouzian氏は、「さらにバッテリー性能は向上しており、パフォーマンスやコネクティビティーも格段にアップしている」とのこと。プレゼンではUnityで開発された3Dゲームがプレーでき、複数画面でOffice系のソフトやブラウザーを同時に動かしてももたつかないといったデモを表示。

Snapdragon 8cxではパフォーマンスやコネクティビティが向上している

レノボからさっそく新プロセッサーを採用したPCが登場予定

 バッテリーの持続時間については、「ユーザーは20時間以上の動作時間を要求している」とし、Snapdragon 850では一般的なPCの約3倍のバッテリー持続時間だったが、Snapdragon 8cxでは通信をしている状態で約10倍のバッテリー消費量が違ってくるとのこと。そしてコネクティビティーでは、同社の最新モデム「X55」が大きく寄与。X55はクアルコムの5G対応モデムとしては第2世代で、5GだけでなくLTEから2Gまでサポートしている。

多くのユーザーが20時間以上の使用時間を要求している

パフォーマンスのデモでは他のアーキテクチャーのプロセッサーを超える性能を見せている

 これらの特徴を備えた世界初の市販5GPCがレノボから発売予定の「Project Limitless」。正式な製品名は未定だが、プロセッサーにはSnapdragon 8cx、モデムにはX55を搭載。360度ヒンジでタブレットやテントモードでも利用できる、2in1モデルだ。発表会では壇上で見せるだけだったが、翌日開催された記者向けのセッションとデモでは、実際に動作している「Project Limitless」もチェックできた。

プレスカンファレンスで紹介された「Project Limitless」

プレスカンファレンスの翌日にデモ機として展示されていた「Project Limitless」

レノボ製を示すロゴ

キーボードにはトラックポイントがないので、ThinkPad以外のブランド名になる可能性がたかそう

かなり薄型でシンプルなデザイン

 デモブースでは屋内に5Gアンテナを設置して、「Project Limitless」が実際に5Gの電波を掴んで動作していた。また、プレスカンファレンスのプレゼンで紹介されたパフォーマンステストもクアルコムのリファレンスモデルを使って実機で展示。マルチディスプレーで複数のウインドーを動作させるような使い方でも、もたつかずに動いていた。ちなみに、タスクマネージャーでCPUのパフォーマンスをチェックしてみたが、各コアが限界まで動作しているわけではなく、余裕を持って動作していることもわかった。

5Gの電波をキャッチしている

プレスカンファレンスで紹介されたものと同じパフォーマンスデモをリファレンスモデルで行なっていた

デモ機を動作させながらCPUのパフォーマンスも確認

PCユーザーの95%を満足させるパフォーマンスがある

 プレス向けのセッションでインタビューを受けたクアルコムのSenior Director, Product Management Miguel Nuness氏は、Windows PC向けのSnapdragonシリーズについて、「PCユーザーの95%はOfficeソフトを使ったり、ウェブブラウザーでサイトを閲覧したり、ビデオをみたりといったライトな使い方をしている。Snapdragon 8cxはその95%を満足させられるパフォーマンスがある」と説明。

 また、LTEを搭載した従来製品のPCは、LTE通信をするとバッテリー消費量が途端に増える印象があるが、これについてもSnapdragon 8cxとX55モデムの組み合わせでは「モバイル通信とWi-Fi通信ではバッテリー消費の差はほとんどない」と話していた。

 ちなみに2年前に同じくCOMPUTEXの期間に発表された「Snapdragon 835」のリファレンスモデルはスマートフォンサイズだったが、現状Windows PC向けのSnapdragonシリーズを搭載したモデルは2in1ではあるものの、クラムシェルタイプばかり。

2年前にクアルコムのプレスセッションで使われていたリファレンスモデル。このサイズのWindows PCが欲しい

 筆者としてはスマートフォンサイズのWindowsマシンの登場に期待していたため、なにか小型化に問題があるかNuness氏に確認したところ 「PCメーカーは、彼らが持っているフォームファクターを大きく変えたくないため」とのこと。

 ただ「時間がたてば異なるフォームファクターの製品が出てくると思う。現在PCメーカー以外とも話をしており、とても薄い魅力的な試作機も見ている」とも話しており、今後は小型モデルやスマートフォンタイプなどの登場も期待できそうだ。


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