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日本のテレビ番組は世界に通じるのか? カンヌで見た「バラエティのアイデア」(中編)

2019年05月15日 09時00分更新

麻倉怜士先生による、カンヌMIPTVレポート。日本のテレビ番組が世界にどう通用するかについて、3回に渡ってレポートしています。前編はこちら

(3)フォーマット輸出に期待株が続出

 番組製作要素を売る“フォーマット輸出”も期待作が続出した。

 その舞台が2012年から始まり、今年で8年目を迎えた日本のテレビ局の番組フォーマットを紹介する“Treasure Box Japan”。毎年、MIPTV開会の前日に、フォーマットの専門博覧会、MIP Formatsの一環として、パレ・デ・フェスティバル・コングレ1階のドビュシーシアターで開催される注目のプレゼンテーションイベントだ。クールジャパン戦略の一環として総務省と経産省の支援を受けている。

 当初は、韓国がMIP Formatsの枠内で小規模のプレゼンイベントを行っていた。それを日本が発展させる形でフォロー。近年は同じくフォーマット輸出に力を入れる中国も日本を真似て、自国の放送局を糾合したプレゼン・イベントをするようになった。MIP Formatsは3ヵ国のフォーマット輸出合戦の様相を呈している。

 韓国は、さすがにフォーマット輸出とは何かを良く知っていて、各放送局のプレゼンも光るものがあったが、中国は国威発揚の番組が多く、番組のフォーマットではなく、番組そのものを宣伝する場面が多かった。故宮博物館番組では、いかに多くの財物が貯蔵されているか、eSports番組では、いかに中国は先進的に取り組んでいるか、AI番組では、いかに中国の未来はAIで明るいか……と、どうだ中国は凄いだろうとを喧伝していたけれど、これは番組と中国そのもののPRであり、どこがフォーマットなのか? と、首をかしげた。

中国のフォーマットプレゼンテーション。国威を発揚していた。

 その点、8年の経験がある日本フォーマットは、水準が極めて高い。実は、秋のMIPCOMでもTreasure Box Japanが開催されており、それを加えてすでに18回開催されている。企画の切り口も年々、洗練され、英語でのプレゼンも円滑に、テンポ良く、クリヤーだ。フォーマット輸出の成果も上がっている。日本のフォーマットには、単なるアクションやゲームではなく、主流は人として共感性、普遍性があるコンテンツが多い。またフォーマットとして必要な要素の明確な呈示など、フォーマット輸出としてのツボを的確に押さえている。そこが中国の一方的な喧伝とは本質的に異なるところだ。

 在京6局、NHK/NHKエンタープライズ、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビと在阪の朝日放送テレビ、読売テレビがデモンストレーションしたが、中でも私の印象に深いプレゼンをその理由と共に、紹介しよう。

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